《とある素人の完全駄作》1話 奇能力者だよ
ある日の放課後。柵川さくがわ中學の教室の一つで居殘りをしている生徒がいた。長い黒髪に白梅の花を模した髪飾りを著けている。佐天涙子さてんるいこである。クラスメートであり親友でもある初春飾利ういはるかざりは、風紀委員ジャッジメントの仕事の招集がかかってそちらに行ってしまったため、今はいない。授業中にぼんやり考え事をしていて教師の話を聞いていなかった佐天は、追加で出された課題を教室に殘って片付けていた。
「んあ~、終わった~」
大きくびをして荷をまとめ、課題を提出して帰ろうとした佐天は、教室に並べられた機の一つ、より厳には、最後列の廊下側の一番端っこの機に突っ伏して寢ている年を見つけた。クラスメートーーーのはずだ。そのはずだが、全然知らない人だった。「見た事ない・話した事ない・その人に関する噂も聞いた事ない」の三拍子が揃った、純度100%の知らない人だった。そもそも見た目もあまりパッとしない。パッと見を説明しろと言われたら、「黒髪・前髪がし長め」くらいで、はいおしまい。そして、佐天は思っていた。
(クラスメートとは全員仲良くしてると思ってたけど、まさか1人だけ全然知らないとか......ちょっとショックだな~)
そして彼が考えた事は実にシンプルだった。
(知らないなら今から知ろう!!)
そんな訳で、早速起こしにかかる。
「お~い、起きて~。そろそろ完全下校時刻だよ~。帰らないとだよ~」
軽く揺すりながら呼び掛ける。反応は割とすぐにあった。
「ん......」
瞼まぶたが上がり、星のない夜空のように黒い瞳が覗く。
「おはよ、寢てるトコごめんだけど、そろそろ帰らないとだよ」
「え......あー、寢てる間は切ってるんだった......」
「切ってる?」
「いや......なんでも」
年は立ち上がり、大きな欠をした。
「あたしも今から帰るからさ、良かったら途中まで一緒に帰らない?」
佐天のいに、彼はし考えてから、
「まぁ......いいか。うん」
と答えた。
課題を提出した佐天は、年と一緒に學校を出た。
そして佐天が最初に黒髪の年にした最初の質問は、
「えっとさ、本當にごめんなんだけど、その......名前、教えてくれない?」
まだ眠そうな目をした年は、マキシマム面倒臭いですと言わんばかりの口調で、
「もやし人間太郎」
「ウソだよね!? 絶対にウソだよね、それ!! ていうか何その、わさ〇のり太郎みたいなの!?」
クラスメートの(確信)の全力のツッコミをけると、彼はようやく、
「前田智也まえだともや」
と名乗った。
(ん~、やっぱり聞いた事ないな~)
心でし落ち込みながら、
「そっか、智也か。あたしは佐天涙子、ほどほどによろしく~っ、なんちって」
と自己紹介する。そして佐天は、學園都市なら間違いなく話題に上がる事を聞いた。
「ねぇ、智也の能力ってレベル何?あたしは無能力者レベル0だけど」
自に顔を軽くしかめる佐天。と、彼は気付いた。前田の顔が僅かにだがった事に。
(え? なんかマズった? ど、どうしよ~)
心で慌てる佐天。とりあえず謝ろうと口を開こうとした、その時だった。
「お~い、そこのお財布たち~。金貸してくんね~?」
チンピラ5人組に絡まれた。
(うっわ、最悪。どうしよう......逃げないと......でも、どうやって?)
さっきの3~4割増で慌てる佐天。これが普通。しかし前田はといえばーーー
「今手持ちないから」
一言だけ言い放ってスッタスッタ歩いていく。それもチンピラズの方には視線を1ミリもかさずに。
そして、そんな雑ざつい対応をすれば當然、
「おい待てやゴラァ!! 舐めてんのかガキがぁぁぁぁ!!」
前田の倉を摑んで怒鳴り散らすチンピラA。普通なら、慌てて謝罪したりジタバタしたりするだろう。しかし、絡んできたチンピラズをスルーしちゃうようなマイペース男子中學生は
「あー、俺の能力? 今から見せよっか?」
チンピラズを無視して佐天に話しかけていた。
火に油を注ぐどころか、原子力発電所に水素弾ぶっ込むレベルのド暴挙に、もはや唖然とするチンピラズと佐天。一足先に我に返ったチンピラAは、
「っざけてんじゃねぇぞ死ねやぁぁぁぁ!!」
と、定番の臺詞をびながら毆りかかる。次の瞬間。
ビキィィィィィン!!!! と。
何かが割れるような音を聞いた佐天は、目の前で起きた現象に驚愕した。倉を摑まれていたクラスメートが、チンピラズ全員の首から下を凍らせていたのだ。
「な......んだ、これ......」
「けねぇ......」
「つか......痛てぇ......」
チンピラズがき聲を上げる中、解放された前田は、ふぅ、と白い息を吐くと、右足の爪先で軽く氷にれた。すると今度は、
ドキャッッッッ!!!! という音が響く。氷が砕けて、中にいたチンピラズが放り出される。それとほぼ同時に、チンピラズを電撃が襲う。5人全員、首から下はビッチャビチャに濡れていた。電気の通りが良くなっている狀態に電撃で攻撃されれば當然、ダメージは大きくなる。もう悲鳴も上がらなかった。チンピラズを地べたに転がした前田は、
「このままじゃ風邪ひきそうだな、こいつら」
「いや、アンタがやったんだろ」とツッコミたくなるような一言。そして、チンピラズに向けて薙ぎ払うように手を振るうと、その手を追うようにして炎が現れ、チンピラズを包む。ほんの一瞬で炎は消えたが、チンピラズ全員の服が乾いていた。そこかしこに焦げあとはあるが、それは電撃を喰らった時のものだろう。
チンピラズが風邪をひかないように服を乾かしてあげた(?)前田は、何事もなかったかのように歩きだした。慌てて追いかけた佐天は、
「ちょっと待って!! 何!? さっきの、氷に電気に炎に、なんの能力!? まさか、超能力者レベル5
なの!?」
當然の疑問を投げ掛ける。しかし前田が返した言葉は意外なものだった。
「いや、俺は奇能力者レベル0+だよ」
「ゼロ......プラス......?」
「うん、ゼロ以上ワン未満、數値で言えば、0.4くらいかな。んで、能力の名前は......」
前田の口から出た能力の名前は、佐天が全く聞いたことのないものだった。
「絶対支配ドミネーター」
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