《心霊便利屋》第10章 信頼と裏切りと②
俺達は議事堂からの出後、瀬戸さんが人質になっていることもあって、上層部から指示を待つこととなった。
だが、マスコミへの対応もあり、作戦が後手に回っている。
…どうしたものか。
それより気になることがある。
そもそも警視庁はなぜ第一級クラスの要人である瀬戸さんを前線に行かせたのか。
それと、あれだけの戦いの中だったとしても、なぜ誰一人として瀬戸さんの居所を摑めなかったのか。
間中の実力をもってすれば簡単に追跡できたはずだ。
うーん、何かイヤな予がする。
俺は自分の席に座りながら考えを巡らせていた。
「…晃。」
?!
クレアか。
なぜか小聲で耳打ちしてきた。
「間中さんが三丁目のカフェで話が
したいから私と晃で來てくれって…」
「…わかった、先に行ってくれ。俺もすぐ追いかけるから。」
「わかった。」
クレアがそっと出口に向かう。
…話か、なんだろう。
何とか誰にもバレずに事務所を出て、カフェに到著した。本業が探偵なのだからこれくらいはお手のものだ。
店を見るとクレアだけが席に著いていた。
間中はまだのようだ。
「晃、間中さんはいなくてこれだけが席に置いてあったの。」
そこにはタブレットだけが置いてあった。
…忘れか?
念のため俺はタブレットを開くと、そこには間中の映像が寫し出されていた。
『ごめんね、君達と一緒にいるところがバレたら、僕まで狙われるかもしれないからさ。』
ったく…
「もういい。用件はなんだ?」
『実は、おかしいんだ。』
「だから何が?」
『瀬戸さんの手がかりを探してたとき、隊員のインカムを不正作した形跡が見つかったんだよ。』
「不正作って?」
『これ見てよ。』
モニターに寫し出されたのは四分割された畫面だった。
先行部隊でカメラを所持していたのは4人だという。
…ん?
敵部隊と戦を始めたときは、シールドを持った隊員の後ろに瀬戸さんが確認できるが。
だが映像が進んでいくと、明らかに4臺のカメラごと時間が大きく飛んでいる箇所がある。
その後の映像は、三臺のカメラは故障したのか砂嵐になっていたが、殘ったひとつはカメラが車両の方を向いたままかなくなっていた。
「これ、映像が抜き取られてるな。」
「あ、ほんとだ!ココ!!」
クレアも気付いたようだ。
『だよね、公安のデータにアクセス権限を持つのは僕と城田さん…』
ブチッ
突然映像が途切れてしまった。
…おぃ!
「切れた!」
「え?ちょっちょっと!間中さん危ないんじゃ?!」
確かにこれはマズいな…
ひとまず事務所に戻ると、敵とグルかもしれない城田を観察してみる。
忙しなくいてはいるが彼がグルじゃないという証明にはならないな。
「晃、どこ行ってた?…お前らまた…」
「んなわけないだろ。林さんを呼んですぐ応接室に來てくれ。盜聴探知機も持ってこい。目立たないような。」
「あ、ああわかった。」
俺のただならぬ雰囲気をじ取って、徹は林さんの元へ急いだ。
徹が応接室の扉を閉めてカギをかけると俺の向かえのソファに座った。
「それで、どうしんたんだよ。」
俺が徹を制して、探知機を作した。
隅々まで調べたが探知機に反応はなかった。
…よし、盜聴はないみたいだ。
俺は間中との間であった事を全て話した。
「え?じゃあ今間中さんは行方不明なんですか?!」
「城田も俺を無理矢理協力させて探し回ってたし。」
「俺が思うに、おそらく警察関係者にも敵の協力者がいるはずだ。」
クレアが扉の方を見る。
「城田さんか、その上の人だよね。またはその両方か。」
「いや、城田はないんじゃないか?さっきも間中がいないことで俺にアクセス権限與えるからシステムをかせないかって聞いてきたし。」
「それでお前どうしたんだ?」
「一応やってるよ。間中ほどじゃないけど簡単なハッキングなら出來るくらいの腕はあるしね。」
…それで昔、厄介なことに巻き込まれたことを思い出した。
「とにかく、間中を見つけなきゃいけない。徹、権限があるなら探せるか?」
「さっきもやったけど、あいつの攜帯電源落ちててさ。今から監視カメラの記録見て追おうとしてたとこだよ。」
「なら、それを急いでくれ。」
林さんが徹を見た。
「相良さん、もしカメラ映像で間中さんを見つけたらその寫真をプリントアウトしてください。私の力で読み取ってみます。」
そ、そんなことが出來るのか!
