《BLOOD HERO'S》episode5 #7「多原 英一郎」

 「いやー、今回は遠いところからご足労願いまして謝の言葉もありません!」

 多原は自分の車である黒のレクサスを運転しながら後部座席に座っている炎を視線半分に映しながら何度も頭を下げた。

 「え、いや、いいえ。仕事ですから…」

 炎し困った顔をしながらも言葉を探しながら返事を返した。

 多原 英一郎。年齢は50。中中背で背は170くらいで顔が顔っぽいところ以外は特に特長を持ち合わせていなかった。

 しかし多原は腰の低い態度で常に笑顔を見せており全く腹の底が見えない。そんな怪しげな雰囲気を多原からじとる炎

 (いや、流石に考え過ぎか?)

 しかし炎は自分が考え過ぎていると多原に対する疑いを一瞬で振り払った。

 彼は地方議員。仕事上、外面を良くしなければいけない為、々ブチまけたい気持ちを抑え込んでしまっているのだろう、そう炎は勝手に解釈をした。

 確かに地方とはいえ彼は議員でいずれは選挙などにも出て出世を目指しているかもしれない。だから今のうちは悪い噂がたたないようにしなければいけないハズ。

 「さて、もうそろそろで到著しますよ!」

 炎があれこれ考えていると多原に聲をかけられふと我に返った。我に返った炎は視線を運転している多原よりも先の景の方に向いていた。

 緑いっぱいの山々に時折見せる青い海。最初の數分はその景させられていたものの流石に10分以上変わり映えしない景を見せられても最初の時よりは大分、もかなり薄くなっていた。

 しかしよく見ると歩道に大きな看板のようなものが見えてきた。車から300m程離れているにも関わらず異様に目立っていた。

 「はは、目立つ看板ですよね~!一アレだけにいくら賭けてることやら…」

 多原は冗談混じりに喋り始めた。炎はそれに何と言ったらいいか分からずとりあえず苦笑いで誤魔化した。だが言われてみると気になり始める炎

 まっ白い長方形の看板に長方形の隅々に細かくデザインが施されており看板の中心には『HOTEL KAGURA』と赤い文字で描かれていた。

 そこは今回、遠征で滯在する炎が泊まる宿屋になっていた。場所的には目標地とは正反対な所にあるが八天翔には泊まる場所がそこしかなかったのだ。

 「ホラ、見えてきましたよ!」

 看板を通り過ぎると多原はそう言って正面のフロントガラスを指差した。炎は多原が指差している方向を見た。

 するとその先には大きな旅館らしき建が見えてきた。

 「ホテルっていうより旅館みたいですね」

 炎は驚きのあまり思っていた事が口に出した。

 「ええ。まあ田舎モンですからら名前だけでもカッコつけたいんですよ!」

 (そんなもんなのか?)

 多原は笑顔で炎の質問を返し炎は理解までは出來ずとも心の中てなんとなく納得した。そして車での最後の會話が終わり炎は『HOTEL KAGURA』に足を踏みれたのだった。

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