《T.T.S.》FileNo.0 The Christmas Miraculous offstage Chapter 2-4

スペイン坂を下り切り、渋谷センター街通りを駅に向けて左に折れてすぐだった。

「よぉ!久しぶり!」

突然彼は、ライダースーツを著た褐の外國人に行く手を遮られた。

かなりの長で、見上げないと顔も拝めない。

すぐに目を伏せた彼には、その男の長い黒髪が揺れる様しか見えない。

當然、彼は男の事を知らない。

だから、彼は自國民の様に流暢な日本語を話す男に警戒のを強めた。

「俺の事覚えてっか?昔同じクラスだった……」

見えいた噓だ。

彼が機を並べた他人種は大學時代に二人だけ、どちらも英語を母國語とする白人だった。

「……ごめん、覚えてないや。勘違いじゃないか?」

出來るだけ顔を伏せ、顔を上げずに一息で告げる。

相手が何者なのかを推す事はしない。

この街で見知らぬ人間に平然と聲を掛ける人間など、大決まっているのだから。

「すまないが急いでいる。キャッチセールスは違法だし、もうし工夫した方がいいな」

聲を覚えられるのも旨くないので、彼は腕で男を押し退ける。

だから、その腕を摑まれて、耳元で囁かれた時は驚いた。

「“止まれ”っつってんだよ、片手間ワンサイドゲーマー直々にな」

「な、何なんだお前」

何故この外國人がここまで執拗に呼び止めるのかが分からない。

ワンサイドゲーマー?何かの隠語だろうか?

『どうする?』

ポケットの重みに意識が向き掛け、思い止まる。

今ここで騒ぎを起こすのは、ハッキリ言って芳しくなかった。

これから騒の渦を生むとしては、今この瞬間は波風を立てるべきではない。

暴に路地に引き摺り込まれながら、彼は考え続ける。

『どうする?どうする?』

今すぐにでも振り解きたい褐の手を睨んでいると、不意に男がその足を止めた。

釣られて立ち止まり、男の顔を見る。

「さぁて」

二重瞼の下でウインクする瞳は、まるで悪戯っ子のそれに似た煌きを宿していた。

「もぉちょい抵抗してくれても面白かったんだが……」

直後、彼の意識は暗転する。

視界の端で微かにる紫電だけを瞼の裏に隠して。

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