《BLOOD HERO'S》episode5 #32「多原との面談」

 「ほおー、どうやら部抗爭も大詰めときているようですねー?」

 「!?」

 鬼が能力を開放しようとした矢先、どこからか男の聲が聞こえてきた。不意に鬼と鬼余彥は辺りを見渡した。すると村の方から歩みよる人影が鬼の視界にった。鬼余彥もそれに気づき後ろに視線を移した。

 「アンタ、見ねー顔だなー?」

 「あなた達とは初対面ですからね。ご挨拶ぐらいしておきますか?」

 鬼は睨みつけながら男の素を探ろうと試みる。しかし男は不適な笑みを浮かべながら冗談を言ってくるだけだった。

 「待て!」

 「ん?」

 すると不適な笑いをする男に鬼余彥は噛み付くように制止させた。男は鬼余彥の殺意に満ちた表を不思議そうな顔で見ていた。その時、何故殺意に満ちているのか鬼にはまだ理解出來ていなかった。

 「お前、どうしてそこから來た!?」

 「ッ!?」

 鬼余彥の一言でその意味を理解した。男は村の方から歩いて來た。鬼余彥は記憶力には多自信があり村人の顔はほとんど覚えている。無論、その男の顔を見るのは初めてだった。

 い顔をしながらも薄っすらと見える頰と目のシワ。白髪混じりの黒髪を上にあげ顔がしっかりと見えていた。

 「ああ、ちょいと野暮用で來たんですよ」

 「野暮用?」

 男の呆気ない返事に鬼余彥は苛立ちを隠せなかった。男の態度が気にくわない訳ではなくその男が紛れもなく人間であると理解してしまった事によるものだった。

 鬼余彥はいつでも殺せるように戦闘態勢にっている。対する鬼は戦闘態勢にはならずも男に対して警戒は怠らなかった。

 「そう構えないでくださいよ。まあ用があるのはあなた達お二人に何ですけどね」

 「俺達に?」

 思わぬ一言に鬼は無意識に疑問を投げかけていた。鬼の反応が可笑しかったのか男は軽く鼻で笑った。

 「私は多原 英一郎と言います。一応ここの地方で議員やってます」

 『一応』という言葉に引っかかったもののあえて口には出さず多原の話の続きを聞く事にした。

 「今回お二人の用件というのは職業とは無縁なんですが、お二人さん、私に付いて來て貰えませんか?」

 「!?」

 多原の発言の意味が鬼には理解出來なかった。そんな中鬼余彥は…

 「シネ!!」

 多原が言い切ったとほぼ同時に鬼余彥は多原の元に一躍で接近し力強く拳を握りしめ襲いかかっていくのだった。

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