《VRゲームでもはかしたくない。》第6章28幕 ギフト<gift>
夢から覚めた私は、り損ねたお風呂にりながら、<Imperial Of Egg>のことを考えます。
「いったいどんな【ギフト】を授かるんだろう……」
お風呂に浸かりながら、そうボソっと呟くと、自分でも好奇心を押さえられなくなり、私はそそくさとお風呂を出ます。
いつも通り軽くをふき、もこもこパジャマを著用し、ベッドにります。
そして専用端末を著用し、<Imperial Of Egg>にログインします。
セカンドホームの自室で眼を覚ました私の視界には、【ギフト】と書かれたボタンが見えます。
ゴクリ、と唾を飲みこみ、私はそのボタンをタップしました。
すると天井を突き抜けてきたの柱が私を包み込みます。
直後、視界が一瞬真っ白になり、私は【ギフト】を獲得しました。
ステータス畫面を開き、私は【ギフト】の容を確認します。
【ギフト:バトルヒーリングMP】と表示されているので、それをドキドキしながらさらにタップします。
効果は、戦闘時、秒間で2ポイント分のMPを回復するものだそうです。
基本的にMPなどのスキル発に消費するステータスの回復は秒間1ポイント分です。
それを考えると3倍になるのは非常に大きいように思えます。
しかし、バトル中は基本ポーションを飲んだり、武のれ替えなどでMPを回復させられるのでそこまで大きな効果とも思えません。
おそらく、私がこの【ギフト】を授かったのは……。
コンコンコンと部屋をノックされ思考が中斷されます。
「どうぞ」
「るねー」
そう言ってステイシーが珍しく私の部屋にってきます。
「どうしたの?」
「【ギフト】確認した?」
表からステイシーは自分のを確認済みの様です。
「うん。【ギフト:バトルヒーリングMP】だって。戦闘中に秒間2ポイントMPを回復するらしい」
「へー。僕の【ギフト】は【ギフト:ハイ・スペル】ってやつだったー」
「効果は?」
「複合屬の魔法を撃つ時に消費MPを10パーセント減らすらしいー」
「やっぱり、それほど効果はないけど、い所に手が屆くってじのシステムだね。【ギフト】は」
私がそう答えると、ステイシーもコクリと頷きます。
私は、魔法系にVR化した後に転向したことにより、他の魔法系職業よりも圧倒的にMPの上限がないこと、そして、詠唱魔法によるMPの自回復が無くて、苦労したことがあります。
ステイシーは基本的に雷屬を好んで使用していますが、複合屬魔法も多用しています。そしてその消費が大きいことを嘆いていました。
<Imperial Of Egg>のゲームシステムとして、変更はできないが、その人その人にあった個人的システム修正に近いかもしれません。
「チェリー?」
そうしてまた深い思考の海へと潛っていた私をステイシーが呼び戻します。
「あっごめん。考え事してた」
「それは分かってるんだけどー。もうみんなリビングにいるよー」
「わかった。行く」
私が一番遅かったようで、迎えに來ただけだったみたいです。
「おはよう。現実で顔合わせたあとのゲームでの再開はちょっと違和あるね」
サツキがそう言いながら右手をあげて挨拶をしてくれます。
「みんなおはよう。【ギフト】どうだった?」
私はそう聞きながら自分の席に座ります。
「あたしは【ギフト:霊の加護】ってやつ。消費ENが減るみたい。20パーセント」
「マオは、【ギフト:風の娘】だった、わ。効果、は風屬魔法、を使う、ときのみ、消費MPを、10パーセント、減、して、威力が10パーセント、あがる、わ」
「最後はワタシか。ワタシの【ギフト】は【ホーク・アイ】。モンスターのウィークポイントを発見しやすくなる、だそうだ」
そうして私達はお互いの【ギフト】を説明し、報共有を進めます。
私はまだステイシーにしか説明していなかったのでもう一度説明すると、皆共通の考えに至ったようです。
「やはり、個人的に最も必要と思われるステータス面の補助というのが大きいな」
ワタシの【ギフト:ホーク・アイ】も副次効果のDEX+10が大きい、とサツキは付け加えます。
試すというほどではないですが、もこちねるはさすがにまだログインしていないので、軽く狩りでもしに行くことになりました。
最近よくきていた『騎士國家 ヨルデン』から徒歩30分程の場所にある、ダンジョンへとやってきました。
「ここにくるのも久しぶりだね」
「そうだねー」
サツキとステイシーがダンジョンの口から下を覗き込みながら會話をしています。
このダンジョンは初心者から上級者までが広く訓練できる所なので、いまだに人気も高いです。
「スタートは何階からにする?」
「深淵の1階でいいんじゃない?」
私が聞くとすぐにエルマが返事をしました。
「深淵の一階は確かに行けるが、【ギフト】を試すんじゃなかったのか?」
サツキがそう言いながら、エルマを見ます。
「だからこそでしょ?」
深淵と呼ばれる階層は、一だけ圧倒的に強いモンスターが出ます。〔ユニークモンスター〕のようなものが。
今まで私達が到達したのは深淵の7階です。深淵の10階まで行くと新しいフロアに行けるそうなのですが、まだそこまではたどり著いていません。
「この際だし、まず深淵の1階で強モンスター相手に試そうよ」
エルマが口をぷくっと膨らませます。
「わかったわかった。皆もそれでいいかい?」
「いいよー」
「うん」
私とステイシーの返事を聞いてサツキパーティーを組みなおし、がダンジョンの口から転送紋を引っ張り出して深淵一階へと飛びました。
何もない広い空間の奧に、〔ユニークモンスター〕が鎮座しています。
それを遠くからエルマが石を投げて起こします。
『ギャオオオオオ』
怒りをに立ち上がったソレ、【マタギ・インデュ】はこちらに向かって走り出してきました。
to be continued...
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