《複垢調査 飛騨亜禮》信長降臨

メガネのボトムストライカーが大地に投げ出された。

赤い砂塵が舞い上がる。

龍頭のボトムウォーリアーの巨大な尾による一撃である。

背後からの攻撃ゆえに全く知できず、メガネの意識も一瞬、遠のきかける。

幸い、機に大きな損傷はない。

だが、龍頭のボトムウォーリアーは再び、その巨大な尾でメガネ機を打ちすえた。

左手でガードするが、そのまま吹っ飛ばされてしまう。

パワーが違い過ぎるのだ。

衝撃を橫回転で和らげて、上手くを取って素早く立ち上がる。

そして、そのまま距離を取った。

腰の<水龍剣>に手をかけて居合の間合いを図る。

が、あまりに格差かありすぎて、到底、間合いにれそうもない。

(メガネ、何とかなりそうか?)

信長が心話で話しかける。

(なかなか厳しいですね)

メガネは不用意に転位魔方陣にってしまったことを後悔していた。

アバターの掌に冷や汗が吹き出してきた。

だが、このまま逃げ回っても埒があかないし、思い切って突撃してみる。

何とか間合にるしかない。

巨大な尾が暴風を伴ってメガネを襲う。

一撃目は何とかをかわしたが、二撃目が左足にひっかかって機が回転して吹っ飛ばされた。

しかも、まずい事に、今度は左足の関節が上手くかない。

破損のアラームランプが點滅している。

龍頭のボトムウォーリアーの巨大な尾がメガネの<ニンジャハインド>を滅多打ちにする。

両手でガードしているが、長くは持ちそうもない。

(メガネ、しっかりしろ!)

そうびながら、神霊である信長はその景をただ見守るしかなかった。

例えゲームの中でも質界には直接、干渉することはできない。

神生命である神霊の信長が質界に働きかけるためには何かの<憑代よりしろ>が必要である。

そんなものがこの火星世界、正確には<火星ステージ>にあるはずがない。

メガネの<ニンジャハインド>は彼のメイン機ではなくサブ機であるが、敵陣に潛する隠用していて、それなりの経験値と能をもつ大事な機である。

メガネが<ニンジャハインド>をとても大切に整備してることを信長はよく知っていた。

たかがゲームの機であるが、されどそれはメガネの汗と苦労の結晶である。

それが失われることは、そのことを良く知っている信長にとっても忍びないことだった。

(憑代よりしろなどあるはずが………あれは、何じゃ?)

信長の<魔人眼>の視界に赤い砂塵の彼方に奇妙なものが見えた。

黃金に輝く人形ひとがたの何かが砂に埋まっていた。

それは生命ではなかった。

廃棄された機械のであった。

付喪神つくもがみ、長い年月を経た道などに神霊や霊、霊魂などが宿ることがある。

ならば、機械のであっても神霊が宿ることが可能かもしれない。

(ええい、ままよ!)

信長の神霊、メガネに宿っていた<アストラル・ボディ>が瞬間移して、黃金に輝く人形ひとがたに憑依した。

(なんじゃ、こりゃ?)

憑依した黃金のが再起リブートする。

背中の雙発のジェットエンジンが噴して凄まじい加速がかかる。

信長はそのまま頭から、龍頭のボトムウォーリアーに突っ込んで行った。

不能の信長の特攻をまともにけた龍頭のボトムウォーリアーは、さすがにその巨を揺らして赤い大地に倒れた。

メガネはやっと開放されて、機をようやく立て直した。

(メガネ、大丈夫か?)

信長の心話がメガネに響いた。

 (信長さま?)

メガネはそこに生前の織田信長の姿を見ていた。

細面の顔にどじょう髭ひげ、洋風の黒マントの裏地は真紅である。

漆黒の鎧に刀<へし切長谷部>が黃金の鞘に収まっている。

颯爽とした出で立ちで、黒のブーツがとてもおしゃれである。

それが謎の<境界次元変換機械生命マージナル・ボディ>と信長との最初の出會いであった。

(あとがき)

<境界次元変換機械生命/マージナル・ボディ>って何なんでしょうね?

作者も全くわからない(

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