《スターティング・ブルー〜蒼を宿す青年〜》四章 ─ 明かされる正 ─
それから數時間後。なんとか死神と接出來た俺は目的が同じだという事を伝える事に功する。死神、ラグナは驚きを隠せない表だったが、すぐ納得してくれた。分りは良い方らしい。
「俺は先に彼処へ向かう。死神…ラグナはどうする?」
「二人同時に行っても仕方ねぇだろ。俺は悠人の後から行く。それでいいか?」
「嗚呼、分かった」
ラグナと一旦別れ、統制機構の地下へ向かう。今の時間帯なら誰にも見つからずに行ける筈だ。
「……よっし。やるか!!」
走る速度を上げ、統制機構に突っ込んだ。まさにダイナミック侵。我ながら何やってんだと問いたい。時間が無いから仕方なくとった行だったが、流石にコレは無いなと罪悪に襲われた。とりあえず目的地に直行する。
────────────────────────
「……何やってんだ、彼奴は」
悠人の後ろ姿を遠目で眺めていた俺は、呆れる他無かった。悠人がとった行、走ったまま扉にドーンと當たり。時間が無いとは言っていたが、アレを見てしまうと本當に天才研究員なのかと疑ってしまう。
「……まぁいいか。図書館の奴等も、何故か出てこねぇし。好都合だ」
普通ならあの位派手にやったら何人か出てくる筈だ。だが、一人も出てこない。何かの罠なんじゃねぇかと疑ってはいるが、來ないのなら來てくださいと言ってるようなものだ。おみどおり、俺も侵した。
────────────────────────
って早々違和満載だった。予想通りと言ってはなんだが、閑古鳥が鳴いている。統制機構の部で何かがあったのか、それもついでに解決する必要があるようだ。
「……さてと。そろそろ顔を出してくれないか?なぁ、"キサラギ佐"殿?」
虛空に向けた一言。こんなんで顔を出すのかと思っていたが、意外とあっさり顔を出した。金髪で緑眼、師団長クラスが著る如何にも偉そうな服。手に持つ武は刀とみて間違いないだろう。
「……貴様。何の真似だ?」
「何の真似と言われても、企業としか言えないね。それより、気になるのは衛士が一人も居ないって事だ。佐殿は何かご存知で?」
「これについては統制機構の問題だ。貴様みたいな第七機関の狗に、教える筋合いは無い」
流石師団長クラスに昇進しただけはある。ししか會話していないのに、俺が第七機関とパイプがあるとすぐ分かったらしい。
「おや、コレは心外だ。俺はとっくに第七機関を抜け出した。今は只の咎追いだよ、佐殿」
「……なら、その隠しているものを見せろ。どうせイカれた科學者と通信する為の機械を持っているんだろう?」
そこまで見抜かれているか。なら仕方ない。正直相手にするのは時間が惜しい所だ、速攻でねじ伏せるのが手っ取り早いだろう。後からラグナ、それに彼も來る筈だからな。俺はすぐに臨戦態勢にった。それを見た佐は顔を歪ませ、不気味な笑みを浮かべる。
「いいだろう。僕に喧嘩を売った事、後悔するがいい!!」
「いや、後悔はしないさ。折角の師団長との手合わせだ、楽しみで仕方ないんだよ!!」
俺の何処にこんながあったのだろうか。まるで狂気に取り憑かれたように笑い続け、佐と刃をえた。
────────────────────────
俺が侵した時だ。聞きなれた、それでいて腸が煮えくり返る聲が聞こえてきた。
「ジン、か…?」
間違いない。この聲はジンのものだ。そして、もう一人は悠人だ。コレは間違える事は無い。さっきまで聞いていたから印象に殘っている。だが、二人の聲は笑っている。何かに取り憑かれたように。
「(おいおい…どーなってやがる?まぁいい、悠人がジンの野郎を引き付けている隙に地下へ向かわせて貰うか)」
実を言うと、コレも作戦のだ。悠人が先行、衛士が居れば引き付ける。そうして出來た隙を狙い、俺は地下へ向かうという事だ。悠人が相手にしているのがジンなのは驚いたが、元研究員の悠人があそこまで渡り合えると思っていなかった。
「(死ぬんじゃねぇぞ、悠人)」
心そう思いつつ、地下へ続くエレベーターへ乗り込む。ここまで來れば後は窯を破壊するだけだ。
────────────────────────
悠人に言われた通り、こっそりやってきた私が目撃したのは悠人が統制機構に突っ込んだ所。思わず『何やってんの』と言いたくなった。でも、不思議な事にカグツチ支部に居ると思われる衛士達が出てこない。
