「ハアッ！」

段々きに慣れてきたのか炎は判怒羅の攻撃に対処できるようになった。

(だがこのままじゃあ、ジリ貧だ！何とかしてあの子に近付かないと…)

「考え事とは隨分余裕そうじゃない？」

すると、は判怒羅を引き下げた。

(今度は何する気だ？)

炎は態勢を立て直し様子を伺った。隙が出來たとも思ったが豪鬼戦でわれた事を思い出し迂闊に近付かないようにした。しかしこのままではマズイという焦りもあった。

「判怒羅乃十式・影縛えいばく」

するとが詠唱し終えると背後にいた判怒羅が影の様に地面と付著し凄いスピードで炎に迫ってきた！

(速い！もっと離れるべきか？)

そう考えた炎は後ろに跳んだ。しかし跳んだ瞬間、炎のが突然けなくなった。

「ッ！！からだが…」

まるで金縛りにあったかの様にけなくなった炎は地面に叩きつけられるように落ちていった。

 「うがっ！！」

 顔面ごと叩きつけられた炎の顔にはが流れていた。

 「クッソ！何が…起きた…」

 「見ての通り、あなたのきを封じたのよ」

 炎が今の狀況を整理しようとした時、が口を開いた。

 「どういう事だ！」

 「あなたも隨分理解が乏しいみたいね。自分の目でよく見てみなさい」

 そう言うとは地面に向かって指を指した。炎はが指差す方に視線を向けた。

 するとそこには地面を這っていた判怒羅が何かを摑んでいた。

 「か、影？」

 よく見ると判怒羅は炎の影を摑んでいたのだ。

 「影と本は常に同じきをしてるでしょ？この２つは切っても切れないもの。そのどっちか１つのきを封じればもう１つも同じ様にけなくなる。つまりはそういうこと、理解出來たかしら」

 説明し終えるとは炎の方に近づいて來る。

 「もうそろそろ終わりにさしてもらおうかしら？」

はそう言うと服の袖口から短刀を取り出した。

 (クソ！このままだとマズイ！)

 炎は必死にをかそうと抵抗してみるが全くかない。

 「無駄よ。影を摑まれている以上、逃げる方法はないわ」

 どんどん近づいて來る。

 「ヤメて…くれ！俺は君と…戦いに來た訳じゃ…無いんだ！」

 「今になって何を言ってるのかしら？あんまり醜い言い訳はよしときなさい」

 そして炎の前にまで接近して來たは持っていた短刀を振り上げた。

 「それじゃ、さようなら！」