《VRゲームでもはかしたくない。》第3章15幕 再び<again>
『ファイサル』に戻ってきた私は、この慘狀に驚きます。
正門付近に≪テレポート≫してきたのですが、クレーターがあちこちに生まれ、様々な場所で煙が立ち上っています。
うわー。【天罰神】すげー。
神を冠する【稱號】は特定の場合に強力な効果を発揮することが多いのですが、これは別格ですね。
そうして戦闘痕をたどりつつ進むと王城の口前で途切れていました。
もう侵済かな?
そう思い無警戒に王城に向かって歩いていきます。
「チェリー殿!」
後ろから〔最速〕の聲がしたので振り向きます。
「ござる丸さん! 無事だったんですね」
「拙者は問題ない。チェリー殿もご無事で何より。して【天罰神】は何処に?」
「わかりません。たぶんもう王城に侵したのではないでしょうか」
「そうか。ならば征くぞ」
「はい」
そう言い駆け出す〔最速〕と並んで走るほどAGIが高くないので自分のペースでついていきます。
はーはーと息をし、王城部にたどり著いた私は、戦闘痕がないことに疑問をじます。
先ほどまでの戦闘痕は【天罰神】が目に付く敵対勢力を葬ってきた痕だと思います。
そこが王城部でピタッと無くなっていることを考えると、デスペナルティーという結論しか見えてきません。
あそこまでの戦闘力のプレイヤーをデスペナルティーにでき得るプレイヤーは果たしてどれだけいるのでしょうか。
格下でも相で倒すことができるかもしれません。
先ほどの戦闘音とかクレーターとか見ていると、相でどうこうできる相手じゃなさそうなんですけどね。
そのような思考を頭の片隅でしつつ、廊下を歩き、≪探知≫をしたときの報を頼りに4人が集まっていた場所に向かっていきます。
≪探知≫は高さまでは測れないので、まず1階で4人が集まっている場所に行きます。もう一度≪探知≫してもいいのですが、侵してきたことがばれてしまうので悪手ですね。
1階のやたらと広い間に向かい歩いていると、〔最速〕がこちらに向かって走ってきました。
「チェリー殿。上階はみな無人であった」
「あぁ。そうなんですか。でしたらこちらがビンゴですか」
そう1階の広間を指さします。
「そうであろうな。気合れて、參る」
「はい」
すでに忍者刀を抜刀している〔最速〕を見習い、いつでも魔法を使える狀態にして続きます。
「敗致す!」
ノリノリだなー。
広間にっていく〔最速〕の背中を見て、そう思います。
私も広間にり、周りを見渡します。
しかし、人影はなく、無人のようです。
「誰もいませんね」
「すでに撤退した後か」
あんまり使いたくなかったですけどしかたありませんね。
「≪探知≫」
≪探知≫を用いて敵の所在を探ります。
正面に2人。後方に2人。右に1人。
ですね。右の一人は見覚えのあるレベルでした。【天罰神】はデスペナルティーになっていなかったようですね。
「ござる丸さん。正面に2人、後方に2人います」
「ぬ? 上階にもおらなんだ」
「となると、地下ですね。どこかに地下への口があるかもしれません」
「ならば拙者、探して參る」
そう言って広間から出ていきました。
うん。パシリみたいとか思ってないですよ? ちょっとハリリンっぽいなって思っただけです。使いやすさが。
〔最速〕が出ていったので私は、やることが無くなってしまいました。
できることなら【天罰神】と合流しておきたいんですけどね。
そう考えていると、広間の右側の窓ガラスがすべてはじけ飛び、人が一人ってきます。
「プレイヤー発見」
「初めまして。チェリーと申します」
「失禮。【天罰神】如月開斗です」
想像よりも大人っぽく、丁寧な人のようでした。
「いま〔最速〕が地下への口を探しています」
「なるほど。≪探知≫の結果ですか」
「はい。上階にもこの階にもいなかったので地下かと思いまして」
「うん。その通りです。多分地下にいますね。そういえばチェリーさんは王城吹っ飛ばす許可貰ってますか?」
許可? そんなのあるんですか?
「わかりません。あとチェリーでいいですよ」
「うーん。わかったチェリー。僕は開斗でいいよ」
そう言った開斗が床に手を付けます。
「し離れてて」
そう言われたので距離を開けます。
「このくらいでいいでしょうか?」
「おっけ。あと無屬魔法の≪グラビティコントロール≫は使える?」
「一応使えますけど、実踐では未使用です」
「おっけ。じゃぁ発して≪グラビティコントロール≫」
「≪グラビティコントロール≫」
発した瞬間に地から足が離れる覚がし、ふわふわとし始めるので、落ち著きが無くなります。慣れないですね。
「じゃぁ行くよ。『砂塵トセ ≪チェンジ・トゥ・サンド≫』」
開斗がそう詠唱魔法を発すると、広間の床が砂に変化し、下まで落ちて行きます。
「うわわわわ……」
私がそう驚愕の聲をあげると開斗がすぐに返事を返してきます。
「重力制魔法でゆっくり降下してるから大丈夫。もうし速度上げてもいいかも」
そういった開斗は加速度を作し、スーッと下まで降りていきます。
私初めてなんですけど……。
「えいっ!」
ちょっと気合をれて、降下する自分をイメージします。
するとみるみる降下速度が上昇しました。
なるほど。これは上手く組み合わせればスライド移を強化できるかもしれませんね。
そう考えつつ、降下していると、暗闇の空間に出ます。
先に降下を完了した開斗が屬魔法で足元を照らしてくれます。
「ありがとうございます」
トッと著地した私は、禮を述べます。
「ごめんね。実戦使用経験がない魔法いきなり使わせちゃって。でもこれが一番早い」
「そうですね。おかげで新たな移手段にできそうです」
「それはよかった。囲まれているね」
後半で急に聲を潛め、事実確認をします。
「そうですね。≪探知≫通りです」
「戦闘開始」
えっ!
