《BLOOD HERO'S》episode5 #30「出」

 ---「ハア…ハア…ハア…」

 それぞれの息切れする聲があちこちから聞こえてくる。突破口を開き走り続けてもう30分以上は経っていた。補正もされていない草木に覆われた獣道を走っている為、思いの外進めずにいるのだ。

 そのうえ所々ぬかるんでいる悪道に阻まれ力を余分に消費してしまっている。しかしそれは相手も同じである為、距離はある程度離れた位置でキープしたままだった。

 (相手も足を取られてる。これだけ走ったということはもう麓まで來ている筈だ。そうすれば人間達の作った舗裝道路が見えてくる。このままの距離を保てればイケる、イケるぞ!)

 鬼太郎は苦しそうな顔をしながらも心の中では狂喜舞していた。

 鬼である彼等はこの通り人間とは友好的になれない連中がほとんどである。その為に厳しくしきたりを作った。

 その中で『人間との結婚』に次ぎ犯してはいけない事は『人間との共存』である。彼等にとって人間が住む領地に踏みれる事は『村からの追放』を意味している。一度踏みれれば2度と戻る事は許されない。

 しかし鬼太郎達は『結婚』という大罪を片棒に擔いでいる。彼等にとってはこれは最大の希でもあった。

 人間達が作った道路まで出れば逃げ切る事が出來る。いくら反対派でも人間達が創作したに足を踏みれてしまったが最後、戻る事は許されない。だから彼等がこれ以上追いかけるのは不可能なのだ。

 「おい!道が拓けてきたぞ!もうしだ!!」

 「良し!お二人さん!もうちょっとだ!」

 「は、はいー!」

 すると鬼太郎の前にいた義彥は妻の鬼におぶられながら気弱な聲を出していた。に敷かれるよりも背中におぶられている姿が鬼太郎には稽に見えた。

 義彥はごく普通のサラリーマン。趣味の山登りをしている時に偶然、山菜狩りをしていた鬼と出會った。山菜にも通している義彥と鬼は意気投合しそこから2人の関係は始まった。

 いつもひ弱そうな義彥に対し姉鬼は格こそ対象的ではあったが不思議にも相が良かった。

 だが鬼は自分が鬼の一族である事は隠しかな際が始まった。よくデートでは村からし離れた山で山菜狩りをし自分達の知る絶景ポイントを教え合ったり楽しい時を過ごした。

 そしていつも弱気な義彥からプロポーズをけた時、ようやく鬼は逃げられる覚悟で本當の事を話した。

 しかし義彥から『そんなの関係無いよ!僕はありのままの鬼ちゃんが好きなんだ!』と言った。それが結婚に至るキッカケとなった。だがその結果、命を狙われ妻におぶられるというけ無い姿を曬す羽目になってしまった。

 「よーし!ここまで來れば俺達の勝ちだー!」

 そんな中、道が拓けてくるのを見てテンションが上がる男達。そして等々、彼等は人間達の領地に足を踏みれたのだった。

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