《名探偵の推理日記零〜哀のブラッドジュエル〜》第2章 暗がりの黒翼 1
7月23日午前0時。
夏の夜の闇に紛れるように、クロウは目的地へ向かって都心上空を飛行していた。
晝間のギラギラと照りつける太がない分し涼しさをじるが、それでもまだ吹き出る汗は止まることを知らなかった。
クロウはポケットから黒いハンカチを取り出すと、額に滴る汗を拭った。
周囲の景は都心から郊外へと移り、クロウの真下には閑靜な住宅街が広がっていた。都心の忙しなく騒がしい雰囲気とは違い、ここには穏やかで靜かな印象をける。
夜の闇が手伝ってか、その印象はより一層強くじられた。
住宅街を飛行すること數分、取り囲む闇の中に一點のを見つけると、クロウはそれに向かってスピードを上げた。
に近づくと、今度は逆にスピードを落として、靜かにへと近づいていく。
「まだ起きてるのか?」
ターゲットに半ば呆れながら、クロウはドローンバイクから飛び降りた。
ドローンバイクに吊られたはまるで、空を自在に飛ぶカラスのようだった。
窓は完全に締め切られており、部屋には1人テレビに向かってコントローラーを作する高校生がこちらには目もくれず、テレビと睨めっこしていた。
『コンコン』
クロウが窓をノックすると、その高校生はこちらを一瞥すると、コントローラーで何やら作を済ませ、億劫そうに窓を開けた。
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
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