《BLOOD HERO'S》episode6 #6「元西城城潛作戦」
 『こちらパンサー、侵功』
 1人のが一階の窓から城に侵すると続くように2人のが侵してきた。
 『こちらも侵功。問題なし』
 3人共周囲を警戒し問題がない事を確認すると足早とその場から離れ別々にき出した。
 SSIUである彼達の足音は宙に浮いているのではないかと思う程靜かだった。それはS・S・I・Uで訓練をけた賜であった。
 『こちらフォックス。3階に著いたわ。このまま3階の調査にる』
 『こちらキャット。オーケー。私は2階を調査中』
 『こちらパンサー。じゃあ私は1階を調査しておくわ』
 SSIUの一員は全員、脳にマイクロチップが埋め込まれている。そのチップには見たものを一定時間ごとに畫像化しその畫像を政府が管理している端末に送る機能があるだけでなく、付近の仲間と喋らずに會話が立する機能も備えている。念をメールを送るように伝達させるようなじだ。
 ---3人が城の調査を開始して數分、音ひとつしない城はもぬけの殻のようにじた。
 『こちらパンサー。2人共、狀況は?』
 『こちらフォックス。異常なし。っていうか人ひとり見當たらないわね』
 『こちらキャット。こっちも1人も見てないわ』
 『了解。こちらも同じよ』
 (おかしい。警備どころか人ひとりもいないなんて。じゃあ消息を絶った人達はどこにいったの?)
 パンサーは仲間と連絡を取り合ってみるが城には人影が見當たらず不信を抱くパンサー。
 『2人共、一度合流しましょうか』
 『了解』 『了解です』
 不信を抱くパンサーは仲間と一度合流することにした。2人は特に異論を唱えることはなく同じタイミングで返事を返してきた。
 「……ん?」
 パンサーは2人に指示を出した後、微かに音がするのを聞き思わず聲がれてしまっていた。
 (近くか?)
 パンサーはこれ以上聲がれないように口を噤つぐみ気配を消し辺りを警戒し始めた。そして音がした方へと慎重に歩いて行った。
 『こちらキャット。パンサー、どうかしたのか?』
 すると突然、キャットからの連絡が脳に伝達されてきた。パンサーはそれを聞き後ろを振り返ってみるとそこには先程まで2階を調査していたキャットが1階に降りてきていた。キャットは何処かに歩いている姿を目撃していたようだ。
 『ちょっとその辺を見てくるだけよ。キャットはそこでフォックスと合流してて』
 パンサーは適當に指示を出し再び歩みを進めて行った。パンサーは年齢も経験もSSIUの中では年長者な為、実質リーダー的存在であった。その為、キャットはパンサーの指示を素直に聞きれその場で待機しフォックスとの合流を待つのだった。
 「………」
 歩みを進めながら聴覚に意識を集中させるパンサー。まだ微かに聞こえてくる音を追いかけていた。
 (!?ここか?)
 すると微かに聞こえてきていた音がハッキリと聞こえてくるようになった。音なる方を向くと1階の奧にある部屋から聞こえてきていた。
 パンサーはすぐさまその部屋の扉にピッタリと背中を著させた。扉越しに聞こえてくる人の鼾のような音が聞こえてきた。
 (間違いない。この部屋に誰かいる!)
 そう確信を持ったパンサーは部屋の中に踏みれる決意を決めた。ドアノブに手をかけ音の鳴らないようにゆっくりと回していく。回し終えると背中と扉が一化しているかのように同時にかしていく。
 「………」
 ゆっくりと扉を開けていくと部屋の部がわになっていく。橙にるシャンデリア、天然木を使用された両袖機と本棚、、アルダー無垢材を使用されたすのこベッド、そしてそのベットに睡している白凪の姿があった。
 (1人?他にはいないの?)
