《複垢調査 飛騨亜禮》TOKOYO DRIVE

「ゲームエンジン<TOKOYO DRIVE>は、この<刀撃ロボットパラダイス>の地下迷宮最深部の先、『火星ステージ』のどこかにあると言われています」

<常世岐姫命>はライトの方を向き直って語りだした。

「それを僕が探せばいいのですか?」

ライトは訊き返した。

「そうです。この転位魔方陣の先に『火星ステージ』があります。だけど、そこには竜頭蛇尾のボトムウォーリアー數千機が護っているという報があります。おそらく、ライト君のSSSRトリプルエスレアクラスのボトムドール<紅くれない>以外ではこの任務は無理でしょう」

の雙眸が懇願するようにライトを見つめた。

「なるほど、それならわかります。また、聞いちゃいますが<TOKOYO DRIVE>とはどういうものなのですか?」

ライトはし誇らしい気持ちになって安請け合いした。

「ゲームエンジン<TOKOYO DRIVE>とは<刀撃ロボットパラダイス>に組み込まれたプログラムのひとつです。だけど、その役割は『異世界からやってくる侵攻者をこの世に導く門ゲート』なのです。あれを破壊しなければ、<異世界侵攻軍>からの侵略を防ぐことができないのです」

<常世岐姫命>の瞳が一瞬、紅に燃え上がったように見えた。

「分かりました。僕も微力ながらがんばってみます。安心して下さい」

ライトは英雄願を刺激されて宣言した。

確かに、<刀撃ロボパラ>の中ではライトのSSSRトリプルエスレアクラスのボトムドール<紅くれない>は無雙の力を発揮してほとんど無敵に近かった。

この機の力ならば、數千機のボトムウォーリアーにも引けは取らない。

「安心しました。よろしくお願いします。ライト君」

<常世岐姫命>が彼の最のアンドロイド『エリィ』の姿で微笑んだ。

ライトにこの依頼を斷ることなど最初からありえない事だった。

「あ、<常世岐姫命>さま、竜頭のボトムウォーリアーが現れたようです」

ライトはボトムドール<紅>のメインモニターを見つめた。

<常世岐姫命>もそちらの方に向き直った。

そこにはライトの機の十倍ほどの巨大なボトムウォーリアーが映っていた。

ライトのボトムドール<紅>はに隠れてると同時に、隠蔽裝甲ステルスで姿を隠していた。

萬が一にも見つかる心配はなかったが、音波探知なども警戒して息を潛めた。

竜頭のボトムウォーリアーは転位魔方陣の中央に進んでそこでかなくなった。

がに包まれてしばらくすると、霞のようにその姿が消失していった。

(では、ライト君もあそこに進んでください。転位魔方陣は三分間は転位が継続します。今ならライト君も『火星ステージ』に転位できます)

<常世岐姫命>の言葉は思念波テレパシーに変わった。

ライトは靜かにうなづいく。

(はい。では、行きます)

ライトはボトムドール<紅>は反重力エンジンでるように転位魔方陣に移した。

まもなく、ライトの機も緑に包まれて転位していった。

転位先につくとライトはボトムドール<紅>を駆って、竜頭のボトムウォーリアーを追った。

<刀撃ロボパラ>の『火星ステージ』は本の火星のように赤い砂と巖石に覆われた地表だった。

ライトは砂があまり舞い上がらないように、反重力エンジンでし浮き上がって追跡していった。

しばらくいくと、大きな巖山が出現して窟のようなものが見えた。

竜頭のボトムウォーリアーはその暗い口から中にっていった。

(追うしかないですね?)

ライトはエリィの姿をした<常世岐姫命>に判斷を仰ぐように尋ねた。

(そうして下さい)

<常世岐姫命>は當然、そう答える。

ライトのボトムドール<紅>は用心しながら窟に侵していった。

窟の中はかなり高い天井になっていて、巨大なボトムウォーリアーが楽々と通れるようになっていた。

壁はぬるぬるとした気味悪いスライムのような植に覆われていて、まるで何か巨大な生にいるような雰囲気だった。

床も同様でライトのボトムドール<紅>は反重力エンジンでし浮きあがって進んでいた。

(どこまでいくんでしょうね?)

ライトは不安になって訊いてきた。

(分かりません。このまま追跡してください)

<常世岐姫命>のもつ<時空眼>でも、この窟の先は見通せないらしく、ライトにそういいうしかなかった。

実は時空間がゆがんでいて、さすがの<常世岐姫命>にも見極めが難しかったのだ。

つまり、この時空偏位こそが、ゲームエンジン<TOKOYO DRIVE>に近づいてる証拠でもあり、時空のゆがみの結節點こそがブラックホールのような『異世界転位門』である可能が高かった。

(あれは!)

ライトは思わず心の中でんだ。

聲を出すまいとは必死で結んだままだ。

(『異世界転位門』! ライト君、戦闘準備をして下さい)

に瞬く芒がライトの視界の前に開けた。

同時に、巨大なジオフロントの空間に千機ほどの巨大なボトムウォーリアーが地下要塞を守護していた。

さて、どうやって倒すか。

ライトはSSSRトリプルエスレアクラスボトムドール<紅>のもうひとつの子波エンジンをゆっくりと起した。

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