《VRゲームでもはかしたくない。》第2章1幕 偵察<reconnaissance>
『賭博街 ギャンドウェルン』を占拠したギルド『貓姫王國』は『海上都市 ブラルタ』へギルド構員の約半數を向かわせ、先の一件に対する報復とするつもりだったそうです。
しかし、この約半數の構員は二人のプレイヤーによって殲滅されました。
【最速】ござる丸。
【天罰神】如月開斗。
この<Imperial Of Egg>において名実ともに最強の二人は最大數が1萬人を超えるといわれる最大ギルドの半數を狩ってしまったのです。
流石の最大ギルドもこれには面食らったようで自國の防衛に殘り半數を當てることにしたようです。
生半可な戦力で攻め込んでも、返り討ちにあうだけというのが他國の意見でした。
外の人達を含め、連攜して事に當たらないと駄目だと判斷した各國の首脳部は、國の境界を越えて団結することになりました。
「みんな來ているか?」
ジュンヤがそうギルドホームに集まったメンバーに問いかけます。
一昨日、『花の都 ヴァンヘイデン』政府からも『貓姫王國』に対する宣戦布告が行われ、準備期間として私達プレイヤーには2日の時間が與えられました。
その2日後である今日の午前10時、參加可能なギルドメンバーがこうして集まったわけです。
「早速だが俺たちもすぐに向かう。俺たちの役目は攪だ」
數ギルドですから仕方ありませんね。
「チェリー、エルマ、お前らは別行だ」
「ん? どうして?」
「あぁ。國家騎士団のダーロンからギルド『魔城』のステイシーと組んで城落としのほうに參加するように依頼が來ている」
そういえばステイシーはギルドマスターでしたね。所屬もたった一人のいわゆるソロギルドってやつです。
なんで『魔城』なのかはよくわかりませんが。
「わかったよー!」
「わかった」
エルマも承諾したようなのでステイシーと合流します。
「っとその前にだ……これをけ取れ」
ぽいっとる何かを私達に投げ渡しました。
「これは?」
「國家公認の戦爭許可バッジだ。これを持っていれば味方に配慮することなく大魔法が撃てる」
「なるほど」
「向こうさんも多分同じの持っていやがると思う。下手したら〔の誓い〕とかいうのをもってるかもしれねぇ。気休め程度だな」
〔の誓い〕は厄介ですね。一國の主となった貓姫が所持している可能は高いでしょう。
その場合はどうするんでしょうか。
一応ジュンヤに聞いてみます。
「もし貓姫が〔の誓い〕を持ってたらどうするの?」
「俺はしらん」
「それなら問題はないっす」
使えないジュンヤの代わりに報を集めることに関してはトップクラスのハリリンが答えてくれます。
「重罪判定があるっすから〔の誓い〕の効果は無くなってるっす」
「まじか!」
「まじっす」
なら大丈夫かという思いと、何か見落としがあるような覚が私にはありましたが、考えていても仕方はないのでいまのところは置いておくことにしました。
「チェリー、エルマ、おひさしー」
ステイシーのホームへ到著した私とエルマをステイシーが迎えてくれました。
「おまたせ」
「おまたせー!」
「さてー、どうしよっかー」
「どうするって? 『貓姫王國』を潰すしかないんじゃないの?」
「そうなんだけどー。うーんとね。僕たちが力を合わせて都市ごと殲滅するじゃない?」
「うん」
「僕らも重罪判定される可能が無きにしも非ずーってねー」
「そっか……貓姫からそういう判定される可能もあるのか」
「実際【最速】と【天罰神】は重罪判定されたよー」
「まじか」
「まじまじよー」
「でも貓姫から重罪判定されたところで関係ないよね? やっていいことと悪いことがある。それをわからせてやる」
「チェリー燃えてるねー」
「ほらチェリーはお店の従業員の子を守るためだから」
「そっかー」
「それもあるけど、皆殺しっていうのが許せないんだよ。だから私が全部殺す」
「殺したところで10日間のログイン制限だけだけどねー」
「じゃぁ戻ってきたらギルマスだけでも殺す。何度でも」
私の決意を二人に伝えると、二人はやれやれといった風に肩をすくめていました。
「ん? 変なこといった?」
「ううん。ただチェリーちょっと熱くなりすぎ」
「エルマの言う通りー。すこし肩の力を抜くべしー」
言われてみればそうですね。すこし頭にが上っていたかもしれません。
『セーラム』の従業員が殺される幻覚を何度もみてしまったせいもあるでしょうが。
「じゃぁ作戦ターイム」
「ステイシーの案は?」
「まず僕が≪神話級雷屬魔法≫か雷の詠唱魔法をぶっぱなすー」
「それで?」
「そのあとチェリーが闇屬の詠唱魔法をぶっぱなすー」
