《エルフさんが通ります》刺さってると引っ張りたくありませんか?
「しかし、どうします? 大規模討伐クエストに參加するにはあと一人必要ですよ?」
私と共に市場を歩きながらアレスがたずねてきます。
そう、それが問題です。
アレスも私同様でこの街には知り合いなんてロクにいませんからねぇ。
市場には私達の他にも様々な冒険者が買いをしています。かなり店や品も富ですしね。見ているだけでも退屈ないでしょう。
「いざとなったら二人でもいきますよ。そこの鉄の矢をください」
「あいよ」
街で買いをしつつパーティにはいってくれそうな冒険者を探しますがなかなかよさそいな人がいませんね。
おっちゃんから鉄の矢をけ取りそれと換に銀貨を二枚渡します。け取った矢を矢筒にれるとまとめて魔法のカバンマジックバックに放り込みます。
パーティが集まらなかったら二人でもムトゥの森に乗り込みた気満々ですからね。準備はきっちりとしておきます。
「アレス、あなたは準備はしなくてもいいんですか?」
私がフランと話をしている間に宿に戻って著替えてきたようですが他にはなにも持ってないみたいですし。
「杖ならありますよ?」
アレスが見せてきたのは小さな杖です。以前の杖よだいぶ小さいみたいですけど。
「こっちのほうが持ち運びが楽なんですよ」
「そういうものですか。くーちゃんはなにかいりますか?」
『ん? リンゴ?』
ああ、そう言えば甘いのが食べたいと言ってましたね。約束は守りましょう。
くーちゃんを頭に乗せながら私とアレスは果屋のほうに向かいます。
「しかし、完全武裝の冒険者が多いですね〜」
「確かにね〜」
すれ違う冒険者のほとんどが皮の鎧であったり、高そうな杖を持ったおそらく魔法使いであったりなのでしょう。すれ違い様に私達を見て鼻で笑ってますしね。
まぁ、私達はというとエルフの服と弓、ローブとの空いたとんがり帽子を被った魔法使いですし、初心者丸出しですからね。特にエルフの服は見る人が見ないとただの服でしかないわけですし。
そんな中で周囲の視線を集めている人がいることに私は気づいた。
「あれは?」
アレスも周囲の人の視線に気づいたのか私と同じものに目を留めたようです。
「あの……もうしやすくなりませんか? 店主」
「いや、適正価格なんだが……」
果屋の前から聞こえてくる大きな聲、それが私、アレス、そして周囲の視線を集めている人だった。
燃えるているような紅い髪、りたいですね。
「あの髪りたいですね。紅い髪なんて初めて見ましたし」
「え、そこですか⁉︎ みんなみてるの絶対そこじゃないですよ⁉︎」
そうかな? この街というか人間の住んでいるとこに來てからはあんな紅い髪見たことないないんだけど。
『「いやいやいやいや!」』
くーちゃんとアレスが手を振りながら否定してきました。息ぴったりの二人組みです。
「みんながあの人を見てるのはあれですよ!」
そういいアレスがの子を指差したため、その先を確認。そして再びアレスを見直します。
「で、どこ?」
「えええぇぇ?」
『あれあれ!』
くーちゃんが再び指差したので仕方なくみます。
そこで気づきました。
それは剣だ。
とてもしい白銀の両刃、刃には見たことのない文字のようなが刻み込まれており、刃はそのまま簡素な柄に繋がっていた。
だが、剣先だけは見えない。なぜなら
「なんであの人、背中に剣が突き刺さってるの?」
店頭で果を眺めているの子の背中に突き刺さってたのです。
「なにあれ! 聖剣ぽいね!」
「なんでそんな瞳がきらきらしてるんですか! 遅いですよ! みんなあれ見てるんでしょ! 多分って、どこ行くんですか⁉︎」
アレスが喋っていますが私はすでにの子の背中に刺さる聖剣(そう思ってます)に夢中です。そちらに向かい走っています。
「もうし! もうし安くしてしいんです!」
「いや、銅貨二枚以上安くしたらこっちも赤字だから」
どうやら値下げ渉をしているようでこちらに背中をこちらに向けています。さらには剣の柄が見えているのも好都合です。
私は勢いを落とさずに柄に手をばし摑み、
「ん?」
間抜けな聲を上げるの人の橫を通り過ぎ
「抜けろ! 聖剣!」
掛け聲とともに引っ張りました。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁ!」
とは思えない悲鳴だしますね。予想外です。
しかし、予想外はそれだけではなかったようです。結構な勢いをつけて柄を摑み引き抜こうとしたにも関わらず剣が抜けていないのです。自然、剣が抜けないということは刺さったままのの子がそのまま付いてくるということであって。
周辺に破壊音が響き渡ります。
「なんだなんだ!」
「の子が店をぶっ壊してるぞ!」
「あいつ! 以前街中で矢をぶっ放したエルフだぞ」
そこいら中から文句が出ています。仕方ありません。
「アレス! ここは任せました! 私は戦略的撤退をします!」
「ちょっ、リリスさん⁉︎」
アレスが何かをんでいますが私は速度を落とすことなく一気に駆け抜けます。
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
私が剣の柄を離さなかったため、引き摺られ絶を上げ続けるの子を連れ回しながら私は駆けるのでした。
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