《意味がわかると怖い話(自作)》夫婦の會話 解答/解説(フルver)
【解答】
何者かが夫婦の家に忍び込んでいる恐れがある。
そしてその何者かは語り手(僕)のすぐ近くまでやって來ている可能が高い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【解説】
この話は相當ややこしいので、あまり深く考えずに流し読み程度でご覧ください。
実は今回の話は、次の二つのうちどちらの場合で考えるかによってオチが変わってきます。
①書斎には二つ以上の出り口があった
②書斎には出り口が一つしかなかった
しかしどちらにせよ著眼點は同じです。
その著眼點とはずばり「戸の開閉音の違い」にあります。
本文中には、前半の『スッ』と後半の『バタン』の二つの開閉音が登場します。
何も考えずに読めば前半にしても後半にしても同じ戸の開閉音だと思いがちですが、考えてみてください。
開閉時に『スッ』という音が出るのは引き戸、『バタン』という音が出るのは開き戸ですよね。よって、同じ戸から『スッ』という音と『バタン』という音が出ることは有り得ないわけです。
したがって、前半で開けられた戸と後半で開けられた戸はそれぞれ別の戸であることがわかります。………(*)
ここまでは結構気付きやすいかと思います。
しかし問題は、「『スッ』と『バタン』はそれぞれどこの戸の開閉音なのか」ということです。ここを完璧に考えようとすると上述した①と②のパターンに分けて考える必要があり、かなり複雑になります。
ここで(*)を踏まえて①と②を言い換えると、次のように表現できます。
①『スッ』と『バタン』はどちらも書斎の戸の開閉音だった
②『スッ』と『バタン』のうちどちらか一方は書斎の戸の開閉音で、他方は別の部屋の戸の開閉音だった
厳に言えば「『スッ』と『バタン』はどちらも書斎の戸の開閉音ではなかった(別の部屋の戸の開閉音だった)」という場合も考えられますが、これは最後に説明します。
まずは①の場合から解説します。
①の場合は何も怖いところはありません。
ここでは、戸が三つあろうと四つあろうと実際に使う戸は二つなので、便宜を図って書斎の戸は二つであると仮定します。
この場合、その二つの戸はそれぞれ引き戸と開き戸が一つずつであると考えられます。そうでなければ開閉音に矛盾が生じますからね。
この時、次のように考えれば辻褄つじつまが合います。
・初期段階では引き戸は閉まっており、開き戸は開いていた。
・まず語り手(僕)が引き戸から書斎にった。書斎にる時に語り手(僕)が戸を閉めている描寫があるため、この時點での二つの戸の開閉狀況は初期段階と同じである。
・次に妻が引き戸から書斎にってきた(この時の開閉音が前半の『スッ』である)。この時に妻が引き戸を閉めている描寫はないため、引き戸と開き戸はともに開いた狀態となっている。
・妻が開き戸から書斎を出ていく。その時に妻は開き戸を閉めており、その時の開閉音が後半の『バタン』である。この時點では引き戸は開いたまま、開き戸は閉められた狀態となっている。
・最後に語り手(僕)が開き戸から書斎を出る(語り手(僕)が戸を開けている描寫があるため、既に開いている引き戸から出たと仮定すると本文と矛盾する)。
なんだかややこしいですが、整理して冷靜に考えてみればなんてことありません。
そしてこのように考えれば、確かに本文には何の矛盾も生まれません。しかし前述したように何も怖いポイントはありませんね。
①の場合で考えると、以上のようになります。つまり、①の場合は「何も起こっていない」というのが答えになります。
では次に②(書斎の出り口が一つ)の場合を考えてみます。
まず、本文冒頭で語り手(僕)は書斎にる際に戸を閉めています。つまりこの時點では書斎のたった一つの出り口は閉まっていたことになりますね。
そしてその後に妻が充電の在あり処かを尋ねるために書斎へやって來ます。この時に『スッ』と戸を開ける音がしています。書斎の戸は閉まっていたわけですから、この『スッ』は間違いなく「妻が書斎の戸を開けた音」ということになりますね。
よって、「書斎の戸は引き戸である」と特定できるわけです。言い換えれば『スッ』以外の開閉音は書斎以外のどこかの戸のものであるということになります。
