《BLOOD HERO'S》episode5 #41「多原と鬼」

 「これ…アンタがやったのか?」

 鬼吾郎が多原に放った一言には喪失と憤怒のが含まれていた。

 「さてどうでしょうかね?ご想像にお任せしますよ」

 「テメエ!!」

 だが多原は表を変えず鬼吾郎の問いに煽るような返しをしてきた。そして案の定、多原の煽りに堪らず激怒した。

 「…うう…」

 「!?この聲…」

 そんな中にどこからか聞き覚えのある男の聲が聞こえてきた。鬼吾郎は周りを見渡し聲のする方を探した。すると崩壊した家の瓦礫の下から聞こえてきた。

 「ッ!?父ちゃん!?」

 瓦礫の下から聞こえる聲は紛れもなく鬼太郎の聲だった。鬼吾郎は真っ先に鬼太郎の元へ駆け寄って行った。

 「フンッ!!」

 「グアアー!」

 しかし鬼吾郎の背後から何者かが現れそのまま鬼吾郎の後頭部を摑み瓦礫混じりの地面に押さえつけてきた。

 「…吾郎…」

 鬼太郎は掠れた聲で鬼吾郎の名を呼んだが鬼吾郎にはその聲は屆いてはいなかった。

 「気盛んですね~。まあ私は嫌いじゃないですよ。むしろそういう人を私は求めてるんですよね」

 「クッソ!離せ!」

 多原が話している最中、鬼吾郎は必死に抵抗する。が、男の力は想像以上に強くきが取れなかった。

 (何なんだコイツ!半分とはいえ俺には鬼のけ継いてんんだぞ!普通の人間に力負けなんかしねーぞ!)

 鬼吾郎は屈辱をじていた。喧嘩では負けなしの鬼吾郎だが今は形無しである。だがそれよりも大事な家族が倒れていて何も出來ない自分自に苛立ちをじていた。

 「そう悔しがる事は無いよ。彼は純な鬼ですからね。それに彼は鬼の一族でもトップクラスのパワーを持ち合わせていますから君が力負けするのも無理はないですよ」

 「鬼…だと…?」

 鬼吾郎は多原の発言を半ば信じられなかった。『同じ鬼同士なのに何故こんなに酷い事をするのか?』彼にはそれが理解出來なかったからである。

 「何故…だ…!?何故お前…が…」

 「父ちゃん!?」

 すると掠れた聲で喋り始める鬼太郎。その口ぶりから鬼太郎とは面識のある人なのだと鬼吾郎は気づかされた。鬼吾郎は思わず視線だけを上に向けると自分を押さえつけている人の顔をようやく見る事が出來た。

 (…何だ、コイツは!?)

 鬼吾郎はそいつの顔を見ると背筋に寒気が走った。悪人ヅラを彷彿とさせる程の三白眼。その目には殺意に満ち溢れていた。あまりの殺意で鬼吾郎はこれ以上男の顔を見ることが出來なかった。

 「何故…お前が…こんなところに…いるんだ、鬼!」

 鬼太郎の聲は靜かながらもしっかりと鬼吾郎達の耳にってきた。

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