《錬七剣神(セブンスソード)》出発8

聖治たちと安神やすかみ姉妹が出會ってしばらく経った。

「二人とも、本當に行くのかい?」

「はい、今までお世話になりました」

孤児院の前では安神やすかみ姉妹と、院長だろう中年の男が立っている。

溫厚そうな雰囲気をした人で大きなお腹をしている。だが、表は曇り寂しそうに二人を見つめていた。

「君たちがいつかここを出て行くことは知っていた。卒業とか、引き取られるとは別の意味でね。君たちがここに來た時からそれは知らされていたことだった。

……理由は伏せられていたがね。なあ、教えてくれるわけには、いかないのかい?」

「はい、すいません……」

院長からの質問に申し訳なく此方こなたが頭を下げる。お互いに寂しそうで、だからか院長は責めることもこれ以上の詮索せんさくもしなかった。

「分かったよ。殘念だけど、お別れだね」

「はい。今まで本當にお世話になりました」

「さようなら、院長先生……」

二人は悲しそうに別れの挨拶を告げ、鞄を手にして背を向ける。聖治たちは敷地の外からその様子を見守っていた。二人はそのまま歩き続け聖治たちと合流し一緒に歩き出した。

あれから聖治たちは和解し、自己紹介を済ませ不戦の考えを示すと安神やすかみ姉妹も方針をれてくれた。共に魔卿まきょう騎士団と戦うことを選び孤児院を後にしたのだ。

それで一番後ろを歩く聖治に此方こなたが聲をかけてきた。

「お待たせしました」

「いや。それよりも大丈夫か?」

「はい」

此方こなたは聖治からの質問に無想に返事をする。まだちゃんとした信頼は摑めていないみたいだ。

孤児院を離れる悲しい雰囲気はなく、すでに割り切っているのか、表は強張り瞳には力強い意思がめられている。

反対に日向ひなたは未だに引きずっているようで、別れの寂しさが瞳に殘っていた。

「日向ひなたは?」

沈んだ表にいつも通りの口調で聞いてみる。

「は、はい! 大丈夫です!」

心配を掛けるのが悪いと思ったのか、日向(ひなた)は慌てて顔を上げると返事をしてくれた。だが、その健気な姿勢が返って無理をしていると分かる。

「…………」

それで、聖治は言ってみた。

「セブンスソードが終われば、またみんなと會えるさ」

「え?」

抑えられた口調で言われた言葉に日向ひなたはキョトンとしていたが、すぐに意味を理解して目を輝かせた。

「本當ですか!?」

「きっとな」

その反応に聖治はフッと小さく笑った。

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