「よし行くぜお前らあ！」

瞬間、吾郎が刀を抜き放ち、鞘を捨てて飛び出した。四ノ宮もそれに続く。

直江も走り出そうとして、ふと腕に力をじて止まる。

見ると祭が彼の服の袖を摑んでいた。

「……頑張ってな……」

祭はここで待機、もし直江たちに何かあって戻らなければ彼が本局に連絡する手筈である。もちろんそんなことはないはずだが……。

直江は彼の頭をでる。

「行ってくるよ。祭ちゃん」

「ちゃんはいらん」

刀を抜いて彼らの後を追う。

既に正門を乗り越えた二人は運場にて玄関から飛び出してきた鬼と戦中だ。

むくじゃらのに鋭い爪を生やした怪達。

１０はいた鬼達が既に何か吾郎の猛攻によって切られている。

「この我寫髑髏のサビになるといいさ！」

風を切り裂く音と共に四ノ宮の斬撃によってまた一鬼が駆除される。

青いが飛び散りそれは空気中でボウッと燃える。奴らのは空気にれると発火する。だが別のものに燃え移ることはない。異界の怪たちがもつ特有の質だ。だけど熱いことに代わりはないので直江たちは両腕に包帯を巻いている。耐熱帯と呼ばれる特殊な繊維でつくられたものだ。これのおかげで腕についたが発火し、熱さで刀を落としてしまうという愚行を不正でくれるわけだ。

「先に行くよ！」と直江は二人にこの場を任せて校に足を踏みれる。

吾郎が「手柄を獨り占めする気だな！ずるいぞ！」とかなんとかんでいたが無視。

敵を逃がすわけにはいかない。運場で吾郎たちが會敵した時點で直江たちの存在は気づかれている。それでも夜のうちの奇襲は敵にとって予想外だったはず。

どこだ？教室をしらみつぶしに探していくか……？

そのとき、直江の鼻が獨特の刺激臭を知した。アンモニアに似たその臭いはバンピールの窟で嗅いだことがある。吸鬼達が使役している鬼や死霊は、吸鬼自が骨や、魂を自らが一から練り上げ造るものだ。そしてこの臭いはその時に使われる特殊な薬品のもの。

臭いの元を探る。おそらくそこが吸鬼の工房であり寢床。

ある教室の前で臭いはより一層強くなった。

ここか……。

扉を開いて視界に飛びこんできたのは倒れたの。

近隣の住民だろうか。おそらく食料として運ばれたのだろう、口と手足を縄のようなもので縛られ床に倒れている。意識はないが顔を見る限り死んではいない。吸鬼にを吸われて死んだ者はみな顔が青くなる。

「……っ！」

ブブッと羽蟲が耳元で飛んだような音。

サイコキネシス！？

気づいた時には既に遅く、直江のはフワリと浮いて後方に飛ばされた。

教室の隅に置かれた掃除用れに衝突して派手に音を鳴らす。

……いってえ……。

視線の先にはこちらに手を力強く向ける金髪の男。ボロボロの服、放置された無髭。まるで浮浪者にしか見えないが、その異國をじさせる髪に、獣のような赤い目が今回のターゲットである吸鬼だということを示していた。

直江は急いで立ち上がり、刀を構える。

相手との距離は數メートル。その間にあった機や椅子がサイコキネシスの影響ではけている。

「おい、あんた……ここが誰のテリトリーかわかってるのか」

返事はない。あ、こいつイギリス人か

「どうやら日本語がわからないみた……」

「ついている。貴様見習いだな」

わかるんかい！