《BLOOD HERO'S》episode5 #3「八天翔の鬼」
 ---そして現在に至る。炎はスマホの地図アプリで目的地を再確認する。
 場所は六英から1つ町をまたいだ先にある八天翔はってんしょうという場所だった。
 八天翔は大都市六英とは違いかなり田舎な地方でその7割は山で占めている。駅も1つだけで1日に電車は朝晝晩にそれぞれ1本ずつしか通らない。
 そんな田舎な場所に最近、変な噂が流れてきたらしい。
 『八天翔の山には鬼がいる!』
 最初は『鬼のように強い奴がいる』という意味に捉えられていたがどうやらそういう訳ではないらしい。
 強いということに関しては間違ってはいないらしいが実際の話だと最初は數人の不良が病院送りになったのがキッカケだった。
 1ヶ月程前、その不良グループはいつも溜まり場にしてある山の麓にある半壊したコンクリート狀の建でいつものように集まっていたところ、いつもの溜まり場に見慣れない男が居座っていた。
 追い返そうとした不良達はその男にやられ全員病院送りされた。そして不良達は揃って『鬼』という言葉をうなされるかのように何度も言っていたらしい。
 そこから面白半分で行った數十人規模の不良グループも全員病院送りにされるか死人もでたという。
 更に地元の警も様子を伺いに行ってその日のうちに病院に擔ぎ込まれた。その警達は拳銃を裝備しており発砲した痕跡が殘されていたそうだ。
 銃を所持し発砲もしたにも関わらず返り討ちにされたことから噂を信じてしまうものが増え始めてきた。
 そこでスフィアに調査依頼の任が下ったのだ。『本當に鬼がいるのかどうか調べてくれ!』それが任務の容だった。依頼人は八天翔の地方議員、多原という男だった。多原はこの問題をいち早く解決したいという気持ちでスフィアに依頼を頼んだらしい。
 炎は電車に乗り1時間の旅路を過ごしている途中だった。腹の蟲が1回だけ大きな音を立てた。
 (そういえばもう晝だったけ?そろそろメシでも食うか)
 時間は12時を回る頃だった。炎は鞄から黒い風呂敷に包まれた正方形のものを取り出した。
 取り出した炎はすぐに風呂敷を広げた。中にはタッパーが2段になって積み重なっていた。タッパーの中は1段目に拳サイズのおにぎりが2個、無理矢理詰めたかのようにっていた。2段目を見るとひと口サイズの団子が5、6個っていてその隣には団子のタレがついた玉子焼きが4切れ程っていた。
 その他にもあらびきウインナーやポテトサラダ、食後用にフルーツゼリーがっていた。
 「おっ、うまそー」
 炎はヨダレが垂れる前に口元を袖で拭いた。
 「そんじゃ、いただきます!」
 食事前の合掌を終えると炎はすぐに左手でおにぎりを摑み右手に箸を持ち団子を摑み出した。そして団子→おにぎりの順に口に放り込んだ。
 「…んめえ~」
 しっかりと噛みながら味わう炎の頰が緩みかけた。団子の甘いタレと塩味の効いた米粒が口いっぱいに広がり炎は暫くその味を堪能していた。
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