「気持ち悪いんだよ」

「なんで學校來るんだよ」

「お前なんて居なくなればいいのに」

「消えろ」

「しね」

年にとっての「世界」とは、闇そのものだった。

年にとっての「世界」とは、「ここ」だけだったのだ。

年は「ここ」よりも広い世界を知らない。

年は「ここ」の外にもっと大きな世界が広がっていることを知らない。

だから年にとっては、「ここ」が全てだったのだ。

年は正義や秩序をする子供だった。

だが年には勇気がなかった。

またこの狀況を打破するも知らなかったのだ。

年は自分を毆ってくるアイツらを嫌った。

自分を蔑むアイツらを憎んだ。

アイツらを頭の中で何度も殺した。

そして幻想と現実の狹間で生き方を見失い、心が靜かに汚染されていった。

辛かった。

憎かった。

悲しかった。

何もかもが消えてしまえばいいと思っていた。

しかし年が本當にんでいたことはそんなことではなかった。

年はただひたすらに「助け」を求めていたのだ。

だが、助けを乞っても誰も助けてなどくれない。

年と目が合っても年に手を差しべてくれる者など「ここ」にはいなかった。

年は「ここ」を嫌った。

だがそんな年にも弱い自分を見せないようにしている人がいた。

この子にだけは気付かれたくない。

この子との間にだけは「幸せ」をじていたい。

この子には溫もりを與えていたい。

自分が母から與えられていたように。

守られるのではなく守りたい、このを。

年は『その』を本當にしていた。