 パンサーは警戒しながらもゆっくりと部屋の中へとって行った。無論、白凪の事や斎達の事は何も聞かされていない。
 『こちらキャット。パンサー、今フォックスと合流したわ。そっちはどお?』
 部屋の中にるとキャットからの通信がってきた。
 『こちらパンサー。男を1人発見したわ。ぐっすり眠っているようだけど』
 『ホント!?』
 パンサーが白凪がいる事を伝えるとキャットから驚きの聲があがった。城のあちこちを探してようやく見つけたからだろう。
 『なら私達もそっちに行くね』
 『了解。でも警戒だけは怠らないでね』
 そして3人はとりあえず部屋に合流する事にした。キャット達はパンサーの忠告通り辺りを警戒しながら部屋へと向かって行った。
 (さて、とりあえず私は…)
 その間パンサーは白凪の顔をチップに記録するべく白凪に近づいて行った。
 (こんな広い城をたった一人で?相當な能力者なのかしら?)
 足音を立てずにゆっくりと近づきながらパンサーは様々な疑問を巡らせていた。
 (にしても無防備過ぎるというかトラップの1つぐらいあっても…ッ!?)
 そして1つの疑問をじた時、背筋がゾッと凍りつくのをじた。
 今まで何故こんな単純な事に気づけなかったのかと自分自の怠慢さに譴責けんせきするパンサー。
 城を調査していた時にはトラップらしきものは見つからなかった。そのせいか完全に油斷しきっていたようだ。
 「………」
パンサーは恐る恐る部屋の周りを見渡す。今何が起こってもおかしくないと畏怖の念を抱いていた。
 「……?」
 しかし幾ら待っても何も起こる様子は無かった。部屋の構造も変わった形跡は見當たらない。
 「ッ!?」
 パンサーはしばかり安堵の表を浮かべ再び白凪の顔を拝見しようとしたその時、更なる恐怖をじた。
 「招かれざる客か」
 先程まで死んだように眠りについていた白凪が目を覚まし仰向けの狀態のままパンサーを睨みつけていた。
 (ヤバイッ!?)
 その瞬間、パンサーは腰に帯刀していた全長30センチほどのダガーを手に取った。
 「2人共、逃げてーー!!」
「!?」
 2人がパンサーのって行った部屋の前まで來ていた時、大聲で警告するパンサーの聲が聞こえてきた。耳を劈つんざくような聲で一瞬、が直狀態になった。
 「パンサー!?」
 人は來るなと言われると気になって反対の行をとってしまう生だ。直狀態が解かれると急いで2人は部屋の中に駆け込んで行った。
 「ッ!?」
 部屋の中にった2人の表は一気に青ざめていくのをじた。2人の視線にはベットで上を起こした白凪と腹部に5、6本の剣で串刺しにされたパンサーの姿があった。
 黒のキャットスーツを著たパンサーの腹部は鮮のに染まっていた。
 「あっ…あああ…」
 パンサーはダガーを持った腕を振り上げたまま瞳孔を大きく開かせ嗚咽するような聲をあげた。
 「うああああーーーーー!!」
 「キャット!?ダメ!!」
 その時、キャットはパンサーの姿を見て心したのか金切り聲をあげ腰に帯刀したダガーを手に取り白凪に襲いかかるように飛びかかっていった。
 フォックスはそれを見て慌てて止めにろうとするが時は既に遅く止めにろうとしていた時には既にキャットは白凪に向けてダガーを振り下ろしていた。
 「オーバー・リプエーティング!」
 「ッ!?」
 それに対し白凪はぼそりと何か呟いた。その瞬間、がら空きだった筈の手のひらに何処からともなくと剣が現れた。そしてその剣を摑みそのまま前に突き出してきた。
 突き出した先には襲いかかろうとするキャットがいた。無論回避することは葉わず自ら飛び込むような形での方から突き刺さっていった。
 「…ぁぁぁぁ…」
 突き刺さった剣は臓ごと背中を突き破っていった。突き刺された箇所からは鮮が勢いよく飛沫をあげる。
 キャットは先程までとは違い弱々しい聲をらしパンサーと同様に瞳孔を大きく開かせていた。
 「あ、ああ…」
 キャットの飛沫を顔面にけ顔の半分を赤く染めたフォックスは顔面蒼白になりながら間から生暖かいを零していた。あまりのショックで震いを起こし思考が完全に停止していた。
 『逃げろ…フォッ…クス…』
 「!?」
 すると聞き覚えのある聲が脳に伝わってきていた。それはパンサーからの通信によるものだった。パンサーの方を見ると腹部を串刺しにされたままその場に死んでいるかのように橫たわっていた。
 『フォックス…早く…この事を…あの人に…』
 「…パンサー…」
 パンサーは微かな力を振り絞るが最後まで言い切る前に息を引き取っていった。
 「ごめんなさい」
 しかしパンサーの言葉にふと我に返ったのか踵を返し部屋を出て息苦しさも忘れひたすら駆け出して行く。そして外に出れる場所を眼になって探していた。
 「ハア…ハア…ハア…」
 気がつけば正面口まで走って來ていた。扉までは100メートルもない。フォックスはだだっ広い大広間を走り抜けていく。
 走りまくっていたせいか呼吸がかなりれていた。その上、汗と間から放出されたアルカリのが混じり異臭を放ち嘔吐したくなる程の気持ち悪さが込み上げてくる。
 (あとし、あとし!)
