《BLOOD HERO'S》episode6 #7「白凪という男」
 ---「全滅か」
 「まあそうだろうね」
 志村と細谷は落膽したような口調で話し合っていた。志村の持っていた紙には調査報告と『諜報員三名の生存不明』と1番下に記されていた。
 SSIUのメンバーに埋め込まれたマイクロチップは埋め込まれた本人が死ぬと破損してしまう。データは定期的にサーバーに自送信されている為、データは殘るかたちにはなるが定期の送信が途絶えたという事は殉職されたとしか考えにくいのだ。
 「それにしても3人ともあちらとしてはかなり痛手だろうね」
 毎年10人以上がけ1人かれば2、3年は出てこないだろうと言われる程難しいSSIU。最近はし緩くはなっているようだが結果的に心が折れ自害する子や逃げ出す子もなくない。
 そんな中で今までその苦難を耐え抜いてきた仲間を3人失うのはSSIUにとってかなりの痛手となった。
 「それで、俺等に調査を引き継いでしいという訳か」
 「そういう事だね」
 コーヒーを飲みながら問いかけてくる細谷に報告書を見つめながら志村は簡潔に返した。
 「やれやれ。かなり面倒な狀況で押し付けられたな」
 「ふふ、確かにね」
 小さくため息を零す細谷と微笑を浮かべる志村。志村達からすれば面倒な後仕事を押し付けられ困ったものである。
 「それで、敵の報は摑めたんだろうな?」
 ため息を零していた細谷は気を取り直すべく話を進めた。志村はそれに対し「ああ」と短く返すと懐から數枚の寫真を取り出した。
 「これが今回3人を襲った人だよ」
 取り出した寫真を機に雑に置くと細谷の視線は寫真の方に移っていった。
 「これは…」
 寫真には故人西城の住処である城の大広間とベットが置かれた寢室らしき部屋が何枚かに渡り寫されていた。
 そしてその寫真全てに1人の男が寫されていた。雪のように白い髪に生気のない目がかなり特徴的であった。
 「この男が彼達を殺ったのか?」
 「斷言は出來ないけど、可能は高いだろうね」
 寫真を見た細谷からの問いかけに志村は曖昧に返す。だが2人共心では確信していた。彼達を殺したのはこの男であるという事を。
 「で、この男の報は?」
 細谷が更に問いかけると志村は無言でまた懐から紙をスッと取り出し機に置いた。その紙には男の戸籍が載っていた。
 「名前は白凪 仙。元17年(聖暦2475年)4月20日生まれ。生まれも育ちも六英だね。學歴は…」
 「どうした?」
 志村は獨り言のように白凪の戸籍を読み上げていると突然口を噤み出した。それを不思議に思った細谷が問いかけてくる。そんな志村は眉間にしわを寄せ睨みつけるように戸籍の紙を見つめていた。
 「この男、保護歴がある」
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