《錬七剣神(セブンスソード)》エピローグ2

「俺はみんなと出會えて、よかった」

この一言に、偽りなんてない。

「出會えて、よかったんだ」

今がある。こんなにも幸せな今日があるから。

それこそが。

聖治たちの絆が作った、未來だから。

聖治の言葉にしだけ場がしゅんとなる。でも、すぐに星都せいとから聲が上がった。

「おう! 俺もお前と同じだぜ。これからもよろしくな、聖治!」

「うん! 僕たち、ずっと一緒ぉ!」

「そうだね。これからも私たちはずっと一緒よ、聖治君」

「……うん、私も」

「私も、聖治さんとみなさんとずっと一緒にいたいです!」

それぞれの言葉をけ取って、聖治は大きく頷いた。

その後、掲げたコップを前に突き出した。

『乾杯!』

明るい聲が重なる。笑顔が弾ける。噓のような、まるで幻のような幸福に包まれて。

聖治たちは、絆で繋がっているんだ。

聖治は俯けていた顔を上げれば、そこには賑やかな景が広がっていた。

「おい力也りきや! それは俺が食おうとしてた菓子だぞ!」

「むごごごぐごう~」

「はあ!? なに? 聞こえん!」

「まったくもう、こんなにたくさんあるのになに取り合ってんだか」

「ふふ、楽しいねお姉ちゃん」

ここにはみんながいる。そう、みんないるのだ。

(みんな……)

ただ、不意に表が暗くなる。

「どうしたの聖治君?」

聖治が考え事をしていると、隣の席にいる香織かおりさんに聲をかけられた。

「え? いや、なんでもないッ」

「だったらなんでそんなに焦ってるのかなぁ~……ん?」

「んッ」

鋭い。年が一つ違うだけでこうも違うものなの。それとも見た目以上に年を取っているのか。

聖治は考え事の容を言うか言うまいか迷っていた。言ってしまったら、この場の空気が変わってしまいそうで、それを心配していた。

「大丈夫だよ」

「え?」

そんな聖治の心配を見かしたように、香織かおりさんは笑顔でそう言ってくれた。その後聖治から視線をかすと窓の外へと向ける。そこには夕日に染まった空が広がっていた。

その顔は、誰かを思い描いているようだった。

「……寂しいですか?」

聞いてはいけなかったのかもしれない。不用意にれてはいけなかったかもしれない。

だけど、彼の想いを知っているからこそ、聖治は聞いてしまった。

「ううん」

香織かおりさんは、夕焼けの空を見上げたまま答えた。

「あの人が生きてる」

そして、聖治に振り返った。

その表は、満面の笑みだった。

「私は、それだけで十分」

「…………」

濡れ羽の長い髪がすこしだけオレンジに染められて、影の長い時間と靜かな學校ということもありここはどこかもの哀しい。そんな中でも、彼は大きく笑っていた。笑っていたんだ。

なんて、強いひとだろう。

聖治は、そう思った。

「そうだな……」

香織かおりさんの言葉に応えて聖治も窓を見る。広がる空と地平線。この場所のどこかに、あの男も生きている。なにをしているかは知らないけれど。

だけど。

いつか會えるだろう。

二人には絆がある。

それは死も時も超えて、巡り合う魔法のような出會いなのだから。

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