《複垢調査 飛騨亜禮》タイムループ
「へえ、未來で僕は<APアンドロイドポリス>をやってるんだ?」
メガネは自分の未來の事なので興味深く聞いていた。
そこはWeb小説投稿サイト<作家でたまごごはん>の會議室であった。
荒唐無稽な話だが、メガネは安倍晴明、安東要と信長の時代に行ったことがあるので、まあ、そういう事もあるかなと考えていた。
その考えは実はかなり異常なのだが、神楽舞も最近までメガネに憑依していて復活した織田信長の接待とかやってた関係上、別に不思議にも思わなかった。
「それって、タイムループってやつじゃない?」
神楽舞はまた厄介な奴が迷い込んできたと思いつつ、ついつい不思議な話は好きだったのでい込まれつつあった。
「タイムループていうより、タイムスリップというか、タイムトラベルだと思いますが」
ライトはアンドロイド<エリィ>と兄弟のような金髪で、碧の瞳を細めて冷靜に指摘する。
「そうね。ループはまだ・・してないものね」
「舞さん、ちょっと変なこと言うのはやめて下さいよ。舞さんの場合、言霊の力が強いので予言になっちゃいますよ」
メガネはテーブルの上のみたらしだんごをアンドロイドのエリィちゃんに勧めながら、不吉な発言をしてしまった自分に驚いた。
「そんなつもりないのよ。ただ、頭に言葉が浮かんじゃって………」
舞はそう言い放った自分に思わず汗をかきはじめていた。
「それが一番、まずいパターンですよ」
メガネも嫌な予しかしない。
「確かに。この前は織田信長が來たりしたもんね」
舞はついつい余計な事を口走ってしまう。
口に手を當てているが、もう遅い。
「信長殿が?」
エリィちゃんが妙に古風なしゃべり方をした。
何か本人を知ってるような口振りである。
「いやいや、冗談ですよ。もちろん」
メガネは上手くフォローする。
「あ、エリィはちょっと初期言語設定を間違えまして、変なしゃべり方ですいません」
ライトもまさか古代の神がエリィに憑依してるなどと言える訳もなく、適當に誤魔化した。
お互い妙な空気が流れたが、何とか話は元に戻る。
雙方ともを抱えていたので、ここは上手く納めたかったのだ。
「で、當分、未來に帰れそうもないので、しここでご厄介になっていいでしょうか?」
ライトは図々しいとは思ったが、思い切って頼んでみた。
「そうですね。舞さん、大丈夫ですよね?」
「―――まあ、仕方がないわね。しの間なら」
舞は渋々ながら承諾した。
これを利用して織田信長を追い出す謀も巡らせていた。
「良かった。助かります」
ライトはひとまず一息ついた。
†
「メガネ君、全く、あなたは厄介な人ばかり拾ってきて困ったものね」
會議室のドアを閉めて廊下に出てからしばらくして、舞は、小言を言い始めた。
「僕のせいじゃないし、仕方ないじゃないですか、舞さん」
メガネも言い訳をしたくなった。
「確かにそうだけど、例の人はどうするの?」
「まあ、僕のアパートにでも引き取りますよ」
信長のことであるが、何かそれも気が重いのだが仕方ない。
「なら、結構、それは助かるわ」
本當にいい笑顔をする神楽舞であった。
これでトラブルの種がひとつ減ったので、し嬉しくなったのだ。
「そういえば、例の人はどこに居るの?」
「すでに僕の家でゲーム大會に參加してます」
「まさか……」
「もちろん、<刀剣ロボットバトルパラダイス>ですよ」
メガネはやりきれない表で答えた。
†
「常世岐姫命さま、これからどうしましょうか?」
とりあえず、ここに置いて貰えそうだったが、さすがのライトも途方に暮れていた。
「いや、そんなに落膽することはない。信長公が復活しているのは・・・・・・・・なかなかいい知らせですよ」
エリィは謎めいた口振りで話しはじめた。
「それはどういうことなんですか?」
ライトは當しながら聞き返した。
「そろそろ、ライト君にも真相を話しておきましょうか。私の使命と役割を」
エリィの碧の瞳が瞬いた。
「時間もあることだし、長い長い昔話をしましょうか」
そして、エリィの姿をした常世岐姫命はゆっくりと語りだした。
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