いきなり、開斗が正面に向かって飛び出していきました。
心の準備が……。
「≪ジェネレート・スモール・フィックスド・スター≫」
なんとか持ち直した私は小型の恒星を作り出す魔法を発し、暗闇の空間を照らします。
「!?」
そして照らされた空間を見た私は絶句します。
ここは……かつてエルマと、その後ギルドメンバーと來て、得のしれない敵と戦った場所です。
かつての記憶が呼び覚まされ、足を止めているところに一つの影が迫ってきます。
「考え事とは余裕だな」
振り上げられた剣を紙一重で回避し、睨みつけます。
「自己紹介がまだだったな。俺は『ファイサル』國家騎士団副団長ローゼン・レイベルガー様だ」
うわー。自分で様付けしてる……。
「失禮しました。『ヴァンヘイデン』所屬ギルド『虎の子』メンバーのチェリーです」
「ほう……? 『ヴァンヘイデン』? あの腑抜け共と同じ空気を吸っているからカスかゴミなのかと思ったが、意外とやるようだな」
カチン。
なんですか? こいつ? 人をいきなりカスとか。カスとか言うやつがカスなんですよ。
「私はカスでもゴミでもありません。悪事に手を染め、罪なき命を奪うあなた方のほうがよほどカスだと思いますが」
「聞こえんな。強さを誇示してなにが悪いのだ? 腐敗しきった王族のカス共を殺しただけではないか」
「聞こえてんじゃん」
「…………。あまり俺を、怒らせるな。ガキが」
えー。逆ギレですか。
「これは失禮をば。ではケリをつけますか殺し合いますか」
「貴様のようなカスに負けたら騎士の名折れだ。容赦なく殺してやる」
「できるものなら≪ライトニング≫」
私が雷屬魔法を発し、攻撃をしようとしますが、やはり発しません。
〔の誓い〕……。厄介な引っ張り出してきやがりますね。今から外部に出て、フィールド支配を上書きしてくる時間はないので、このまま戦闘するしかないようですね。
そこまで一瞬で考えた私は裝備を転換し、短剣と短刀を裝備します。
「正々堂々と勝負かと思ったんですが。やはりが腐っていますね。駆逐します」
「はっ! 腐ってるのはお前らだろうが!」
「そうでしょうか」
『ステイシー。広域でフィールドの支配を書き換えられる魔法使えないかな?』
『大丈夫ー。あと1か所の設置が終われば結界発できるー。それまで耐えてー』
ステイシーにチャットで支配の上書きを任せ、私は時間稼ぎに出ます。
またこうして裝備した【ナイトファング】、【ペインボルト】から発せられる安心にをゆだね、副団長様の剣を捌いていきます。
「あたりませんよ? STRだけ上げた脳みそ筋達磨野郎ですか?」
「この期に及んで挑発か? 口の利き方をまずは覚えてこい平民!」
平民? 確かにリアルは平民っちゃ平民ですけど。もしかして、外の人だって気付かれてない? いや。でも名乗りでギルドの名前言ってるし。あっNPCでもギルドはれましたね。
ここは乗ってみましょう。
「平民に負けたとあらば、國家騎士団の信用も地の底、地獄の底ですね。いまから楽しみです」
「ぬかせぇえええええ」
やはりこいつ弱いですね。
左手に持った短剣【ペインボルト】で剣を跳ね上げ、空いた右手の短刀【ナイトファング】で鎧から皮の薄皮まで斬りつけます。
「目測を誤ったな小!」
いえ。わざとなんですけど。……ここは失敗した振りでもしてみましょうか。
「くっー もうちょっと、だったのにー」
「ハーハッハハ。鍛錬が足らんぞお!」
うお。こいつ急に調子乗りだした。
「さすがは、副団長さまーですねー。これはーまずいかもーしれないー」
「今なら許してやるぞ。そこに跪け。俺様の奴隷になるっていうのなら悪いようにはしねぇ」
はぁ?
「ちょっと何を言ってるのかわからないんですけど」
「あぁん? 俺の奴隷になれって言ってんだよ! 牝牛が」
「…………」
ふぅ。
次の瞬間、首とが離れ、驚愕の顔を浮かべたまま宙を舞っている副団長の頭が見えました。
そこまでの侮辱に耐えられるほど、私人間出來ていないので。
ベシャッと地面に落ちた副団長の頭をボールのように蹴っ飛ばし、副団長である証明になりそうなものを探します。
あっ。認識票みたいなのが首の付けに殘っていますね。これでいいでしょう。
回収した副団長の認識表をインベントリにしまい、殘りの三人と開斗に向かって告げます。
「副団長は殺しました。投降するなら今のうちですよ」
こちらに気が向いた一瞬を逃さないように、開斗がもう一人を毆りつけていました。
「チェリーごめん。僕は武を持っていないんだ。スキルがないと無力な一般市民だよ」
「もうしでスキルが使えるはずだからそれまでの辛抱だよ」
「それはよかった。誰か來る」
えっ? と思い後ろを振り返ります。
高速で駆けてくる二人の〔最速〕が見えました。
「「遅れてすまぬ! やはりここであったか!」」
〔最速〕も獨自の思考でここまでたどり著いたようですね。
「ごっちゃん。≪分≫できてるね」
「「うむ。先日ここで戦闘のあった際、技を封じられたことがあった故。事前に出してきた」」
…………。
ごっちゃん……。
〔最速〕も合流したのでここからが本番ですね。気合れていきましょう。
ごっちゃん……。
to be continued...
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