優との方は、誰にも知られないようにホテルの長い廊下を歩いていた。

の思い出せない過去の謎と闇を払うために隠で探ることにしたのだ。

お互いに考え込んでおり、重い空気の中に優は考える時の癖でをっていると、は重い口を開いた。

「お前の考えでは、全ては歩夢の過去が大きく関係していると・・・・？」

仲間が部屋から去った後も、は思い出せない過去を考え続けていた。そんな様子を優が見て、ある思いで二人の中である結論が生まれたのだ。それを調べるためにき出したのだった。

「あぁ、お前が覚えていると言った痣の場所が、俺の推測する所ならな・・・」

優はまだ言葉を濁していたが、は何かに気が付いたかのように

「なら、あのゲストがここに來たのも・・・・」

ある事実が頭に浮かび、それをけれられないに優は口角を上げて嬉しそうな笑みを見せると

「それは、偶然じゃないってことやろ・・・・」

そう言うと、またをりながら考え込み始めた。

そんな優を見て、はため息をつきながら彼の考えがまとまるまで待つことにした。

こうなった時の優は誰の言葉も耳にらくなるのを誰よりも知っていた。

は、自分の中に生まれた思いをどうけれようかと悩むように天井に目をやり

「ホンマに変なことばっかりやな・・・・そんな事が偶然に起きるなんてな・・・・」

は獨りごちた。

もし、今から自分たちが確認することが事実であったとしても、には納得が出來ないだろう・・・・どうして、こんな事が起きたのだろか・・・・

の思いと裏腹にその言葉を聞くと、優は何かを閃き

「もしかしたら、それは、偶然ではなく誰かが手引きしたのかもな」

優の言葉には生唾を飲み込む。

「これは、俺たちの中に裏切者がいるってことかもな・・・」

更なる優の言葉には揺した。

「!!!!!!!!!!!!」

には信じられるはずはなかった。どんな時も皆で力を合わせて、この不自由なで支え合って來た、その時間を共有している仲間に裏切者がいるはずがない！

は自分ののまま優を睨んだが、優は自分の考えを整理するように話し始めた。

「ずっと、俺も引っ掛かってけどこの山奧のホテルに、偶然にもクリスチャンのが來るとは思えない、あのゲストは意図的に選ばれたとしか・・・・」

優の考えはの興味を引くものだった。

「そして、スマホを落としたと言っていた。まぁ、ありえない事はないが連絡手段を簡単に人は手放さないと思う。だから、意図的に絶たれたと俺なら考える・・・」

優の考えは筋が通っているが、その強引な考え方をは否定するように

「その考えは強引って思える部分もあるで・・・でも、変な事が多いのは俺も認めるわ・・・・」

そう反論してきたに優は嬉しそうに言った。

「なら、迷った人間が山の上に上がって來るか？助かりたい人は下って行くものやろ？近くに建すらないのに、なにを目指して上がって來た？ここは、隠れたように創られているだから、俺たちはここに住めてるわけやけど・・・・」

そう述べた優には降參したようにため息を聞かすと

「そうやな・・・この場所に足が向くなんて、森に囲まれたホテルに來るなんてな。誰かに呼ばれたとしか考えられないな・・・・」

の態度に優は靜かに肩を叩くと

「歩夢には悪いが真実を確かめよう・・・俺たちの答えが正しいかどうか・・・」

その言葉と同時に優は霧となり消えた。も後を追うように霧となり消えた。

二人が再び現れたのはステンドグラス部屋だった。

優は靜かに中央に置かれている棺を靜かに見つめていた。

「ここは、相変わらず明るいし、枯れない花が咲いているのか・・・」

は部屋の明るさがし辛そうに言うと

「歩夢の思いが暗くならないためと、あと枯れない花じゃなくてアイツがずっと手れをしている証拠や、彼が目覚めた時のためにとな・・・」

そう言いながら優は、棺の蓋をゆっくりと開けた。

やはり、中にはが靜かに眠っていた。その姿を見て優は小さくため息をつき

「あの時のまま眠り続けているか・・・」

確認するように優は靜かにを見つめていたが

「なぁ、あの時も考えるべきやったのかも、このがここに來た理由と目覚めない理由を・・・・」

は自分の鼻にまとわりつく匂いを拭い去るように鼻をり続けていた。

そんなを見て優は可笑しいようで笑うと

「他人事やと思って、ホンマにこれは辛いからな・・・って、俺の記憶が正しかったら」

そう言うとは眠り続けているなの元をゆうくりと広げた。

「ほら、俺の匂いの通りや・・・」

は嬉しそうに告げると優は目を見開き、眠っているの痣をしっかり見ようとしていた。ゲストと形・大きさ・場所、寸分たがわず同じ痣を見つめ続けていた。

「なるほどね・・・・」

優は自分の答えが正しかったと知って嬉しそうに微笑んだ。

すると、は元を開け続けながら優に説明し始めた。當時の事を思い出すように

「なぁ、これは歩夢を助けようとした時の傷で・・・・この首元の二つ並んでいる傷は歩夢が喰いつた跡やな・・・・」

は指をさして場所を教えた。その指のきを優は見ながら

「噛んだ傷すら治ってない・・・・これは、あの日から時がいてない、そして吸鬼になってないってことか・・・・」

そう言うと、ブツブツと言いながら考え込み始めた。

そんな優の様子には呆れたように微笑んでみせるが目の前のは、今にも起きそうなほども良く眠っている。これは優の言うように吸鬼になってないって事だ・・・・とゲストと同じ痣・・・・これは、二人の共通點なのだろ、そうすると先ほど優が話していた事もあながち間違いではないだろうとは思い始めていた。しかし、自分の頭の中の濃い霧は晴れるどころか、どんどん濃いくなっていく・・・・どうしても思い出さなければならない答えを覆い隠そうとするかのように・・・・

も考えを巡らしている時に優が突然、聲を掛けて來た。

「歩夢はこの治ってない傷跡の事は知っているのか？」

優の突然の問いかけには驚きながら

「いや、知らんと思う・・・誰にもそんな事を何も言ってなかったから」

はそう答えながら靜かに眠っているの元を直した。

その時だった、優はパッチと指を鳴らすと

「これで、一本に繋がった・・・・」

そう嬉しそうに告げると、眠っているを見つめた。

やっと糸口を見つけ、自分の心の興を押えられずにいたのだった。自分の見つけた答えが誰かを傷つけることすら知らずに、その為に起こる出來事など知らずに裏切者と知恵比べをしていたのだった。