 だがそんな気持ちを払拭するように自分を鼓舞するフォックス。外に出て森の中に逃げ込めれば簡単には見つけられない。
「ゔっ!?」
 扉の前まで辿り著き扉を開けようとしたその時、フォックスの脹脛ふくらはぎに剣が突き刺さった。激痛のあまり腕の力が抜け扉の取っ手から手が離れその場にうずくまった。
 「ここまでみたいだな」
 「ッ!?」
 うずくまりなりながら悶え苦しんでいると白凪の聲と足音がゆっくりと近づいてきていた。
 「お願い、やめて…」
 フォックスは弱々しい聲で懇願を試みた。彼の頭はもうどんな手を使ってでも逃げる事で一杯一杯だった。
 「悔しくはないのか?」
 「えっ?」
 そんな中白凪から突拍子もない問いかけをけフォックスは面を食らった。
 「2人が目の前で殺されてお前はその2人に対して何も思わないのか?」
 「それは…」
 更なる問いかけに答えるのを暫し悩んでいた。
 「悔しいに決まってるじゃない!」
 すると意を決したのか大聲をあげ答えるフォックス。
 「2人共、優しくて強くて綺麗で尊敬してる。だから凄く悔しいよ!でも、2人に比べて私なんかまだまだ。そんな私が2人を殺した貴方に勝てる訳が無い。だから逃げるしか無いじゃない!」
 フォックスの言葉には怒りと悔しさのがり混じっていた。それを白凪は黙って聞いていた。
 「そうか」
 「えっ?」
 すると白凪はフォックスの脹脛に突き刺さった剣を引っ込めた。意外の行に呆気を取られるフォックス。
 (ひょっとして私の気持ちが伝わったの?)
 そんな事を思いつつフォックスは足を引きずりながら再び扉に手をかけようとした。
 「だが」
 「!?」
 扉に手をかけようとしたその時、白凪の冷たい聲が聞こえて恐る恐る後ろを振り返ろうとした瞬間、白凪の剣がフォックスの元に突き刺さった。悲鳴をあげる間もなくフォックスは力盡きた。
 「逃しはしないよ。3人あの世で仲良くしてな」
 白凪は吐き捨てるように言うがフォックスにはもうその言葉は屆いてはいなかった。
 「仙!?」
 「ん?」
 フォックスの手が扉から離れ落ちたタイミングで外から扉が開かれた。その先には散歩から帰って來た渚達の姿があった。
 「うわっ!何だこりゃあ!?」
 「仙、大丈夫か!?」
 「仙!?」
 3人共フォックスの死やら返りを浴びた白凪の姿を見て慌しくなった。
 「仙、大丈夫?」
 渚は一目散に白凪に駆け寄って來た。渚の頭の中は白凪の事でいっぱいなようだ。
 「ああ、問題ない」
 心配する渚達を見て何を思ったのか軽く鼻で笑いながら返事を返した。
 ---その後、白凪は3人に事を説明し殺された3人のは山奧に埋葬されるのだった。
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