《T.T.S.》FileNo.1 Welcome to T.T.S. Chapter4-3
3
ギルバートは手をばす。
「俺と來いよ源。俺にお前が必要な様に、お前にも俺が必要な筈だ」
嘲笑う程自的に。
悲しい程寂寥的に。
「周りの連中。お前のパートナーとかほざくアノからすれば、俺達は化だ。化の相棒は化にしか勤まんねぇ。そぉだろ?」
それは、まるで許しでも乞う様で。
「戻って來い。昔みてぇにまた組もぉぜ。俺達なら“神”だって殺せる。ニーチェよりも確かな形でだ」
震える言葉を紡ぐ凸凹の顔を、特有の粘でが伝う。
それを歯牙にも掛けず、目を逸らさない。
瞬きを失念した様に、源へと手をばし続ける。
心の棘が、全から剝き出しで見える。
『畜生、知りたかぁなかったよ』
まるでサボテンだ、と源は思った。
過酷な環境で生きびる為に瑞々しい外見を捨て、れる者全てを傷付けずにはいられないカタチになった。
植と言う在り方そのものを変容させるしかなかった異質な存在。
渇いて刺々しい癖に、誰よりも潤いを求めて傷付ける事しか出來ない塗れの手をばし、救いを求める。
『お前こそ、隨分変わっちまったな』
好々爺の面は、昔と変わぬ帷子ギルベルトとして接する為の仮面だったのだろう。
喧しかった張り合いをし、煩わしかったれ合いを求め、ギルバートはギルベルトを裝った。
そうして未來を潰し、現実から目を逸らし、時間跳躍してまで過去を求めた。
かつての源に期待した。
だが、それはある意味源も同じだった。
記憶の中のギルベルト。
強く優しく誇り高い、戦火を背負う立ち姿に、しさすらじさせる孤高の武。
源が憧れた唯一の存在。
そんなギルベルトに勝ちたい一心で今日を迎えた。
『隨分歪んだな、ギル』
だが、今目の前にいるのは、そんな懐かしい存在ではない。
源が過去を葬った代償に、ギルベルトはこんなにも醜く卑しいギルバートに変容してしまった。
『俺のせい、か……でもな』
だからと言って、ギルバートを許す気はなかった。
何故なら。
「ざけんな、お前は絵を傷付け、辱しめ、殺そうとした。」
キッパリと、ハッキリと、聞き逃しも聞き間違いも等出來ぬ様、源は告げる。
「それだけでも俺はお前が許せねぇんだよ。分かるか?お前を裁く理由なんざそんだけで十分なんだ。さぁ選べよ、どっちでぶちのめされたい?黒か?白か?」
問い掛けに、答えはなかった。
耳鳴りがしそうな程の靜寂。
誰も口を開けない。
速の攻防の直後からか、とろ火で炙る様な沈黙が蜿蜒と引き延ばされて行く様にじた。
「そぉか……殘念だ……殘念だよ源」
意識を繋ぎ合わせる様なギルバート言葉が、氷點下の冷たさで吐き出される。
同時に、袂にびた彼の手が注を取り出す。
「じゃあもぉ、何もかんもいらねぇ。なくなっちまえ、こんな世界」
ブスリと首筋に刺さった注針の上で、不揃いな瞳が憎々しげに源を睨んだ。
ふと、絵が米神を押さえて表を曇らせた。
「……そう……分かった。用意は出來ているのよね?……ええ……ええ……分かった。ありがとう。ええ、バイタルヤバそうならすぐに私に言って…………ええ、分かっているわ。ごめんなさいね、我儘ばっかり……はは……ええ、頼んだわ」
通信を終え、尚項垂れたままのT.T.S.No.3。
落膽を隠す気がないのか、そこまで気が廻らないのかは分からないが、肩を落とした絵の姿が隨分と弱々しく且つ無防備に、マリヤには見えた。
「……どーしたの?」
「何でもないわ」
睨みながら返された言葉に辟易していると、耳障りな雑音が夜風を裂いた。
スズメバチの羽音の様な電子音にも似たノイズ。
その正を、マリヤは知っている。
「ちょっとどーゆー事!?これタイムマシンの音よね?」
「そうよ、それがどうしたの?」
「どーしたの?じゃないでしょ!私達どーするのよ?」
「別便だから大丈夫よ」
「別便?それって」
「し黙っていてくれる?……あと、そろそろ戻るわよ」
「戻る!?正気!?」
苦々しい表で、絵は頷く。
死ぬかもしれない場所に行くなんて死ぬ程嫌だが、機嫌の優れない監督役の指示では仕方がない。
深く嘆息して、數歩おきに振り返る絵の後に、マリヤは続いた。
12ハロンのチクショー道【書籍化】
【オーバーラップ様より12/25日書籍発売します】 12/12 立ち読みも公開されているのでよかったらご覧になってみてください。 ついでに予約もして僕に馬券代恵んでください! ---- 『何を望む?』 超常の存在の問いに男はバカ正直な欲望を答えてしまう。 あまりの色欲から、男は競走馬にされてしまった。 それは人間以上の厳しい競爭社會。速くなければ生き殘れない。 生き殘るためにもがき、やがて摑んだ栄光と破滅。 だが、まだ彼の畜生道は終わっていなかった。 これは、競走馬にされてしまった男と、そんなでたらめな馬に出會ってしまった男達の熱い競馬物語。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団體・國などと一切関係がありません。 2018/7/15 番外編開始につき連載中へ狀態を変更しました。 2018/10/9 番外編完結につき狀態を完結に変更しました。 2019/11/04 今更ながらフィクションです表記を追加。 2021/07/05 書籍化決定しました。詳細は追ってご報告いたします。 2021/12/12 書籍化情報を追記
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