《BLOOD HERO'S》episode6 #2「西城城制圧戦・前編」

 ---西城さいじょう 億広おくひろ。歳は今年で60を迎える。還暦を迎える彼は資産家でありこの城の持ち主である。

 日頃良いものを食べ過ぎているせいで醫者に注意される程になってきている。

 元々西城はごく普通の家柄でありちょっと裕福なぐらいの家庭だった。

 そんなどこにでもいるような彼の夢は、城に住む事だった。キッカケは家族旅行で行ったギリシャのお城だった。

 んなお城を見て銘をけた當時10歳の彼はその日から『お城を建てる』という夢を実現させるべくその時から貯金をし始めた。

 に負けずコツコツと貯め高校にってからはや部活に勤しむ事無くひたすらバイト三昧。高校卒業後はすぐに就職しお金を稼ぐ事だけに執著していた。その頃には株にまで手を出していた。20歳になる頃には100億は荒稼ぎしていた。

 そして10年以上かけ生まれ故郷である六英に念願の城を築いた。全長200メートル、100以上ある部屋、おおきな大浴場、キングサイズのベット、數人の使用人と警護を雇い自分の理想的な城を完させたのだ。

 しかし自分の城が気にり過ぎてその日以來、城から出て來ようとはしなくなった。

 自室にこもり好きなものを食べ好きな時間に寢てただくつろぐだけの1日がザラにあった。そんな生活を西城は現在進行形で続けているのだった。

 ---「みんな、見つけたよ」

 渚は目隠しをしたまま白凪達にそう告げた。

 「警備は7人。その場からいて居ない人を含めると城に居るのは9人だね」

 続けて人數を確認する渚。警備以外の殘り2人は部屋らしき場所からこうとしていない。その1人はベットで橫になっているようだった。もう1人は橫になっている人の側で椅子に腰掛けているようだ。

 「おそらく城主とその専屬の醫者だね」

 渚はその様子を見てそう推察した。いや、推察というよりほぼ確信を持ったような言い方だった。

 「?本當にそれだけか?使用人とか居るんじゃねーのか?」

 しかし重堂は気がかりにじたのか渚に問い詰めてきた。確かに全長200メートルもある城にしては人がな過ぎた。

 「使用人は別の場所に居るんだろう。ここに來る時、離れに家が見えた」

 「うん。ここからちょっと離れた場所に數人の足音が聞こえる。そこが使用人部屋だと思う」

 するとフォローするように白凪が口を開いた。それに続けて説明をれながら指を指す渚。重堂は指された方向を凝視するとそこには2人の言う通り城からし離れた場所に一軒家が建っていた。

 「…あんなとこ、よく見えたなお前ら」

 木々で隠れてしまっているせいか重堂には微かに屋らしきものが見える程度。

 「ふむ。重堂、お主し視力が弱くなったのではないか?」

 「ば、バカ言うんじゃねー!俺は視力バリバリの2.0だっての!おめーらの視力が異常なんだってーの!!」

 斎も指された方向を見ながら重堂を小馬鹿にするような発言をしてきた。本人は小馬鹿にするつもりも悪意で言っているようではないが重堂にはそう聞こえていた。

 「つーか、だったらあそこもやっといた方がいいんじゃねーか?通報されたらマズイだろ?」

 「イヤ、問題はない。僕達の目標はあの城と城主である西城を殺すこと。それにあの大きさなら多騒いでも大丈夫だろう」

 「ふーん、そんなもんかねー?」

 あんまりピンときていないのか白凪の説得に適當に返事を返す重堂。

 「とりあえず長話は後にしよう。皆んな、準備はいいか?」

 適當に返事を返されるもじることない白凪が3人に確認を取り始めた。それに対し3人共小さく頷いた。

 「重堂!」

 「おう!」

 白凪が重堂に聲をかけると重堂は3人の背中や肩を優しくれるようにり出した。3人をり終えると今度は自分のに手を當てた。

 「重力変化グラビティチェンジ・軽量化ウエイトセービング!」

 重堂の能力『重力変化グラビティチェンジ』は、自分のれたの重力を一定時間、変化させることが出來る。そして変化させるは別々にでも全でも調整する事が可能である。

 重堂の重力変化で白凪達のは軽量化されトランポリンのように高く飛ぶ事が可能になった。

 軽量化した白凪達は城の屋目掛けて飛んで行った。多風の影響をけ易くなるが白凪達は慣れているのか誰1人と落ちる事無く軽やかに屋に飛び移った。

 「渚」

 「うん」

 屋に飛び移れた白凪達だがすぐに渚に指示を出す白凪。渚は目隠しをしたまま屋に飛び移っておりすぐに城の様子を確認する。

 「城は3回建っぽいね。3階には警備が1人巡回してる。ターゲットは1階にいるね」

 「そうか」

 渚が城の狀況を説明すると白凪は短く返事をする。

 「ターゲットは1階、城には9人。全て殺して構わない。目標は城の制圧及び城主・西城の抹殺。さて、作戦開始ミッション・スタートだ!」

 そして白凪の合図と共に4人は3階の窓から城に侵して行った。

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