「(やっぱり本當だったんだ…)」
衛士達が居ない。この事は悠人から事前に聞かされていた。最初は半信半疑だったが、目の前の事実を否定する訳にはいかない。その後も観察を続けていると、白髪に赤いコートを著た青年が悠人の後を追うように統制機構に侵するのが見えた。見間違いじゃない。SS級反逆者、死神『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』だ。
「(どういう事…悠人はラグナと協力関係だったの…?)」
反逆者に味方するのはこの世界では重罪だ。それは咎追いも例外じゃない。統制機構に目をつけられたが最後、賞金首となり、咎追い達に追われるになる。最悪な事に私は統制機構関係者だ。今見た事を黙認すれば私も罪に問われる。仕方なく、二人の後を追う事にした。
コレが私の運命の引金カラミティ・トリガーとなり、私は二人の運命と共にく事になる。でも、その時の私は考える事すらしなかった。
────────────────────────
「(さて。そろそろいいかなっと)」
時間稼ぎは十分にやった。ラグナは今頃窯まで到達している頃だろう。おもむろにポケットを漁り、閃弾を地面に叩きつける。途端に辺りがで埋め盡くされた。直前にゴーグルを付けていた為、俺の目は守られた。逆に何も付けていないキサラギ佐は目をやられた所だろう。
「貴様っ…最初っからコレが目的か…っ!!」
「そーゆー事。んじゃな、佐殿。次會う時は本気で殺ろうぜ?」
目を潰されまともにけない佐の首元を手刀で軽く叩き、気絶させる。手早く縛り、無力化した。
「……流石佐殿だ。後ちょっとでも長引いたら俺が參っていたな…」
軽く笑い聲を上げる。戦闘時に出ていた大量のアドレナリンが止まった時、のあちこちからが流れる。見れば全凍傷や切り傷だらけだった。流石にやりすぎたと考え込む。でも、これで俺も地下へ向かうだけだ。俺はラグナを追いかけた。
この時、彼が著ていた服の元の一部が裂け、そこにとある文字が出した。勿論彼は気づかない。
書いてある文字は『No.15 οオミクロン=15フィフティーン』。彼が次元接用素の一だという決定的な証拠だった。
────────────────────────
悠人と死神の後を追いかけるように統制機構カグツチ支部にった私。最初に見たのは縛られて気絶しているキサラギ佐。驚いたけど、ここまでやるのは一人しか考えられない。でも、それは考えたくは無かった。死神は彼の後に侵したからだ。
「桐生…悠人…ハルトがやったの?」
悠人が持っていた大剣、何処かで見た事がある漆黒の右手、Aランクの咎追い。でも、彼にそこまでの力があると思えない。考え込んたその時。私の頭を謎の頭痛が襲う。脳が焼けるように痛い。必死で耐えるその中で私が知らない報が流れ込んでくる。私が知らない私、"おそらく起こったであろう事象の中の私が得た報"が。
「何……コレ…ハル、ト…?」
とめどなく流れ込んでくる報の中に『桐生悠人』の姿があった。金髪では無く白髪の悠人が。そして、彼の元に注目が集まる。
「……No.15…?」
流れ込んでくる報はところどころ掠れていてよく見えない。だが、その文字だけははっきりと見えた。まるで、貴だけは知っていてしいと言わんばかりに。その文字を読み上げた時、大量の報による頭痛から私は解放された。肩で大きく息をする。のあちこちは自分がかいた汗でびっしょりだった。
「何なの、今の…No.15…?」
鮮明に見えた文字を忘れないように反復する。それが彼の正かもしれない。その思いをに、先を急いだ。このままだと"又"離れ離れだ。それはなんとしても避けたい。だから走り続けた。
────────────────────────
ノエルが悠人とラグナを追いかけている頃、傍観者が住む屋敷では悠人の覚醒が近い事をづいていた。
「あの娘が悠人の正を知った。コレで悠人の覚醒が間近になったわね。ふふ…楽しみね」
傍観者、レイチェル=アルカードは一人で笑う。まるで子供が新しい玩で遊ぶかのようにニコニコと。それは、ある意味恐怖をじさせる。だが、止める者は誰も居ない。
────────────────────────
俺が地下奧深くへ辿り著いた時、 あの景が蘇る。"初めて"あのと戦った時の景が。俺とは機械的に、ラグナに対しては人のように話すあのを。今此処で再び見た。その時、彼のは予めプログラムされたかのように機械的に喋り始める。『桐生悠人』という人格を他所に。
