《名探偵の推理日記零〜哀のブラッドジュエル〜》第3章 恐怖の"カグツチ" 8
客室への階段を降りると、勉は再び踵を返した。
「今日は寶石の警護ということなので、特別にこの階のお部屋をご用意いたしました」
「ほ、本當ですか!?本當にこのVIP専用の階に宿泊出來るんですか!?」
城ノ口が勉に詰め寄る。
「は、はい。もちろんです……」
城ノ口の勢いにやや引きながら、勉は答えた。
「でもいいんですか?寶石の警護とはいえそんないいお部屋を私たちの為に……」
鳥羽が申し訳なさそうな表で勉を見る。
「はい。むしろ寶石の展示室で何かあった時に遠くの部屋だとあの怪盜に逃げられてしまうかもしれないですから。早速ですけど、お部屋はこちらの2部屋になります」
勉がエレベーターの両脇の部屋を指差す。
「7001號室は鳥羽さんと城ノ口さん。7011號室は圭介くんと亜さんのお部屋です。キーはこちらになります。18時には69階のオーシャンビューレストランにてご夕食會がありますから是非お越し下さい」
勉はホテルの説明を一通り終えると、圭介たちに部屋のカードキーを手渡し、1人でエレベーターへ乗り込んだ。
「とりあえず夕食まで時間もあるし、ちょっと休憩しようぜ」
鳥羽は大口を開けてあくびをすると、城ノ口を連れて部屋へとっていった。
朝から事件のせいで叩き起こされた鳥羽にとって、1秒でも何も考えず目を瞑っている時間がほしいのだ。
夜遅くまで徹夜でゲームをしていたにも関わらず、セミのせいで最悪の目覚めを迎えてしまった圭介もそれは同じだった。
「俺たちもちょっと休憩するか」
圭介も渡されたカードキーで扉を開けると、先に亜を中にれ、その後に続いて自らも部屋へとった。
り口を抜けると、すぐ橫に所があり、さらに廊下を進んだ先には海が一できる大きな窓のついたベッドルームが待ち構えていた。
「へぇ、さすがVIP専用客室だな」
圭介は真っ先に窓の前に行くと、そこから見える海を眺めた。
「本當。……そういえば琴はどこにいるのかな?」
亜も圭介の橫に立って海を眺める。
「そういえばまだ顔見てなかったな」
「でも寶石のお披目會には出席するはずよね?」
『ガタッ』
「わっ!何!?今の音!?」
突然どこかから聞こえてきた音に亜は怯えた様子で圭介を見た。
「き、気のせいだろ?」
次の瞬間、待っていましたとばかりにクローゼットから見覚えのあるが顔を覗かせた。
「み、琴!!??」
2人が同時に驚きの聲を上げた。
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