「うん」
「以上」
「ちょっとまって。脳筋過ぎるでしょ!」
「じゃぁチェリーの意見は?」
エルマにそう聞かれたので答えます。
「まず私が詠唱魔法をぶちかます」
「うん」
「次にステイシーが詠唱魔法をぶちかます」
「それで」
「終わり」
「……。一緒じゃん」
「チェリー、ステイシー。思ったんだけど」
「なにかなー?」
「二人で同時に詠唱撃ってみちゃだめなの?」
「それだ!」
「それだー」
作戦ともつかない作戦を數分かけて練った私達は魔力を溫存するために、転送屋へ向かいます。
転送屋のレディンは西通りで骨董屋をやっています。私達3人とは馴染みで、よくパーティーを組んでいました。
VRになってからは初めて會うのでし張します。
レディンの店に著き、扉を開けはいります。
小學4生程の長と褐の、地面に引きずる程長い三つ編みのに私は聲を掛けました。
「レディンお久しぶり」
「あらまこれはお三方! お久しぶりでございます!」
機の角からニョキっと生えてきたレディンに事を説明し、転送してもらいます。
「なるほどですね! ではではそちらの紋章へどうぞ!」
案された紋章に三人で立ちます。
「では飛ばしますよー。おっとお代はチェリーさんのお店の倉庫からでいいかな?」
「うん。いいよー」
「わかった」
『揺レヨ 揺レヨ 空ノ道 割ケヨ 割ケヨ 隔タリヨ 我ガ財寶ヲ供トシ 未ダ見ヌ土地ヘ行カセ給フ』
『≪空間旅行≫』
レディンが発した詠唱魔法は紋章を通じて、どんな距離でも、どんな人數でも瞬時に移させられる転移魔法です。
デメリットは発にえげつないくらい金を持っていかれることですね。
そうして『賭博街 ギャンドウェルン』のそばへ降り立った私達はまず言葉を失いました。
賭博街であったことがじられないほど、綺麗に整備されており、ピンク基調のファンシーな國が出來上がっていました。
「どうしよう普通に可い」
「あたしもそう思った!」
「好家の僕としてはこの國を更地にはしたくないなー。するんだけどー」
転移先が山の中で、國を一できるいいポイントなのですが、強力な魔法を撃つにはし抵抗がある外観でした。
『ジュンヤ、ポイントに著いた』
ギルドチャットで現狀を報告します。
『了解した。大魔法の発はちょっとまってくれ、奴らNPCを大量に捕虜にしてやがる』
『まず【斥候】や【暗殺者】が侵して捕虜を全て救い出す予定っす。それと外部からの攻撃を軽減させる結界を張ってるっす。そっちはどうしようもないっす』
『わかった』
「なんだってー?」
「大魔法の発はちょっと待ったがかかった。部に大量のNPC捕虜がいるっぽい。隠系が救い出すまで待機」
「りょーかい。でもその様子だと日が暮れちゃうねー。數日はここでキャンプかなー?」
「うえー」
エルマがちょっとげんなりした聲を出します。
私だってその聲出したかったよ……。
3人で互にログアウトして、ご飯を食べたりして時間が來るのを待っていました。
「ただいま」
エルマ、ステイシー、私の順番で行っていたのでこれで一巡ですね。
「おかえりー」
「おかえりー!」
あっそうだ。ログアウト中に思いついた方法でも話してみよう。
「エルマ」
「んー? どしたの?」
「私が乗れそうなくらい大きめな鳥と小型のモンスターはいない?」
「いるっちゃいるよ?」
「その2匹を出して、大きめの鳥に小型のモンスターを縛ってくっつけて」
「なるほど!」
エルマは意図を察してくれたみたいですね。
「結界部にモンスターを侵させて、結界裝置を探索、その後僕の≪シフト≫でチェリーが乗り込んで破壊ってじかなー?」
「そうそう。うまくいくかわからないけど」
「暇だしやってみよっか!」
いい暇つぶしを見つけたような顔をしてエルマが召喚に取り掛かります。
「≪召喚〔Gグレート・Hハーピー・Eイーグル〕〔千眼蜘蛛〕≫」
長が2メートルほどある鳥と、小型で目がたくさんついている蜘蛛を召喚しました。
「よしー。じゃぁ準備しようー」
そう言ってステイシーが〔千眼蜘蛛〕を〔GHE〕に括り付けています。
「≪覚共有〔千眼蜘蛛〕≫」
エルマも準備していますね。
私は結界裝置発見するまで何もすることがないですね。
「おーけー」
「こっちもおっけ! いくよー」
エルマが〔GHE〕の足を摑みブンと放り投げます。
『キィイイイイィイイエ』
鳴き聲……悲鳴をあげながら飛んでいきました。
エルマが〔千眼蜘蛛〕の視界を見て、〔GHE〕を導しているので見つかる場所にあればすぐ発見できるでしょう。
數分ほどうなりながらエルマが作していると、急にエルマが聲をあげました。
「あった!」
「どこらへん?」