「対象、認識。同一と認識。貴方、誰。」
「俺、俺……………私、私は次元接用素、No.15。対象、同一と認識。狀況説明を求む。(おい待て、何勝手に喋ってんだよ俺?!駄目だ、がかねえっ!!)」
桐生悠人の意思とは裏腹に、目の前のと同じ機械的な言葉を紡ぐ彼の口。それは止まる事を知らず、會話を続ける。
「対象、不正同一と認識。自壊を求める」
「勧告、拒否。生存を最優先とする」
「対象、排除対象と認識。よって」
「「対象の殲滅を開始します」」
機械的な喋り方のまま、戦闘態勢にると悠人。は悠人と初めて戦った時と全く同じ武裝を見に纏い、こちらを睨みつける。対する悠人は見よう見真似で自らの大剣をにつけた。は白、悠人は黒の兵と化す。そして、互いに刃をぶつけ合う。二人共バイザーらしきものを裝著している為、表は全く分からない。だが、二人の戦いを見た人はこう言うだろう。『禍々しくも、神々しさが見られる』、と。
────────────────────────
自分のに潛んでいた何かにの支配権を取られ、と同じ武裝を纏わされ、戦わされる悠人。先に地下へ向かった筈のラグナは何処へ行ったのか。それは分からない……
────────────────────────
第四章、いかがでしたか?
桐生悠人が出會った人。それは最初に戦ったでした。そして、悠人の正もここで明らかになっています。コレが今後にどう影響するのか。
そして、最後ら辺にちょくちょく出てきた傍観者の名前も此処で明らかに。彼もこの先悠人達と関わっていきます。
それでは、又次の章で…
【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】
2022/6/7 書籍化決定しました! 「フィーグ・ロー。フィーグ、お前の正式採用は無しだ。クビだよ」 この物語の主人公、フィーグはスキルを整備する「スキルメンテ」が外れスキルだと斷じた勇者によって、勇者パーティをクビになった。 「メンテ」とは、スキルを整備・改造する能力だ。酷使して暴走したスキルを修復したり、複數のスキルを掛け合わせ改造することができる。 勇者パーティが快進撃を続けていたのは、フィーグのおかげでもあった。 追放後、フィーグは故郷に戻る。そこでは、様々な者にメンテの能力を認められており、彼は引く手數多であった。 「メンテ」による改造は、やがて【魔改造】と呼ばれる強大な能力に次第に発展していく。 以前、冒険者パーティでひどい目に遭った女剣士リリアや聖女の能力を疑われ婚約破棄されたエリシスなど、自信を失った仲間のスキルを魔改造し、力と自信を取り戻させるフィーグ。 次第にフィーグのパーティは世界最強へ進化していき、栄光の道を歩むことになる。 一方、勇者に加擔していた王都のギルマスは、企みが発覚し、沒落していくのだった。また、勇者アクファも當然のごとくその地位を失っていく——。 ※カクヨム様その他でも掲載していますが、なろう様版が改稿最新版になります。
8 68聖女が來るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】
「私は聖女を愛さなければいけない。だから君を愛することはない」 夫となるユーリ陛下にそう言われた私は、お飾りの王妃として靜かに日々を過ごしていくことを決意する。 だが、いざ聖女が召喚されたと思ったら……えっ? 聖女は5歳? その上怯え切って、體には毆られた痕跡が。 痛む心をぐっとこらえ、私は決意する。 「この子は、私がたっぷり愛します!」 身も心も傷ついた聖女(5歳)が、エデリーンにひたすら甘やかされ愛されてすくすく成長し、ついでに色々無雙したり。 そうしているうちに、ユーリ陛下の態度にも変化が出て……? *総合月間1位の短編「聖女が來るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、夫と聖女の様子がおかしいのですが」の連載版となります。 *3話目だけ少し痛々しい要素が入っていますが、すぐ終わります……! *「◆――〇〇」と入っている箇所は別人物視點になります。 *カクヨムにも掲載しています。 ★おかげさまで、書籍化&コミカライズが決定いたしました!本當にありがとうございます!
