《グンマー2100~群像の(マギウス)》第39話 グンマー獨立戦爭の傷跡★

夜の東京都。 カキン、カキンと心地の良い金屬音が響く。 夜空に閃が走り、達は鞘と大剣を互いに、ぶつけ合う。

年はグンマー首席、至誠賢治しせいけんじ。 は首都圏首席、白虎乙姫びゃっこおとひめ。

「相変わらず、鞘を抜いたらどう?」

「君こそ、大剣の鞘を抜いたらどうだい?」

空を飛びながら言い合う。 黒と白の制服に刺繍された、金の線が映える。

「で、乙姫さん。今日は、何処に向かうのかね」

「お勧めの食事処があってね」

乙姫おとひめは、住宅地に降りる。 賢治けんじも後に続いて降りる。

店の名前は【食事処ホンノウジ】。 店主の名前は……。

「のぶさーん、こんにちは」

乙姫は、ガラガラと口を開ける。

『お、ひめちゃん!久しぶり』

スキンヘッドに、鉢巻きを巻いた男が返事をする。

「空いてるかな?」

『勿論、空いてるよ!今日も、ほま……男だと!』

驚愕の眼差しで、乙姫を見る。

「イヤだ、おじさん違うってば」

手の甲をヒラヒラとさせる。 そんな話を聞かず、男は暖簾の中に顔を突っ込んでいる。

『おっかあ、姫が男を連れて來た!!』

こう言うとドドドっと音がし、和風人のが料理を持って現れた。

「何だって!姫に男が出來たって!」

そして、乙姫を見た後に賢治を見る。 後ろのテレビにも、同じ顔が映っている。 すうっと瞳から彩が失われた後に口が開かれる。

「あんたは、グンマー首席」

「そうですけど?何か」

「帰っておくれ!グンマーに出す飯は無いよ!」

『おばさん』

「姫ちゃんも、こんな人斬り庖丁をれないでおくれ!」

踵を返すとドンと音を立て、部屋に閉じ篭った。 乙姫は、ショックをけた後、男に振り返る。

「おじさん……どういう事?」

スキンヘッドの男は、申し訳なさろうに口を開く。

10年前、夫婦は息子を失った。

男の妻は、不妊に悩んでいた。 マギウス治療の結果、ようやく生まれた息子だった。 息子は、適合者フィッターだった。 妻は寶の様に育てた。 息子の長を楽しみ生活する、幸せな人生だった。

だが、グンマー獨立戦爭が全てを奪った。 グンマー勢の空襲で家が焼かれ、人々に犠牲が生まれた。 適合者フィッターと戦えるのは、適合者フィッターだけ。 7歳だった息子は戦爭を終わらせる為、戦爭にを投じた。

第23次首都攻防戦にて、グンマーの適合者フィッターに殺された。 最後は、罠に嵌った味方を守る為の殿しんがりだった。

戦闘終了後、彼が死んでいるのが見つかった。 全に傷は無かったが、死んでいた。 醫者の見聞では、全が凍り付いていた。

「「多分それって、第23次古河の戦いだね」」

「擔當は、榛名彩華はるなさやか庶務」

「アレは、酷い戦いだった。攻撃した隊員の9割が凍死した」

「罠にい込まれた、首都圏勢が悪いと思うんだけど」

「僕は君と首都上空で、戦っていたんだぞ!指揮出來る訳が無い!」

言い合っていると男は更に、口を開く。

妻は、息子を溺していた。 子供を失い、妻は部屋から出て來なかった。

其処で、男はメンタル校の生徒向けの食事処を始めた。 息子と同年代の子供達と出會い、妻はようやく社會復帰をした。 乙姫に対して、娘の様に接していたのは、そういう理由だった。

『姫ちゃんに悪いが……』

「分かった、おじさん。出て行くよ」

賢治と乙姫が、扉を後にする。

「さて、次はどうしようか?賢治首席」

「そうだな、グンマー校直営の食べ処が有る」

「良く、東京に出せたなー」

「何か凜りん書記が、上手くやったみたい」

賢治は、乙姫に右手を差し出す。 乙姫は、賢治の手を取り摑み歩き出す。 その様は、人同士の様。

その景を見ているのは、銀紫でツインテールの。 首席書の中居屋銃子なかいやじゅうこ。

「グンマーをれない、トンキン死すべし」

音も無く地面に降りる。 【食事処ホンノウジ】に向かい扉を開け、中にる。 暫くして、【食事処ホンノウジ】は炎に包まれた。

2100年4月17日19時30分 【食事処ホンノウジ】から出火し全焼。 店主及び妻の死亡を確認。

司法解剖の結果。 店主の死因は、頭部を銃で撃たれた事が原因。 妻が右手に銃を持ち自殺していた事から、無理心中と判斷。

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