《私は、海軍最強航空隊のパイロットだった》第一章 ④一対一
昭和17年2月19日   臺灣沖
    太平洋での激しい戦いとは裏腹にここ臺灣沖、南シナ海の波はとても穏やかであった。
    その海上を一隻の潛水艦が航行していた。
  「艦長、臺灣まであと2時間です」
  「ありがとう副長」
    潛水艦「伊62」艦長  古川 真希 佐はまだ見えぬ臺灣の方角を眺めていた。
  「先程通達がありました英機部隊は一航艦が叩くそうです」
  「さすがに大規模ね。まあ、私たちには別任務があるだろうけど」
    一航艦がインド洋に進出すれば、當然太平洋の守りは薄くなる。
    古川は、自分達もそちらへ回されるのだろうと思った。
     
  「ま、私達潛水艦乗りにはよく分からないことだよ」 
  「そうですね」
    そろそろ目的地、臺灣が見えてくる頃だろう。
    古川は再び遠方に目をやった。
    
同日   橫須賀第一飛行場
  「さて、早速格闘戦訓練、やってみようか」
    これには武本だけでなく、他の二人も驚いた。
    無理もない、昨日まで飛ぶこともままならなかった鷲にいきなり狩をしろというものだ。
  「えぇと、それはどういう・・・」
  「心配するな、準備は整ってる」
  「でもいきなりは」
  「飛べなくはないのだろ。ならば1対1の模擬空戦くらいできるはずだ」
    もちろん勝てる見込みなどあるはずがない。
    
  「隊長、それはさすがに荷が重いのでは?」
   
    赤羽が口を挾む。
    しかし、阪口はきっぱりと言い切った。
   「時間が無いんだ。今からでも模擬空戦を始めないと出撃までに間に合わん。まあ、それでもいいなら話は別だが?」
 
    視線が武本に向けられる。
   
  「わかりました。やりましょう」
                                            ○
  「大尉殿、見つけました。左三十度下方です」
  
    縦手からの報告通り、下からは戦闘機が二機上昇してきていた。
  「できるだけ高度をとって。確認が取れる範囲で」
  「はっ!」
  「瑞鶴」戦闘機隊長  中川 華奈  大尉は縦手に伝えると上昇してくる機に見った。
    言うまでもなくその二機とは武本一飛曹と、今回相手をする長谷川中尉の機だ。
    
  「そろそろ始まりそうですね」
  「そうね、まあ結果はわかってることだけど」
     中川が乗っているのは三人乗りの 「中島」九七式艦上攻撃機、通稱「九七」艦攻である。
    戦闘機隊長の中川は自の希で、最も見やすい上空から観察する。
    ちなみに相手に有効弾をあたえられる位置を5秒以上保てば「撃墜」とみなされる。
  「どうなるのか楽しみね」
    
    空戦訓練は當然たが2機以上でおこなう、つまり武本には相手が必要である。
    そこで相手には阪口の推薦で中隊長の長谷川が務めることになった。
    また、模擬戦は三本勝負とし、その武本が一本でも取れば「勝ち」とされた。
   「新りが中尉と空戦やるらしいぞ」
   「いくらなんでも相手が・・・」
   「まあ、勝敗は決したな」
   
    走路脇に集まって來た非番の搭乗員や整備員らは長谷川の勝ちだと口々にするのが聞こえる。
    その中に笹原、赤羽らも混じっていた。
   「佐はどうしてこんな方法を。エースの長谷川中尉になんて勝てるわけが・・・」
   「もしかしたら、自分の技量を認めさせようとしているのかも。ここじゃあやっていけないって」
   「そんな!」
   「はじまるわよ」
    上空にいた2機の零戦が今まさに、戦闘にろうとしていた。
  「さて、貴様の技量を見せてもらおうじゃないか!」
    長谷川、武本の2機は、模擬戦に突した。
    お互い相手の後ろを取ろうと、グルグルと回り始める。
    搭乗員にかかる強烈なGより長く耐えた方が後ろを取れるのだ。
    先に諦めたのは武本だった。
  「まだまだだな武本!そんなものでは勝てんぞ!」
    長谷川機が一気に間を詰める。
    武本もなんとか振り切ろうとするが、長谷川は食らいつく。
  「もらった!」
    ついに長谷川が武本機を捉えた。
  「長谷川中尉、一本!」
    雑音混じりの無線から判定員の聲が聞こえてきた。
    零戦に搭載される「九六式空一號無線電話機」は雑音が多く、戦闘ではあまり使いにならない代であったが、訓練ではこのように活用できる場もあった。
  「よし、次!」
    再び模擬戦が始まる。
    またしても後ろを取ったのは長谷川であった。 
  「いくぞ!」
    だが、今度は武本もいた。
    スロットルを絞り、左への急旋回で長谷川の後ろに付こうとしたのだ。
    零戦は左旋回での格闘戦を得意とする。
    しかし。
  「やるなあ、だが!」
    相手にとってもそれは同じこと。
    すぐさま長谷川は、機を宙返りさせ、そして。
  「もらったぁ!」
    長谷川の二本目である。
    つまり、武本には後がなくなった。
  「よし、あと一本!」
    最後の勝負。
    長谷川の瞬殺でおわるだろう。
    誰もがそう思っていた。
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