問題はここからです。
この後、妻によって開けられた書斎の引き戸が閉められる描寫はありません。わかりやすく言えば、引き戸が閉められる『スッ』という音はこの後一切登場していません。
つまり妻は書斎の戸を開けっ放しでその場を去ったということになります。その直後の『バタン』という音は、妻がどこか違う部屋の開き戸を閉める音でしょう。
すなわち、妻が去った後は書斎の戸は開けっ放しでなければいけないわけです。
しかし充電を発見して妻の元へ行こうとした語り手(僕)は、書斎を出る時に戸を開けています。つまり、その時點で書斎の戸は閉まっていたわけです。
これらを総合すると、妻が去ってから充電を見つけた語り手(僕)が書斎を出ようとするまでの間に、何者かによって書斎の戸が閉められているということになります。
語り手(僕)はそのことに気付いていません。何故なら、語り手(僕)は書斎の戸が閉められる音を耳にしていないからです。というのも、妻が去ってから語り手(僕)はヘッドホンで音楽を聴いていましたよね。その狀態では、背後で引き戸が閉められる音が聞こえないというのも無理ありません。
逆に言えば、語り手(僕)がヘッドホンをしていない時は戸の開閉音はばっちり聞こえているわけです。よって、妻が開けっ放しで書斎を出たことは、ここからも説明できます。今回は省きますが。
では結局何が問題なのか。それはまさに、語り手(僕)が気付かない間に書斎の戸を閉めたのは誰なのか、ということですね。
結論から言うと、特定はできません。
妻かもしれません。一度は書斎を開けっ放しで去っていった妻ですが、後にこっそり戸を閉めに來た、と考えれば矛盾はありません。しかし、意味不明な行ですよね。
もし妻でないとすると、誰なのか。
『この家にはあたし達二人しか住んでないわけだし、ここ最近誰かを呼んだこともないから……』という妻の発言からして、語り手(僕)夫婦の住む家は二人暮らしで、他所よその人を家に招いたことも最近ないということがわかりますよね。つまり、家には語り手(僕)と妻以外には誰もいないはずなんです。
となれば、書斎の戸を閉めたのが妻でなかった場合、それを閉めたのは夫婦が認識していない人間、すなわち不法侵している誰かということになります。
しかも書斎の戸を閉めているということは、その何者かは語り手(僕)のすぐ近くまで接近しているということになりますね。
無論、あくまでこれは可能です。意味不明な行ではありますが、妻が書斎の戸を閉めに來たと考えてもそれを否定する拠はありませんからね。
果たして①が正しいのか、②が正しいのか。②が正しいとすれば、語り手(僕)の知らない間に書斎の戸を閉めたのは一誰なのか。それは個々人の想像にお任せします。
また前述した『スッ』と『バタン』がどちらも書斎の戸の開閉音でなかった場合についてですが、この場合だと書斎の戸の開閉音がしていないのにも関わらず妻が書斎にってきていますから、書斎には終始開けっ放しだった戸がなくとも一つ存在することになります。
しかし冒頭で語り手(僕)は戸を閉めていますから、書斎の戸が一つだとこの仮説は矛盾を含みます。
よって、書斎の戸は二つ以上でなければなりません。ここでも先程と同様に使う戸は二つなので、便宜を図って書斎の戸は二つであると限定します。
その戸をそれぞれ戸A、戸Bとしすると、次のように考えられます。
・初期段階では戸Aは開いており、戸Bは閉まっていた。このBは冒頭で語り手(僕)が閉めた戸である。
・妻がAから書斎にり、Aから出ていく。この時に書斎の戸の開閉は一切行われない。
・充電を見つけた語り手(僕)がBの戸を開けて、Bから書斎を出ていく。
このように考えれば矛盾は生じませんね。
しかしどちらにせよ、以上の考察は次のようにまとめられます。
書斎の戸が一つだった場合:夫婦の家に誰かが侵している可能がある。
書斎の戸が二つ以上だった場合:特筆すべきことは何もなし。
一応これは「意味がわかると怖い話」なので、【解答】としては前者に限定しています。
以上で今回の解説は終わります。
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