《名探偵の推理日記〜雪の殺人〜》プロローグ
    凍えるような寒さの中、俺は妻の亜ともうすぐ中學2年生になる娘の穂を車に乗せ、雪の降り積もる山道を車で走っていた。なぜそんな事をしなければいけなくなったのかと言うと、俺が知り合いの刑事からある殺人事件の捜査を頼まれたからだ。
「こんな寒い日はコタツにってのんびりしてたいのになぁ。」
俺は不満げな口調でそうぼやいた。それを隣で聞いていた亜が俺をなだめるようにこう言った。
「刑事さん達から事件の捜査を任されたってことは、あなたの推理力が認められたってことじゃない。ね、そうでしょ。」
「そうだよ。お父さんの推理力が頼りにされてるんだよ。」
穂が続けてそう言った。俺の推理力が認められたということは、これ以上にないほど嬉しい事だが、正直認められて最初の事件がここでなくてはいけない理由が俺には理解出來なかった。
    しばらく雪に覆われた山道を走っていると、奧の方に小さな赤い燈りが見えた。
「もうすぐで著きそうね。穂、降りる準備しておくのよ。」
亜は優しく穂に呼びかけた。燈りの方へ近づいていくと建の像がうっすら見えてきた。その建はおしゃれな作りではあったが、建自は小さなもので、あちこちに氷柱がぶら下がっていた。建の前まで來ると、俺は建の周りに何臺か止めてあるパトカーの列の一番奧に車を止めた。
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