《BLOOD HERO'S》episode4 #14「鎮まる不安の館」
 「ふう、ようやくココまで來れた!」
 志村はバスに乗り六英山の付近まで來ていた。六英山は元々2つのルートがあった。その1つが館を通るルートだった。しかし大分前に廃墟と化した館を気味悪がる人が続出し現在使われているルートは1つだけとなっていた。
 「確か…ここだよな?」
 しかし志村は真っ先に館へ続くルートを探し當てた。道はコンクリート狀で出來ているが暫く使われていない為、殆ど草で覆われ獣道と化していた。
 「もうすぐで師匠に會えるんだ!怖がる必要なんかねー」
 そう言い聞かせ志村は館に向かう獣道をドンドン進んで行った。
 (早く師匠に教えたい!俺、強くなったんだって!)
 ここまでして松岡に會いたい理由、それは、生まれて初めてケンカに勝った!ただそれだけだった。しかし志村にとってそれは今までの中でこれほどまでに嬉しいことはなかった。
 っぽいだのオカマだの言ってくる連中にただ泣くことしか出來なかったが、そんな連中を初めてギャフンといわせたのだ!
 (師匠、褒めてくれるかな?)
 そう考えていると志村はニヤニヤが止まらなかった。
 ---獣道を進んで10分程経つと草で覆われていた道が拓ひらけてきていた。
 「アレか!?」
 すると拓けた道の奧に大きな一軒家が見えた。まさしくそこは松岡が向かっていた館だった。
 「つーか、なんだよこれ?」
 館の方に歩いて行くとそこには地割れした跡や館を壊された跡のようなものがいくらか志村には見えていた。
 (コレが戦った跡なのか?でもそんな奴相手でも師匠が負ける訳ない!師匠は最強なんだ!!)
 そう言い聞かせて志村は館へと足を踏みれた。
 「し、師匠ー!」
 戦ったとは思えない程靜まり返る広い館の中に志村の聲が響いていた。
 「來るな!!」
 「え!?」
 志村の聲に突然、大きな聲が奧の方から聞こえてきた。しかも志村には聞き覚えのある聲だった。
 「師匠!!」
 その聲は間違い泣く松岡の聲だった。 だがさっきの言い方はかなり焦ったような聲だった。
 『…ふはははっ!…貴様の…倅が…自ら出て出て來ると…ハナ!ココデ…コロス!!』
 エニグマは既に死にかけていたが最後の力を振り絞り天変磨征を志村に向かって投げてきた。
 「えっ?」
 志村は何かが飛んできたとしか認識していなかった。だがその場からくことが出來なかった。志村の脳裏には死というものがよぎっていた。
 グシャッ
 館にはすざまじい大量のしぶきが飛び散ったのだった。
【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
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