《音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら》Secret Track[R].3 不安の形
βテストだからなのか、バンドのメンバーを集めるのは簡単だった。広場でスズハさんがが聲をかけたもメンバーを丁度探していたらしく、その後はあれよあれよとメンバーが五人に、βテストの二日目に行われるイベントに參加できるようになった。
そしてそのイベントに向けての練習中、
「す、すごい、すごいですリアラさん!」
私はあの時私に與えられた力の意味を知る事になった。
ーー初めて誰かの前で披した歌聲
ーーリアルでは自信を持つことすらできなかった歌聲
けど今私のから出てきた聲は、思わず自信を持てそうになるようなものだった。
(これがもしかして、始める時に言っていた……)
私の歌姫としての能力?
「これならイベントで目立たそうだな、俺達」
バンドのドラマーのユウスケ君が嬉々とした目で言う。私はそこまでの実を持てないのだけど、他のメンバーも同じようなことを言っていた。
その為私はしだけ恥ずかしくなる。
「私、そんなに凄かったですか? スズハさん」
「はい! もう、その、言葉で表せないくらいすごいです! 私こんな歌を聞いたのは初めてです」
「そ、そこまで言われると……」
あくまでゲームの世界で発された能力であり、私自が元から持っている力では無いのでしだけ複雑な気持ちになる。
「リアラさんは元から歌が好きだったりするんですか?」
「いえ私はむしろ歌は苦手な方なので、正直自信はないんです」
「私がリアラさんの歌の凄さを保証します! それを明日のイベントで、全プレイヤーに見せてあげましょう!」
「うう、そこまで言われると恥ずかしいです」
出會って數時間しか経っていないとは思えないくらい、スズハさんは私を絶賛してくれた。
他のメンバーの人も皆同じことを言っていたけど、それ以上にスズハさんは喜んでくれたので、私の中でほんのしだけ自信が生まれた。
「イベント本番は明日ですから、皆さん今日は沢山練習して明日は思いっきり演奏しましょう」
その為か私らしからぬ言葉も出てしまった。でも本當に今日もっと練習をすれば、明日はきっといい日を迎えられると思っていた。
マセレナードオンラインからログアウトしようとしたその時までは。
「あれ? ログアウトができない?」
それは練習を終えて皆がログアウトした後に気づいた事だった。いくらログアウトしようとしても、私はこのゲームから抜け出せなくなってしまっていた。
(不合? でもそれならどうして私だけが……)
急な出來事でが震える。私だけがこの場所に取り殘されたような覚に襲われ、どうすればいいか分からなくなる。
(何で、どうして)
結局私はその日、ログアウトする事ができないまま一夜を明かす事になったのだった。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
「え? 歌えない? どういう事ですか」
翌日、このゲームに対してじてしまった恐怖心から、今日のイベントには出られない事を最初にやって來たスズハさんに明かした。
「ごめんなさい。勝手な事だって分かっていても、私には今歌う事ができません」
「その理由を教えてください! 私達はあれだけ練習してきたのに、そんな急に言われても納得できるわけがないじゃないですか!」
スズハさんの怒りは最もだった。私自こんな事はしたくないし、できる事なら歌いたい。
だけど……。
「ごめんなさい、スズハさん!」
私はその場から逃げるように駆け出していた。ただがむしゃらに、走って、走って、どこかへ逃げたくて。
(何が歌姫なの? 何が特殊な力なの?)
こんな辛い思いをするのなら、このゲームを始めなければよかった。誰かとゲームで出會わなければよかった。
(最低だよ私)
結局その日のイベントで私達のバンドがどうなってしまったのかは分からない。私がもう一度彼達の元に戻ってきた頃にはもう既に終了していた。
(ごめんなさい、スズハさん……)
遠くで彼を見守った後、私はそのまま立ち去ろうとする。
「どこへ行くんですか? リアラさん」
けど既に私がいるのが分かっていたのか、それとも偶然かスズハさんが私に聲をかけてきた。
「どうして聲をかけるんですか? 私は貴方を裏切ったんですよ」
「リアラさんは、ログアウト出來なくなって怖くなったから、歌えなかったんですよね?」
「……どうしてそれを?」
「実は他にも居たんですよ。リアラさんと同じくらい歌が上手い人が。けどその人は歌い終わった後にこう言ったんです。昨日からログアウト出來なくなったって」
「私と同じ人が……?」
それは予想していなかった。ついこの力が私にだけ與えられて、私だけがログアウト出來なくなってしまったのかと思っていた。でもそれは違かった。
(私の他にもいたんだ、同じ人が)
後で話を聞いてみたほうがいいのかもしれない、
「だからもしかしたらリアラさんもそうなのかなって思ったんです。どうやら間違っていなかったみたいですね」
「ごめんなさい、黙っているつもりはなかったんですが」
「謝らないでください!私も何も知らないくせに々言い過ぎたと思っていましたから。それに私達のライブは終わっていません」
「……え?」
「明日、行いましょう! 私達だけでライブを! βテストの最後の思い出として!」
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