《錬七剣神(セブンスソード)》始まりの場所2

グレゴリウスから再度質問される。未だ錬七剣神セブンスソード途中であるにも関わらず、ここに來た理由を問われる。

「ここに來た理由、か」

魔來名まきなは答える前に一言挾むと、手を天黒魔あくまにばした。柄を握り締め構える。それはまさに攻撃の姿勢。明確なまでの戦闘意思を、グレゴリウスに伝える。

「今の俺でも、お前を倒せると思ったからだ」

魔來名まきなが向ける余裕の笑み。挑発的な視線が亡霊を見つめる。

「私を倒す……」

魔來名まきなの行をどう捉えたか。現団長は平靜としていた。

「それは頼もしいが」

だが、グレゴリウスの聲には同時に歓喜もなかった。

「今のお前では無理だ、魔來名まきな。出直すといい。私はここから離れられない」

「離れられない……?」

「私は殘留思念。地縛霊のように憑代を以て現界している。そして、私にとっての憑代が背後にある剣だ。セブンスソードを行なうため仕掛けと共に日本へと持ってきた。魔來名まきな、お前の魂を得られたのは幸運だった。お前ならば託すに相応しいと判斷した。完全となって私の前に來い」

「フン、舐められたものだ」

魔來名まきなは居合の構えを維持しながら、天黒魔あくまに十分な魔力を注ぎ終えた。

それに応じグレゴリウスもく。

片手を前に翳し、手から赤いが現れる。それは先の尖った棒となり、グレゴリウスの右手に収まった。

「後ろの剣は使わないのか?」

「あれは生前の私のものだ。今の私には扱えない」

二人は対峙する。互いに剣を持つものの魔來名の鋭い眼に対しグレゴリウスは平靜だ。

セブンスソード始まりの地。ここに現団長と新たな団長候補の男が向かい合いし、そして、時がき出す。

「絶技絶閃――」

魔來名まきなは力を解放する。溜めに溜めた己の魔力、それを糧とし発する殺害の理。

「――虛空斬り」

魔來名まきなは天黒魔あくまを抜き放ち、刀は閃き超速度は世界を停滯させて駆け抜ける――

「遅い」

「!?」

それは、幻聴と言うにははっきりと。そして、呟きと呼ぶにはあり得ぬ存在だった。

今の魔來名まきなは虛空の単位で活している。魔來名まきなに干渉出來るのは同じ速度以上の存在だけのはず。

気が付いた時、魔來名まきなの目の前にはグレゴリウスはいなくなっていた。そして視線を下に向ければ、自分のが切り裂かれていたのだ。

「ぬ、ぅ……」

魔來名まきなは片膝を地面に付ける。に走る激痛が襲うが、それ以上に不可解な現狀に苛立ちを隠せない。

「二本で虛空にまで達したことは、瞠目どうもくに値する」

背後から聞こえる聲に、急いで魔來名まきなは立ち上がると共に振り返った。

「だが、それではまだ足りん。速度に捉われている限り、お前は前には進めない」

そこには先ほどと同じ立ち姿で佇立しているグレゴリウスがいた。

「……どうしろと?」

「速度を超えろ」

魔來名まきなは傷口に手を當て、痛みに耐えながら聞き返す。

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