《錬七剣神(セブンスソード)》最終章 これは、絆の

始まりの場所。ここで錬七剣神セブンスソードは始まった。団長と幹部が並び、魔卿まきょう騎士団の今後の行く末をこの儀式に託した。

いないのならば作ればいい。その選択と決定に、押し殺し、隠したいくつもの思いをめながら。

けれどそれも今宵で終わる。舊時代は終わりを告げ、新たな時代が産聲を上げる。

「待たせたな」

薄暗い空間に一人の年が現れる。渇した団長候補。それが今、始まりの場所へと戻って來た。

聖治は不思議な覚を覚えていた。巨大な魔法陣が描かれた床も、殺風景なコンクリートの壁も、靜かに燈る青いも初めて見るはずなのに、初めて見た気がしない。

奧にある祭壇のような石臺なんて特にそうだ。

そこに刺さっている一本の剣。高さ三メートルはある臺の頂點に、それは厳然と存在していた。

「來たか」

その真下にいるグレゴリウスが振り返る。目深に被ったフードから顔は見えない。黒の外套の裾が揺れる。

「…………」

聖治はグレゴリウスを睨み付ける。錬七剣神セブンスソードを始めた元兇を。

「グレゴリウス……。何故錬七剣神セブンスソードを始めた? そのせいで俺たちの多くが苦しんだ。悲しんだ」

七剣神セブンスソード、そこにあった悲劇は今だって思い出す。星都せいとや力也りきや、日向ひなたに此方こなた。

そして香織かおりさん。誰しもがこの儀式のせいで苦しめられた。それを覚えてる。

「そもそも、お前は死んだはずだ」

「正確には私は生きてはいない。かつての私、グレゴリウス・レウス・ギルバードがこの世を去る時に、抱いた執念が形となったものだ。それだけ、グレゴリウスという男が抱いた気持ちが強く、責任が強い男だったということだろう。彼は死の瀬戸際に思った。魔卿まきょう騎士団を終わらせてはならない、と。ここで自分が死ねば魔卿まきょう騎士団は滅ぶ。その思いが私となり、私はその思いを遂行する。魔卿まきょう騎士団の頂點に相応しい力を持った、新たな団長の創造。未來を任せられる存在を用意すること。それがし遂げられるまで私は死ねんし、それ以外の思考を持たない。そして、錬七剣神セブンスソードを行なった。ただ……」

そこでグレゴリウスは言葉を一旦切った。続きを言う前に聖治を鋭く見つめる。顔が見えないのに強烈な視線をじた。

「今回は、失敗のようだ」

「なんだと?」

「剣島聖治。お前のは完全として適していない。お前のでは完全なスパーダを扱えない。まさか、お前がこうして私の前に來るとはな。最弱のスパーダであるお前が」

グレゴリウスの淡々と語る言葉が空間に広がる。

反対に聖治は怒った。今のセリフは到底聞き捨てられるものじゃない。

「ふざけるな! 失敗だと? 今まで俺たちがしてきた戦いも、そこにあった痛みや苦しみも。勝手なことを言うな! そこにあった皆の思いは本だった。誰かを思う気持ちがあったんだ。それを、失敗とか言わせない!」

皆を侮辱することは許せない。

瞬間、グレゴリウスの存在大化していく。それは敵意でも殺気でもない、巨大化する目的意識だった。

「剣島聖治。お前が生きていては新たな団長創造の妨げになる。団員に混を招く。お前は、ここで処分する」

「そうか……。最後までお前たちの勝手ってということか……!」

痛いくらいに拳を握る。聖治は決めた。

「皆、大切なものをに抱いていた! 道なんかじゃない! グレゴリウス!」

聖治はゼウシスを取り出し、団長創造に縛られた亡霊に向けて言い放つ。

「お前を倒す! 俺には皆との絆がある。それを、壊させたりしない!」

聖治は思いをぶ。

七剣神セブンスソードを終わらせよう。

この狂気を終わらせよう。

多くの仲間の思いと共に。

聖治は片手を掲げ、全力を発揮する。

「こい、究極錬七剣神アルティメット・スパーダ!」

を覆う至高の。ここに至るまでに積み重ねてきた絆の結晶。

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