朝のざしが學校の廊下を満たしていた。時刻は九時に差し迫り生徒たちは教室に集まっている。

靜かな廊下はホームルームの開始をじさせるが、そこにはの教師だけでなくもう一人の男子生徒が歩いていた。

「張してない？　みんないい子だし、すぐに友達もできるわ」

「は、はい、ありがとうございます」

教師からの気遣いに年は固い聲で答える。

剣島聖治けんじませいじ。今日は彼の転校日だ。真新しい制服にを包み表は初めての転校というものに張している。

聖治は遠くを見るような気持ちで天井を見上げてみた。

（転校、かあ）

自分の境遇にしみじみとした思いが沸いてくる。両親は二人とも海外出張で出ていってしまい、日本には自分だけが殘った。これからどうなってしまうのか。今後のことを思うと気が重い。

「はあ」

聖治は憂鬱なまま廊下を歩いた。

すると教師が立ち止まった。見れば自分のクラスである二年四組の札がかかっている。ここだ。聖治の張が一層高まった。

「それじゃあここでし待っててね。私が呼んだら教室にってきて。自己紹介してもらうから」

「は、はい」

そういうと先生は教室へとっていった。言われたまま扉の前で待つ。張からか妙に心臓のきがぎこちない。

リズムが悪いというか一回の鼓が大きいというか。聖治は不甲斐ない自分にまたもため息を吐いた。

そうしていると先生から転校生が來ることが伝えられたようでクラスから聲があがった。

（変に期待されてないよな……？）

もうる前からくたくただ。

「それじゃあって來て」

先生に呼ばれる。しだけ躊躇う気持ちはあるが行かなばなるまい。ここで引き返してもどこに行けばいいというのか。

聖治は固いきで扉を開き教室へと一歩を踏み出した。みなからの視線をじる。聖治はあまり見ないように視線を下げて黒板の前に立った。

顔を上げてみれば、クラスメイト全員が自分を見ている。

「…………」

とても張する。

「彼が今日から新しくクラスメイトになる剣島聖治けんじませいじ君よ。じゃあ自己紹介してもらえるかしら」

先生から促され聖治も心を決めた。不安な表に気合いをれて、これから一緒に過ごすクラスメイトたちへと聲をかけた。

「はじめまして。剣島聖治です。よろしく。お願いします」

張を殘しながら聖治はあいさつし小さく頭を下げる。聖治の自己紹介が終わったことにクラスメイトたちから拍手が送られてきた。

當然の反応と言えば當然の反応だが、張していたわりには呆気ない。

（なんか、俺の気負いすぎだったな）

案外そういうものかもしれない。

その後は席に案され、空いている席に座った。先生から他の伝達事項が告げられホームルームは終わりとなった。先生が出ていく。

（あ）

とたんに取り殘された気分だ。周りに人はいるのに孤獨がすごい。これなら本當に一人きりの方が気が楽だ。