《VRゲームでもはかしたくない。》第6章36幕 寶<treasure>
「で? それがなんだ?」
「実はあるプレイヤーについて聞きたいんや」
「しっている範囲なら答えるが、俺は報屋じゃねぇ。期待すんなよ」
「ムンバさん。ファンダンって覚えてますか?」
私が【彫刻師】である彼、ムンバの名前を呼び、過去に一度連れてきたことのあるファンダンのことについて問います。
「ファンダン? 特徴は?」
「大柄でゴリラみたいなゴリラです」
「なんとなく覚えているが」
「私の像を大金叩いて買った奴です」
「あいつか。覚えているぞ。あの後も頻繁に來てな。正直太客だ」
「そんでな、そのファンダンっちゅーのが……」
もこちねるが事の説明を始め、それをムンバは目を閉じゆっくりと聞いていました。
「自分の利益の為に仲間を捨てるような奴だったか?」
一通り聞き終えたムンバから出た言葉はそれだけでした。
「私も同じギルドだったからわかるんですが、そんなことをする人じゃない、と思ってました」
「となると、絡みだな。あいつを手籠めにしたがいるんじゃないか?」
「かもしれないですね」
ファンダンはに弱かったですから。
「掛け金を追加しろ。そしたら俺もいてやる」
ムンバからそう提案があります。
「掛け金?」
「あぁ。で可くて、やばいを連れてこい。そいつの銅像を作らせてもらう」
金じゃなくて銅像ですか。ぶれませんね。この人。
「一人心當たりがあります」
「呼べ」
「分かりました」
私はそうムンバに返事を返し、マオにチャットします。
『マオ。ちょっと力を貸してほしいんだけど』
『なに、かしら?』
『『アイセルティア』の【彫刻師】がマオの銅像を作ってもいいなら手伝ってくれるって言ってて』
『銅像? いい、わ。楽しそう』
『じゃぁ今から迎えに行くね。今どこ?』
『まだ、ホーム、よ』
『了解』
その容をもこちねる達に軽く伝え、私は『騎士國家 ヨルデン』のセカンドホームまで≪テレポート≫で戻ってきました。
「お待たせ」
「はいやいねー。その【彫刻師】ってチェリーの像を作ったひとー?」
ステイシーにそう聞かれたので、私は頷きマオの手を取ります。
「しだけ、マオ借りていくね。終わったらここまで連れて帰ってくるから」
「まってー。僕たちもいくよー」
「あぁ。ワタシ達も行く気でいる」
「ボクも賛だよ」
ステイシーの言葉にサツキとリーリが同意し、ステイシー達もついてくることになりました。
≪ワープ・ゲート≫で『鉱山都市 アイセルティア』まで帰ってきた私はステイシー達とムンバのお店に向かいます。
「もどりました」
私がそう言って扉を開けると、ムンバとエルマがもこちねるの像で悩殺ポーズを作って遊んでいました。
「きたな。それでどいつだ? 掛けき……」
そう言ってこちらを振り向いたムンバが視界にマオを捉えた瞬間、ドシンという音を立てて顔から地面に倒れこみました。
「ムンバさん!?」
驚いた私が立たせようと近づくと、ムンバが大聲で笑い始めました。
「天使だ。君は俺の天使だ!」
そう大聲を出しながら立ち上がったムンバがマオの前で跪き、薔薇を一本取り出し、差し出します。
「君の像を世界で最もしく作れるのは俺だけだ。こちらでも向こうでも、君の像を舐めましていいかい?」
し口調が丁寧なのが気持ち悪いですね。
「像? なら、いいわ。でも手を、出したら、お仕置き、よ」
上手い。さすがマオ。返しが上手い。
「あぁ。もちろんだ。早速作るぞ」
そう言ったムンバが先ほどとは違う倉庫から金屬を取り出しました。
全的に赤のある金屬で、見る場所によってが変わる代でした。
そしてその金屬を、ここにいる全員が知っています。
〔ヒヒイロコガネ〕という<Imperial Of Egg>で間違いなく最高級の金屬です。
錬金によって生することができないソレは、〔ユニークモンスター〕からドロップした武を溶かす事によってしか得ることができません。
それをこの量持っているということは、おそらくムンバは戦闘力も高いはずです。
「こいつは厄介な代でな。加工に時間がかかる。その間、待ってろ。地下にフリースペースを増築してある。天使と俺が暴走しない様に……ロリ、殘ってくれ」
「そのロリっていうのやめてくんない?」
本気で嫌がっていそうに見えるエルマの抗議を一蹴し、ムンバは〔ヒヒイロコガネ〕をこねこねしています。
私達はムンバに言われた通り、地下のフリースペースにやってきたのですが、ここはフリースペースというより展示場ですね。
大小様々な大きさの銅像や彫刻が並んでいます。
「おっ? これはチェリーの像じゃないか?」
サツキに言われて、私はその像を見ます。
「たしかに、私の像だね。細部が変更されてる……え? まって? これ私がこないだ変更したばっかりの服じゃない?」
前に作ってもらった時はメイド服でしたが、今の格好は異なります。そしてその変更後の格好で像が作られているってことは……。
私は両手で自分のを抱き、ブルルとを振るわせます。
「気にするな。きっとたまたまだ」
「いやいや。たまたまでレースの模様まで再現されてたまるか!」
私がそう聲を上げると、サツキはクスクス笑いました。
しかし直後サツキも固まる発言がリーリからされました。
「サツキのもあるね」
「ちょっとまってくれ。私が認識できていないだけだろう。何故、ワタシの像がここにあるのか。ワタシは初めてここに來たんだぞ」
「あるものは、あるんだ。ほら」
そういってリーリが指さす先には、いつか、それもかなり昔にサツキがの子っぽい裝を著ていた時のものでした。
それを見たサツキの顔からの気が引き、フラッとしたので私が支えると、サツキはうわ言のようになにかぶつぶつ呟いていました。
サツキをお姫様抱っこし、椅子に寢かせ、展示場の続きを眺めています。
2時間ほど見回ると飽きてきますが、丁度そのタイミングでエルマが降りてきました。
「完だってさ。サツキどうしたの?」
見回して、サツキが椅子に寢ころんでいるのを見てそう言いました。
「あー。これこれー」
ステイシーが指さした像を見たエルマが納得したように「なーる」と言いました。
「サツキけるー?」
ステイシーがサツキに聲を掛けると、「あぁ」という返事があり、サツキは立ち上がりました。
みんなで上に登ると、地面に頭をり付け、何かを請うムンバの姿が見えました。
「頼む。一生のお願いだ。俺を踏んでくれ」
「? いい、わよ」
グシャッと容赦なく後頭部を踏みつけたマオに「ありがとうございます!」とムンバは言っていました。
「戻ったか。見ろこの出來だ」
そう言って銅像に被せられていた布を外します。
一瞬、像そのものがったかのように錯覚するほどしい像でした。
「すごい」
私が一言発しますが、他のみんなも聲が出ないほど驚いていました。
髪の一本一本にまで魂が宿っていると見間違うほど巧な作りで、正直「すごい」以外の想がでてきません。
「こいつは造形の時に注いだMPでさや弾力を決められる優秀な金屬だ」
そう言ってムンバはマオ像ののあたりを両手でみしだきます。
「死ぬまでの寶だ。誰にもらせん」
そう言って喚く、ムンバをすごく冷たい目で見ていたマオには気付かないふりをしました。
to be continued...
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8 73【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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