「うーんと、中央にあるお城からびてるアンテナみたいなやつの先端。だけどこれ以上は近づけない! 結界が2重、3重になってる!」
あぁ……あれですね。
結界をぶち抜いて尚且つアンテナを破壊する……。
通常の魔法では無理ですね。
ええ。通常の魔法なら。
「ステイシー。≪シフト≫お願い」
「おまかせー。≪シフト≫」
次の瞬間私の視界は大空を飛ぶ〔GHE〕の上にありました。
「エルマちょっと集中するから迎撃はなんとか回避して」
「まかせて!」
覚共有を〔GHE〕に移しているエルマにそう伝え、私は魔法の発準備に取り掛かります。
『貫ケ 貫ケ 闇ノ力ヨ 疾ク 疾ク 駆ケ進メ 我ガ配下ヲ供トシ 理貫ク闇トセ』
手に持っていたモンスターのレアドロップが黒い煙のように変化して発しました。
一度ギルドホームで試しておいて正解でした。
この魔法は発後、任意のタイミングで発できるタイプの魔法だったのです。
そのあと結界があるから大丈夫だろうと思って壁に向かって撃ってギルドホームに修復に數日はかかるほどのを開けちゃいましたけど。
「エルマ発準備完了。し下から上に向かって撃つ」
「あいさー!」
〔GHE〕が一度降下し、上昇します。
さん
に
いち
「今! ≪理ヲ貫ク闇ノ道≫」
私の左手にあった黒い煙をピストルのような形に握った拳から発します。
數枚の結界を貫通し、アンテナ上部を消滅させることができました。
上昇を続ける〔GHE〕に大量のスキルが飛んできていたので回避はできないでしょう。
一旦ここでデスペナですかね。
そう思った瞬間、私の視界は國を見下ろす山にあり、魔法が直撃する〔GHE〕を見ることになりました。
額に汗をかき、手に持っていた杖を落とすエルマが視界にりました。
「え?」
「慣れないことはするもんじゃないね……」
エルマが全からを噴き出し、HPが急速に減っていきます。
「≪オーヴァー・ヒーリング≫」
すぐさまステイシーが回復魔法をかけますが、減は止まりません。
私もすぐに同じスキルを掛けたのですが、焼け石に水でした。
「あっ……アラートが出てる……」
エルマがそう言ってウィンドウを見せてくれました。
『重罪判定プレイヤーにつきデスペナルティーの延長を適用します。』
「たぶん……敵対行をとったプレイヤー全部に重罪判定をだしたんだ」
余程のことなのか、ステイシーいつものような口調ではありません。
私達の行がばれているってことですもんね。
「チェリー、ステイシー、あとは……任せたよ……。10日後……またINできるようになるまでに決著してたら……いいな……それまではサブ垢で見に來るよ……」
結構しゃべる余裕あるんですよね。
レベルが高いとどうしてもHP高いですから、デスペナになる前に普通に挨拶全部済ませられますし。
「……。意外としなない」
「思ってたけど言わないようにしてた」
「僕もー」
…………。
「おっとそろそろ3桁切るからおさらばだね。死ぬ間際の人の演技も飽きちゃったし普通にデスペナになろう! 後は任せた! 〔魔法最強〕! 〔超越師〕!」
「えっ?」
「おまかせー」
すっと消えていったエルマに疑問の聲を返しますが答える聲はもちろんなかったです。
「ステイシー? どういうこと?」
「さぁ? 僕が〔魔法最強〕って言われてることは知ってたけど、チェリーが〔超越師〕だったのは知らなかったなー」
「ごめん。脳が理解したくないって」
ステイシーが〔魔法最強〕なのはもちろん知っていましたけど、まさかこんなはずかしい二つ名がいつの間にか著けられてたとは……。
「うーんと。ヨルデン國王の奧方様の治療に功したからついたらしいよー?」
あ……あいつら……。
「とにかく今はエルマの敵を取らなきゃねー」
「それはもちろん。絶対に許さないから。最後に≪シフト≫を使って≪覚共有≫が解けなかったエルマの分も……痛めつけてやる」
「NPCごと殺っちゃわないようにしないとねー」
もう重罪判定されているなら正直詠唱魔法で更地に返してもいいんですが、流石にNPCを巻き込むと後味が悪いのでタイミングを待つことにします。
「さてー。僕も腸が煮えくりかえりそうだよー」
そう言ってステイシーは裝備を変更していました。
「僕を本気にさせた報いはけてもらうぞ。クソオンナ」
えっ……。こっわー……。
to be continued...
人類最後の発明品は超知能AGIでした
「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
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