エニグマが死に手下達はからっきしきを見せなくなった。そのおで悪くなってきていた治安を徐々に回復していった。そして時はあれから1ヶ月程経っていた。

 事件終結後、松岡の葬儀が行われ松岡のは火葬し埋葬され今は彼の姿を見る事は出來なかった。

 一方の志村は昏睡狀態で2週間程、生死を彷徨い続け今はをかせるまで回復した。どうやら志村は致命的な大きな傷は無かったものの小さな傷が數十箇所出來ておりそこから出多量に陥ったらしい。

 フィリナは回復した志村からあの時の狀況を細かく聞き出した。志村も自分の見た事をありのままに話した。そんな志村は涙が流れるのを必死に堪えていた。

 「…全く、アイツときたら押し付けがましいのよ！」

 「え？」

 フィリナはいつも通り冷たい一言を放った。一生懸命話している志村はその言い方に困った顔をする。

 「まあ言を殘されたからには仕方ないわ。いい、蔵之介！？私があなたにアイツが教えられなかった分まで全てを教えてあげる。だからあなたは強くなりなさい！同じ悲劇を起こさないぐらい強く！」

 そう言うとフィリナは志村の両肩をしっかりと摑んだ。そして真っ直ぐな目で志村の顔を見る。

 「いい！？」

 「う、うん…」

 あまりのフィリナの熱量に気圧された志村は困しながらも小さく頷いた。

 ---それからフィリナは死んだ松岡に代わり師匠となり志村を鍛え始めた。毎日剣を振らせ走らせ筋トレも欠かさずにやらせた。

 志村は最初逃げ出す程嫌がっていたが松岡に「俺の自慢の息子」という言葉を思い返しフィリナの厳しい修行についていった。

 そしてフィリナはふとある時に気がついてしまった。それは志村が時折見せる目である。一筋に獲を見る獣の目。

 だがフィリナには初めてのことでは決してなかった。先代の松岡もまさしく同じ目をしていたことがあったのだ。

 ---それから時は流れなくとも20年ぐらいは見ていなかっただろうか？

 (間違いない。アイツ等と同じ目だわ)

 炎の目を見てフィリナはそうじた。フィリナの目には年時代の志村と今の炎の2人が映っていた。

 「？」

 (どう…したんだ？何もしてこないぞ！？)

 しかし炎には棒立ちでコッチを見つめている風にしか見えていなかった。

 「もう戦わねーのか？」

 暫く経ってもかないフィリナに炎は贄を切らし自ら口を開いた。

 「…全くどうしてなのかしら？」

 「？何の話だよ？」

 「あなたには関係ないかしら」

 「？？」

 炎は話が全く噛み合わず首を傾げた。そんなフィリナは炎の方へゆっくりと歩いて來た。しかし判怒羅を引っ込め戦闘の意思が見られなかった。そして炎の橫を素通りして行った。

 「強くなりたいのなら々死に急ぎだけはしないことね」

 「え？」

 フィリナは通り過ぎる際にぼそりと呟いた。炎は聞き返そうとしたがフィリナはそのまま立ち去って行った。

 「…ふう」

 炎はスッとの力が抜けそのまま倒れ込んだ。

 「…イケるかと思ったんだけどな。やっぱ一筋縄じゃいかねーのか」

 炎は天井を見上げながら獨り反省をしていた。

 「…もっと強くなんなきゃダメなのか？」

 炎は反省すると同時に自信を喪失していた。たった1、2ヶ月でかなり強くなっている自覚はあった。だがそれでもまだ上には上がいる。自分の弱さを実し悔しさが込み上げてくる炎。

 「…チクショー」

 とうとう炎の目から涙が溢れてきた。炎は暫く仰向けになりながら涙を流し続けていたのだった。