《名探偵の推理日記零〜哀のブラッドジュエル〜》第3章 恐怖の"カグツチ" 3
「それにしても怪盜クロウって一どんな奴なんですかね?」
助手席に座る城ノ口は腕を組んで、視線を宙に泳がせた。
「東京で殺人もしてるし、獲を捕らえるためなら手段を選ばない殺人鬼なんじゃねーか?」
鳥羽も腕を組み、眉間にシワを寄せる。
「そうか?今回の寶石を狙うだけなんだったら、わざわざ建田さんを殺す必要あるか?」
圭介が鳥羽の推理に突っ込む。
「もしかしたら顔を見られたとか?」
亜が人差し指をピンと立てて、自分の推理を披する。
「俺も赤澤財閥のトップもそいつの顔見てるんだぞ?」
「そっか。うーん……」
亜が立てたままの人差し指にあごをのせて考え込む。
「じゃあお前はどう思うんだ?今回の事件」
鳥羽は全く分からないと言った様子で圭介に尋ねた。
「恐らくこの事件には他の人間が関わってると思うんだ」
圭介は顎に手を置いた。
そんな真剣な圭介達を目に、城ノ口が口を開いた。
「あの、ホテル著きましたよ?」
「おぉ、全然気付かなかった」
鳥羽が笑って頭を掻く。
真剣になりすぎたせいか、後部座席の3人全員が既に車が停車していたことに気付いていなかった。
パトカーから降りると、目の前には細く長い建が聳え立っていた。
「どうです?すごいでしょ?」
あまりの凄さに言葉を失っていた圭介達の背後から男が聲をかけてきた。
「あなたはもしかして……」
鳥羽の言葉を遮るように、城ノ口が前に出た。
「赤澤財閥トップの赤澤勉さんですね?」
「いかにも」
勉は笑顔で軽く右手を挙げた。
「私三重県警の城ノ口と申します。今回は捜査に協力いただきありがとうございます」
城ノ口は勉に左手で握手を求めた。
「こちらこそよろしく頼みますよ」
勉も握手に快く応えた。
一通り自分の紹介を終えた城ノ口は次に圭介達の紹介を始めた。
「こちらは警視庁刑事部捜査一課所屬の鳥羽警部です」
「よろしくお願いします」
鳥羽も城ノ口に倣って勉に握手を求める。
「そしてこちらが鳥羽警部の付き添いの圭介くんと、亜さんです」
「よろしくお願いします」
2人は張気味で握手はせず、軽く頭を下げるだけだった。
「こんなところで立ち話もなんですから、どうぞ上がってください。」
勉は4人を促すと、ホテルに向かって歩を進めた。
4人も勉の後に続くように、踵を返すと、ホテルに向かって歩を進めた。
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