---「…んー…」

 志村は1人、報告書らしき紙を見ながら眉間にしわを寄せていた。

 「らしくもない表をしているな局長」

 するとその様子を見かねてか細谷がマグカップいっぱいのコーヒーを片手に聲をかけてきた。

 「細谷君には西城氏が消息不明になっているのは話してたよね？」

 「ん？ああ、聞いている」

 西城が白凪達に殺されて1ヶ月以上も経っていたが志村達が噂を耳にしたのがつい最近の話だ。

 事が発覚したのは西城が殺された次の日、西城が所有している株の取引先が西城に連絡をれたとこ、電話にも出ず度々かけ直してみるが一切返事がない。

 連絡がつかず不安になった株取引先の常務は部下に直接會って話を聞いてくるように命じさせた。

 そして次の日、西城の城を訪問しに行った部下は音信不通になり戻って來る事はなかった。

 その後、家族が警察に捜索願を出すが搜索に出た警の何名かが同じような事に遭い姿を消した。

 流石に不穏にじた政府は志村に話を通した。

 「そんで私はSSIUによる調査を提案したんだ」

 「SSIUか…」

 志村の案を聞いて苦い顔をしながらも細谷は納得せざるを得なかった。

 SSIU、正式名稱はSpecialスペシャル・Secretシークレット・Intelligenceインテリジェンス・Unitユニット『特殊隠諜報部隊』。

 政府が裏に組織化した名前の通り隠能力に特化した特殊な諜報部隊である。

 構員は全て、ステルス能力を所持している他、裏に組織されている為、査定基準がかなり厳しい上、厳しい訓練をけなければいけないという過酷を強いられる。スカウトをけても訓練について行けず斷念してしまう人も多いらしい。

 しかしSSIUの一員になると監察署による生活を免除されるだけでなく莫大な契約金の他、引退後も金銭的支援をける事が約束されている。その為、スカウトをけたの子達は斷る理由がない。

 だが毎年、10人以上はスカウトされるがかったり斷念しなかったりする子が1人もいない年はザラにあった。SSIUの一員になる子は3、4年に1人の確率だった。

 そんな貴重な存在である彼達を志村はあっさりと提示してきたのだ。

 「國がにしてある部隊を早々にかすなど思い切った事を考えたな」

 「ハハハッ、最初は上の人達も目を丸くしてたよ」

 細谷の皮混じりな言い分に志村は笑って返した。

 「でも、彼達の方が適任だと思ったから言ってみたまでさ。私達の権力ちからでは他人の敷地に踏み込む事なんか出來ないけど、彼達のステルス能力があればそんなの必要ないだろ？」

 そして自分の考えを提示した。それに対し細谷は納得したのか小さく「ふむ」と聲をらした。

 「それで？果はあったのか？」

 それから細谷は気になっていた事を聞いてきた。皮そうに言い放つ細谷に対して志村の表は若干曇っていた。

 「それは…」

 ---話は前日に戻り、志村の案はその日に実行される事になった。