8 142【書籍化】男性不信の元令嬢は、好色殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)
「クレア・ラディシュ! 貴様のような魔法一つ満足に使えないような無能は、王子たる私の婚約者として相応しくない!」 王立學園の謝恩パーティで、突然始まった、オリバー王子による斷罪劇。 クレアは、扇をパタンと閉じると、オリバーに向かって三本の指を突き出した。 「オリバー様。これが何だかお分かりになりますか?」 「突然なんだ! 指が三本、だろう? それがどうした」 「これは、今までラディツ辺境伯家から王家に対して婚約解消を申し入れた回數ですわ」 「なっ!」 最後に真実をぶちまけて退出しようとするクレア。 しかし、亂暴に腕を摑まれ、魔力が暴走。 気を失ったクレアが目を覚ますと、そこは牢獄であった。 しかも、自分が忌み嫌われる魔女であることが発覚し……。 ――これは、理不盡な婚約破棄→投獄という、どん底スタートした令嬢が、紆余曲折ありつつも、結果的にざまぁしたり、幸せになる話である。 ※本編完結済み、番外編を更新中。 ※書籍化企畫進行中。漫畫化します。
8 136僕はまた、あの鈴の音を聞く
皆さまの評価がモチベーションへとつながりますので、この作品が、少しでも気になった方は是非、高評価をお願いします。 また、作者が実力不足な為おかしな點がいくつもあるかと思われます。ご気づきの際は、是非コメントでのご指摘よろしくお願い致します。 《以下、あらすじです↓》 目を覚ますと、真っ白な天井があった。 橫には點滴がつけられていたことから、病院であることを理解したが、自分の記憶がない。 自分に関する記憶のみがないのだ。 自分が歩んできた人生そのものが抜け落ちたような感じ。 不安や、虛無感を感じながら、僕は狀況を把握するためにベットから降りた。 ーチリン、チリン その時、どこからか鈴が鳴る音が聞こえた。
8 101スキルが転職と転生?最強じゃないか
これはとある世界から召喚された主人公の物語 主人公の翔は転職と転生というスキルを手に入れたが…? 翔はこのスキルを使い、最強に駆け上がる!
8 167出雲の阿國は銀盤に舞う
氷上の舞踏會とも形容されるアイスダンス。その選手である高校生、名越朋時は重度のあがり癥に苦しんでおり、その克服の願をかけに出雲大社を訪れる。願をかけたその瞬間 雷のような青白い光が近くにいた貓に直撃!動揺する朋時に、體を伸ばしてアクビをすると貓は言った。『ああ、驚いた』。自らを「出雲の阿國」だと言う貓の指導の下、朋時はパートナーの愛花とともに全日本ジュニア選手権の頂點を目指す。 參考文獻 『表情の舞 煌めくアイスダンサーたち』【著】田村明子 新書館 『氷上の光と影 ―知られざるフィギュアスケート』【著】田村明子 新潮文庫 『氷上の美しき戦士たち』【著】田村明子 新書館 『DVDでもっと華麗に! 魅せるフィギュアスケート 上達のコツ50 改訂版』【監】西田美和 メイツ出版株式會社 『フィギュアスケートはじめました。 大人でもはじめていいんだ! 教室・衣裝選びから技のコツまで 別世界に飛び込んだ體験記』【著】佐倉美穂 誠文堂新光社 『フィギュアスケート 美のテクニック』【著】野口美恵 新書館 『表現スポーツのコンディショニング 新體操・フィギュアスケート・バレエ編』【著】有吉與志恵 ベースボール・マガジン社 『バレエ・テクニックのすべて』【著】赤尾雄人 新書館 『トップスケーターのすごさがわかるフィギュアスケート』【著】中野友加里 ポプラ社 『絵でみる江戸の女子図鑑』【著】善養寺ススム 廣済堂出版 『真説 出雲の阿國』【著】早乙女貢 読売新聞 また阿川佐和子氏『出雲の阿國』(中公文庫)に大きな影響を受けておりますことを申し述べておきます。
8 156