《エルフさんが通ります》ティスタナの街
三時間ほどシルバーが走した結果、あっさりと私たちは新たな街に到著しました。
全速力で走ったのが久しぶりなのかシルバーは何故か清々しい顔をしていまし。やはり運は大事なようです
「……これほどひどい馬車に乗ったのは生まれて初めてだ」
顔を真っ青にし、著ていた服がボロボロとけない姿で馬車から降りてきたクロード。
「クロード、あなた約束を守りませんでしたね? 話しかけたのにわけのわからないうめき聲ばかりあげて迷でしたよ?」
「お前が安全に馬車を走らせなかったからだろうが!」
やれやれ、責任転嫁という奴ですか。心が小さい男です。
「ところで何故みなさんは街にらずにここに並んでいるのですか?」
街はグルリと壁に覆われているようでり口はどうやら一つのようです。
ささっとれば問題ないでしょうに。
「ああ、ここは検問所だ。いうなら不審者や危険人などを街にる前に取りしまってるんだ」
「そんな面倒なことを?」
エルフの里では考えれませんね。なにせ人來ないですし、壁もないですし。
「閉じこもりがちなエルフとは違うさ。良くも悪くもな。その分、危険も増えるが他國からも々ながってくるしな」
「なるほど」
『ほどー』
あの偏屈ジジイばかりの里ももうし人間に歩み寄ればいいと思うのですが、頑固だから無理でしょうしぬ。
まぁ、その分私が楽しみましょう。
「馬車はここに置いていても?」
「ああ、構わない。あとで取りにこさせる。行くぞ」
クロードがスタスタと先に進むのを私は魔法のカバンマジックバックと弓を持って続きます。
先ほどクロードが言っていた検問所? と呼んでいた場所まで來ると騎士の方がクロードに敬禮していました。
「クロード様、どうされましたか? 護衛の者は?」
「途中、野盜に襲われてな。このしょ……娘に助けられたのだ」
今、年って言いかけませんでしたか? クロード。
「なんと⁉︎ では他の騎士達は……」
「ああ、僕を守り勇敢に戦ったよ」
……ここは私が弓でぶち抜いた事は言わない方が良さそうです。リリカは空気の読めるですので。
「それではそちらの方は?」
「ああ、屋敷に案しようと思ってね」
「なるほど、ではお嬢さん、持ちを見してもらっても?」
「どうぞ」
魔法のカバンマジックバックと弓を騎士に見えるように置きます。
騎士が魔法のカバンマジックバックを逆さにします。
おい、丁寧に扱え。
すると大量の荷が転がり落ちてきた。
服、矢筒、作りかけの矢、まみれの剣、槍、下著などといろいろだ。
「「…………」」
あまりの多さにクロードも騎士も沈黙しているようです。
整理整頓も大事だね。
「クロード様、この剣、うちの騎士団のやつじゃありません?」
「戦利品とか言ってたなこいつ…… 見逃しとけ」
「私が拾ったんだから私のでしょ?」
渋い顔をする二人と満面の笑みを浮かべる私。
げんなりしながら騎士は魔法のカバンマジックバックに再び荷を戻していきます。
「……あんまり街ではやんちゃしないでくれよ?」
「私が? そんなのするわけないじゃないですか」
騎士が魔法のカバンマジックバックを手渡して來る際に小さく釘を刺して來ました。
まぁ、何事もなければ暴れませんよ。何事もなければね。
「検問も済んだようだし行くぞ。あ、外の場所を屋敷に屆けて置いてくれ」
「畏まりました」
律儀に敬禮する騎士の橫をクロードと共に私も通り過ぎます。それにしてもクロード、一何者なんでしょうね?
