「………ッだはぁ！」

 炎はいきなり大きく上を起こした。窒息しかけたかのように呼吸を荒らくしていた。顔から噴き出した汗が首元にかけてまで流れていた。

 「お、お客様！？どうなさいましたか？」

 炎がふと橫を見ると1人のが立ったまま焦り聲で聲をかけてきた。

 「………え？」

 しかしまだ自分の狀況を飲み込めていない炎には間の抜けた返事ぐらいしか返せなかった。

 「すいません！隨分とうなされてらっしゃってた上にいきなり飛び起きてらっしゃいましたからお聲かけさせていただいたのですが…」

 炎は段々意識がハッキリしてくるとようやく言ってる事の意味を理解した。

 そしての人をよく見ると車販売員の人だということも判明した。黒を基調としたミニスカの制服、飲みや食べを陳列したワゴンを手前に置いている事から知ることが出來た。

 「宜しければあったかい飲みでも如何ですか！？しは落ち著くと思いますよ！？」

 「あ、ああ。じゃあブラックコーヒーを…」

 「はい！しお待ちください！」

 販売員のはホッとをなで下ろすとワゴンからブラックコーヒーのった容を取り出し、紙コップにれて炎に渡した。炎はコーヒーをけ取りお金を渡そうとした。しかし販売員のはお金をけ取らす「それは私からの奢りですから！」と言い仕事に戻っていった。

 申し訳ない気分になりながら炎はその一杯をゆっくりと味わったのだった。

 ---それから30分後、コーヒーを一滴殘らず飲み干し、炎は倒していたシートを元に戻し席を立った。

 數分の誤差はあったものの特に電車のトラブルは起こらず無事八天翔駅に到著した。

 炎は電車から出る直前、コーヒーを奢ってくれた販売員のと目が合い軽く會釈をわした。販売員のは笑顔で返し気のせいか「お気をつけて」と言っているかのように口をかしていた。

 會釈をし終わり電車を出た炎はすぐに改札口に向かった。

 すると改札口の向こう側になりのいい男が立っていた。

 ベージュのスーツをキッチリと著こなし白髪混じりの黒髪もキッチリと七三に分け黒縁の眼鏡をかけていた。

 六英で見ると至って目立たないじだが改札口の向こう側から見える山々の景とは似つかわしくない外見が逆に目立っていた。そんな逆目立ちしている男は炎を見るや否や炎の方に向かって來た。

 炎が改札口を出たと同時にその男は手を差しべながら歩み寄ってきた。どうやらこちらの素を知っている人のようだった。

 「初めまして！私、地方議員を務めております。多原と申します！！」

 こうして炎は多原との対面を果たすのだった。