２ ―月―日　影浪子

白と黒の弾幕に覆われた空間があった。

黒服に包まれた參列者たち。

線香の匂い。

の花。

響く経。

額縁のなかには笑っている年。

父親らしき人と手を繋いでいる。

そして、年の母親。

そのとき、辺りから囁きが聞こえてきた。

――親なのに止めれなかったの？

――教師としての裁のほうが大事だったんじゃない？

――息子さん自殺なんて可哀相。

――傷だらけなのに気が付かなかったなんて噓よね？

――母親が殺したんじゃないの？

母親の呼吸が荒くなりはじめた。

瞼が熱くなった。

このはいったいなんなのか？

頬を一滴のが伝った。

口元についたはしょっぱかった。

ふと前を見た。

額縁の中の年は母親に笑いかけていた。

また瞼が熱くなった。

ああ、いらない。

こんな想いは、自分にはいらない。

こんなは、自分にはいらない。

こんな役目は、自分にはいらない。

なんなんだ、この覚は。

苦しくて、に鉛を埋め込まれたようだ。

いらない。

いらない。

誰かこの鉛を取ってくれ。

誰か……。

「……充、私は……」