「すごいですね、それならすぐ見つけられそうだ。」
俺の言葉に林さんは肩をすくめた。
「いえ、功率はそれほど高くはありません。やらないよりは良いかと思った次第です。」
今はそれでも記帳は人材だな。
「じゃあみんなよろしく!俺とクレアは出発の準備をしておく。」
俺達はそれぞれ自分のデスクに戻り、徹はオペレーションルームへ行った。
気付くと俺の橫に城田が立っていた。
「黒捜査、なにか私に言えないようなことでもあるのか?」
「俺は臨時です。捜査ではありません。」
「いや、臨時でも今では非常に有能な捜査だよ。権限は限られるがね。
それで返事は?」
「特に。俺達の力を効率よく発揮できるように再確認してただけですよ。」
「そうか。私に何か言いたくなったらいつでも言ってくれ。」
…やっぱりこの人が敵だとは思えないんだよな。
「それと、今朝から間中が見當たらないんだ。相良捜査に追わせてはいるが未だ行方はわからない。次の作戦まで時間があるはずだから君達で探してくれないか。
…にな。」
ん?
「それってどういう…」
「頼む!」
そういうと城田は踵を返して戻っていった。
俺、クレア、林さんは篤の病室でお見舞いがてら間中救出作戦について話し合うことにした。
「晃の話を聞く限り城田ってやつはシロだな!」
「そう簡単じゃない、今は警察関係者全員が怪しいんだよ。」
「城田さんは信頼できそう…っ!!」
突然クレアが両腕をの前でぎゅっと組んだ。
「どうした?!」
「う、腕が…」
俺はクレアの袖を捲った。
?!
腕のアザが腕全へと広がっていて、更に【手を引け これ以上深りするな】
という文字が浮かび上がった。
「おぃ、これ!」
「なんだよそれ!!」
「これはいけませんね…」
林さんはクレアの腕を取った。
「し失禮しますよ。」
そういうと、クレアの腕を持ったまま、反対の手で印を結び始める。
「はっ!」
?!
すると、クレアの腕全に広がったアザが元に戻っていき文字も消えた。
「これはあくまで応急措置です。次また何か干渉をければ同様に戻せるかどうかわかりません。」
「高橋の仕業か?!」
俺は病室を開けて周りを見渡すが、怪しい人間は見當たらなった。
…しかし、今なって何故こんな現象が…
もしかしたらこれは忠告か?
それから俺達はこれといった解決策も見いだせないまま篤に別れを告げ病室を出た。
プルプルプル…
ん?
城田からだ。
「黒捜査、相良捜査が監視カメラを追跡して、間中がカフェから急いで出ていく所までは確認できた。」
「…それで?」
「カフェから數100メートル進んだ所で、何者かが間中を車で連れ去ったようだ。」
「拐されたってことですか?」
「ああ。車のナンバーは読み取れないように塗りつぶされていた。」
「その後どこに連れて行ったのかわかったんですか?!」
「…いや、だが心當たりはある。私が數人の部下と先行する。相良くんが君達に座標を送るから裝備を整えて來てくれ。」
「わかりました。」
俺達は武裝して、徹から送られた座標の場所へ向かった。
「クレア、腕は大丈夫か?」
「うん、今は大丈夫。」
「そうか…」
「黒さん、これは罠だと思うんですが…」
「そうですね。俺もそう思います。
…でも他にやれることがない以上、行くしかない。救出までに時間がかかるほど間に合わなくなると思うんで。」
「確かに…。」
座標の地點に到著した。
ここは、廃工場だ。
「晃、あそこ!」
クレアが指差す先には3人の捜査が倒れていた。
急いで駆け寄るが既に死んでいる。
「これは怪異の仕業ですね。全に目立つ傷はなく、全員吐して死んでいる。」
「…ろい君、黒捜査…」
?!
城田だ。なぜか彼だけは腹に銃弾を食らっているようだ。出がひどい。
「參事!」
俺が駆け寄ると彼は俺のベストを摑んできた。
「みんな化けにやられた…
彼らを率いていたのは我々と同じ捜査だ…。」
なんだって?!
「…間中はこの工場の中だ。まだ生きているはずだ。…救って…やってくれ。」
「わかりました!」
「…それと、警察や、自衛隊は誰も信用…するな…。君達が獨自に…けっ」
「參事、助けを呼びます!」
「もう…遅い。それより…聞いてくれ…。
君達を…公安部…超常現象対策課…特別捜査に…任命する…。話しはもう…通って…いるから、私の車の中からバッジをけと、れ…新設した…課だ、しっか…りな…」
「參事!」
「…君達には迷…かもしれないが、頼む…奴等を…つ、捕まえてく…れ。」
「もうしゃべるな!
おい!救急車まだか!!」
「…ゴフッ」
城田は大量の吐をした。
「た、頼んだ…ぞ…」
(くそっ!!!)
俺はが滲むほどを噛み締めた。
「え、死んでないよね?!も、もう、嫌だよこんな…」
俺は城田の首に指を當てた。
「まだ、微かだが脈はある…。」
遠くからサイレンが聞こえてきた。
…ようやくかよ。
救急隊員が城田を救急車に乗せた後、俺達はバッジとidをけ取った。
「…行くぞ。」
「もう許さない…」
「何としても間中さんを助けましょう。」
俺達3人は、工場に向かって歩き出した。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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