は夢を見ている。　楽しい夢では無く、苦痛に溢れた夢である。

燃えて壊れる街の風景、周りの人々は逃げ回っている。　そして、人々を襲っているのは熊型のビースト。

躰をかそうとしても、かない。　恐怖で躰がかないのだ。

そんな、の前にビーストが現れる。　どうやら匂いで気がついた様だ。

「ヤラセはしない！」

迷彩服を著た自衛隊員らしき男の人が言う。　その人は、持っていた銃でビーストに発砲する。

「やっ……」

ピシャっと音がし、の目の前に頭が落ちる。　からは、鮮が噴水の様に吹き上がる。

倒れた死をビーストは、ムシャムシャと食べ始める。　やがて、食べ終えたビーストはへ迫る。　は、隊員が持っていた銃を拾いビーストに撃った。

突如ビーストがバーンと大発し、は風で転がり崖から落ちる。

「イヤアアヤア！」

聲を上げ、目を開けると見知らぬ天井が見えた。

「大丈夫？」

「貴方は、賢治首席！私は貴方に切られ」

思わず、自分の腕と腳を見る。　肢には、異常が無く普通にいている。

「そうだよ、君は僕に切られ死の淵を彷徨った」

「死にかけたの？」

「治療が終わるまで、心臓が10回程止まった」

賢治は、ベッドに手を付けると右手で、のを差す。

「どうして、戻したの？私みたいな劣等生、要らないじゃないの？」

「ウーン、僕は人を意味なく殺しはしない」

「だって、私なんて外裝武ペルソナしか使えない、穀潰し。」

「そうかな？君は、面白い存在だよ？」

「適合者フィッターで無く、武も無く姿も変わらない存在を？」

「何か誤解している様だけど、君は武を持っているよ」

賢治は、の手に握られた銃を示す。

「え、何で、何で、銃を持っているの？」

「後、姿も変わった見たい」

手鏡を見せると、黒髪に黒い瞳のは無かった。　薄紫の髪、紫の瞳に変わったの顔が有った。

「何で、分からないよ！」

「理由を知りたい？」

「知りたいです」

「適合者フィッターが先天的に、生まれる條件は？」

「生まれる前に、マギウスが注される事。親が適合者フィッターである事」

「その通り！では、後天的に生まれる條件とは？」

「後天的には、確認されて無いです。適合者フィッターは先天」

「先程までは……では、君は適合者フィッターでも無く、外裝武ペルソナしか使えない」

賢治は、の指差しながら言う。

「後天的に、適合者フィッターとった？」

「その通り、君は後天的に、適合者フィッターに変わった」

「有り得るのですか？」

賢治は、にあるデータを見せる。　それは、治療のデータだった。

は、大量出で死にかけていた。　だが、のは、とても珍しい型。　輸に使われたのは、この學園のある適合者フィッターの。　半ば全部のをれ替える様な勢いで使われた。

その後、數回に渡り心臓が停止。　蘇生後、髪と瞳のが変化し躰が超回復を始める。

提供者の名前は、不明。

「一誰の」

「目の前に、居るけどね」

「まさか」

「おで、またを貯めるハメになったよー」

賢治は、左腕を見せる。

「さて、この様な形で適合者フィッターが、増えると分かると困る」

「どうするのですか？」

「君に死んでもらう」

笑顔で、賢治は答える。　は、怯えた顔で賢治から離れようとする。

「あ、そう意味じゃない」

賢治は、データを見せる。　其処には、の生まれた時からのデータが載っていた。　そして、ポチッと畫面をスライドさせる。　の生まれた日付の橫に、死亡日が表示される。

「ウン、君はデータ上で死んだ。簡単に、殺しはしない」

「えっつ、殺さないの？」

「だって、大切なサンプルでも有り、タンクじゃん」

「えっつ」

「僕は、君という人間に興味を持った。今日から首席書ね」

細い顎を右手で取り、顔を合わせる。　漆黒の瞳に、飲み込まれそうな覚を覚え、目を逸らす。

「ちゃんと、対価を払う。君がむ、用意可能なを3つ、給料も上げる」

「何か怖いです」

「だって、僕の玩サンプルで有りタンクなんだから、裏切ったら」

の心臓付近を右手ででる。　が急に痛み、はベッドの上で悶絶する。　そんな、の顎を取り賢治は顔を向けさせる。

「さぁ、僕の気が変わらないに、お願いしてね。明日からお仕事だ」

黒い瞳の中に、爛々とる星が現れは星に願いを掛ける。

「何だ、そんな事か？分かった葉えよう。さて」

彼は安心したをお姫様抱っこし抱える。

「何をするかって？書に、必要な教養を付けるんだよ」

「私、勉強苦手だし、書なんて」

「安心したまえ。この間、自己啓発部から貰った學習裝置が有ってね」

賢治が抱えた先には、人がれるサイズのカプセルが置かれている。　アタフタとするをれ、蓋を締める。　ドンドンと蓋が、側から叩かれる。　だが、開くことは無い。

「えっと、必要な項目を選択。全部でイイか」

ポチッとボタンを押す。　カプセルの中で、ドンドン叩いてたの両手両腳が、固定される。　そして、頭の所にヘッドギアが付けられ、はきを止めた。

賢治は、見落としていた注意事項を見つめて首を傾げる。

「一気にれると【を失った嶺上リンシャンマシーン】化する。なにそれ？」

賢治は、ビクン、ビクンと痙攣するを暫く観察しすると部屋から出ていった。 彼はの3つの願いを願いを葉える為に、スマホで何処かに連絡した。