「なんだ?」
ジロジロと見ていることに気づいたのかクロードがこちらを見てきた。
「クロードはもしかしたらなかなかに有名人なんですか?」
周りの人もジロジロとこちらを見て來ているようですし、私としては居心地が悪いことこの上ないんですがね。
「ああ、それはお前に対して視線がいってるんだよ」
クロードは苦笑を浮かべながら話を続ける。
「お前も知ってる通りエルフってのは里から出て來ることの方がない。むしろダークエルフの方が街の人間は見慣れてるだろうよ」
「私が珍しいと?」
「ああ、街中でエルフを見ることはまずないからな」
ふむ、そう言われれば確かにそうですね。
あのな奴らエルフがこんな街に自分から出て來るとは思えませんし。しかし、ダークエルフ、會ったことはありませんがなかなかに活発的な種族のようですね。
そのまま道なりに歩いて行くと徐々に人通りが多くなってします。幾つもの店が並び大きな聲で客寄せをしているようです。あんまり人が多いと落ち著かないんですけど。霊さんも沈黙してますし。
「聞き忘れていましたが、この街の名前はなんというのです?」
本來ならさっきの検問所とやらで教えてくれるんでしょうが、クロードが話をしていたせいで聞けませんでしたね。
「ん? 名前ならティスタナだ」
「なにか意味があるんですか?」
「確か、昔にいた神様の名前からつけたと爺さんは言ってた気がするがわからんな」
神ティスタナ、聞いたことありませんね。
長老なら知ってそうですがいませんし、また時間がある時にでも調べて見ましょう。
「著いたぞ」
「おー」
『おー』
私は目の前の建を見上げ霊さんと共に嘆の聲を上げます。
白を基調としたやたらと大きな建が目の前にありました。あんまり建には詳しくありませんがお金がかかってそうですね。
「クロードの家ですか?」
「ああ、一応領主だからな」
「りょうしゅ?」
「お前らの言葉で言うなら長老だ」
「なるほど」
クロードが屋敷の扉を開け中にる。それに続いて私もる。
中は外観に劣らないほどお金がかかってそうだ。
「ふむ、素晴らしきロリですな。の無さといい慎重の低さといい申し分ない」
「⁉︎」
後ろから突然、変態的な聲をかけられたことに驚いた私はすぐに背中な弓を構え、魔法のカバンマジックバックから矢を取り出し裝填。振り向きざまにすぐさま矢を放つ。
パン!っという音が響き、私は驚愕に目を見開いた。
「素晴らしい練度をお持ちです。その歳にしてすでに一流の狩人と呼べるほどの」
私の後ろに立っていたのは白髪の初老の男でした。私の放った矢を二本の指で挾むようにして止めています。
「 ……あなた人間ですか?」
「ふむ、生まれてこのかた人間以外になれたことはありませんな」
普通の人間はこんな至近距離で放たれた矢を指で挾むなんて蕓當はできないと思うんですけど。
「ん、爺、いたのか」
「はい、旦那様。まさか客人に弓を放たれるとは思ってもいませんでしたが」
「どうせ貴様の事だ。気配を消して後ろにでも立ってたんだろ?」
「ハハハ、さすがは旦那様。その通りです。この麗しきロリをでていました」
「クロード、この変態は? 誰」
私は霊さんと共に白髪じいさんを警戒しながら距離をとり、全く驚いていないクロードに尋ねます。人間の癖に気配を完全に消すとか、この人怖すぎます。
「ああ、この爺は僕の屋敷の執事を勤めてもらっているグレンだ」
「お初にお目にかかりますレディ。私、この屋敷の執事を勤めさしていただいています。グランと申します。麗しきロリよ」
丁寧な禮をしてきたグランがなんだかじゃよくわからない言葉をいっているがそんなことはささいな問題ではない。危険すぎる。
「グラン、リリカが怖がってるからお茶でもれに下がれ」
「ほっほっほ、では老いぼれは下がるとしましょう」
そう笑いながらグランはスタスタと通路の奧に消えていきました。
ふぅ、姿が完全に消えるまで全く油斷できないおじいさんでした。
「グランは一何者なんですか?」
「爺は元冒険者だ。なかなかの腕だったと聞いている」
あれが元冒険者ですか。冒険者侮れませんね。
報を聞いたら冒険者になってみるのも面白いかもしれません。
「こっちだ」
一室の扉を開き中にるクロード。
私は後ろを警戒(主にグラン)をしながらクロードの開けた扉にり込むようにり込み扉を閉めます。
った部屋も趣味の悪そうなは置かれておらずそれとなく室にあわせた且つ高そうなものが飾られていた。
クロードはすでにソファーに座り、私に対し向かいのソファーを手で薦めてきた。
當然躊躇う必要の無い私はクロードの対面のソファーに座る。すると想像以上のらかさに私のが沈んだ!
なんだこのソファーは!
『フカフカー』
橫を見ると霊さんがピョンピョンと楽しげにソファーの上を跳ねていた。
ふむ、楽しそうだ。
私は立ち上がると霊さんと同じようにソファーの上で飛び跳ねた。
おお!すごく飛ぶ!
「その辺にしといてくれ! そのソファー高かったんだ!」
「へえ〜」
クロードの悲鳴のような言葉に生返事を返しながら最後にめいいっぱい力を込めて跳躍。天井近くまで思いのほか高く飛ぶことができ(目算で四アルメほど)そこから勢い良く落下。
私の足は破壊音とぶち壊したソファの破片をばら撒きながら著地する。
「……ごめん、壊れちゃった」
『てへぺろ』
「壊したのまちがいだろがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
クロードの絶が屋敷に響いた。
ごめんね。てへぺろ!
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