《エルフさんが通ります》私のは高いんですよ?

「ほう、俺を同じ目にあわすだと?」

斧槍を構え、私に注意を払いつつも近づいてきたシュバルツは楽しげに口元を歪めます。

「ええ、あなたにも反吐を吐いて転がりまわってもらいますよ」

対する私も笑顔。

今から私の持てる全ての力を使ってこの目の前の筋の塊に地獄を見せてやります。

ああそうだ。確認しておかないと。

「賞金首って首だけでも賞金もらえますよね?」

「ああん?」

「いや、死丸ごと持って帰るの手間じゃないですか」

首だけなら軽いですし、さっきは首だけ持って帰ろうとしました良く考えるとがそれでは賞金が出るかわかりませんね。後でマリーに確認をとるとしましょう。

「勝った気でいるのか?」

「今から勝つんですよ!」

シュバルツに勝利宣言をすると共に私は後ろに大きく跳躍。距離をとり手にしていた『旋風』を鞘に収めると魔法のカバンマジックバックに戻し、代わりに弓を取り出します。

弓を構えると再び大地を蹴り、宙を舞い、生い茂る大樹の一本の枝に著地します。

「あん? 大口を叩いた割りに逃げ腰じゃねえか」

「わざわざあなたのような筋の塊のような奴と同じ土臺にあがるのが間違っていたんですよ」

シュバルツの挑発には乗りませんよ。

そう、すでに試し斬りという當初の私の目的は果たせているわけです。

だったら使い慣れない武で、しかも相手の得意な間合いで戦う必要などありません。

ならば、

「遊びの刀で遊ぶのは終わりです。今からはエルフの距離で戦わしてもらいます」

「上等!」

私はさらに木々から木々へと移し、森の奧深くに移しから完全に姿を隠します。

こんな獣みたいな奴とまともに戦う気は全くありません。出も結構ひどいのポーションを飲んで傷が塞がったらさくっと決めましょう。

木にもたれながら手探りに魔法のカバンマジックバックから數本のポーションを取り出し蓋を開けるとまとめて一気に飲み干します。

『きずなおったの?』

「とりあえずといったところですね」

このポーションはあくまで傷を治すだけのものですので失ったまでは元には戻りませんからね。若干が重いですが許容範囲でしょう。

「さて、くーちゃん、力を貸してもらいますよ。徹底抗戦です!」

『何をすればいいの?』

「まずは敵の位置の把握です。風魔法に探知系のはありますか?」

『あるけど、そんなに詳しくはわからないよ?』

「おおよそで結構です」

今からやるのは弓での攻撃ですが範囲破壊攻撃ですからね。

エルフの里では一度やってメチャクチャ怒られましたし使用止にもされたものです。それをシュバルツにぶつけるとしましょう。

ふふふふ、覚悟してもらいますよ。

『リリカ、顔怖いよ? あと探知できたよ』

おっと心が顔に出てしまいましたか。それにしてもくーちゃんは仕事が速いですね。

こちらも準備していきましょう。再び魔法のカバンマジックバックに手をれるとおなじみである私の最強の古代魔導アーティファクトである黒い手袋、全てを弓へオールボゥを取り出し裝著し、更に魔法のカバンマジックバックの中にっている大量の武、防を取り出していきます。これで準備完了です。

「さ、私にを流させたことを後悔させてやりましょう。くーちゃん、距離と方角を教えてください」

『こっち、二百アメルくらい』

くーちゃんの指差す方角に向かい弓を構え、取り出した武を全てを弓へオールボゥにて銀矢をへと変え摑むと四本を弓に番えます。

「喰らいなさい!」

私の咆哮と共に放たれた銀矢は瞬く間に閃へと変わり、眼前の障害を破壊し突き進みます。周囲には破壊音が響き渡り景も変わっていきます。

前面の障害である樹木を銀矢が砕し続けたことにより私のいる位置からシュバルツの姿が見えるようになりました。

「戻れ」

特に言葉に出す必要もありませんでしたがなんとなく呟きます。

すると私の意志に呼応(してもらわないと困る)シュバルツに向かっていた銀矢が元の武、斧、槍、剣、盾といった異なるものに戻り斧槍を構えるシュバルツ目掛けてに迫ります。

いきなり矢が武に変わったことに驚いたのかシュバルツの目が見開かれていますね。ふふふふ、エルフの視力ではこの距離でも見えているのですよ。

しかし驚きはしていますが慌ててはいません。すぐさま斧槍を翻し迎撃してきます。

『あっさりはじいちゃったよ!?』

「想定どおりです」

ふん、初めからこの程度でやれるとは思っていません。それよりもむかつくのは、シュバルツが武を迎撃したときに、

「……あいつ『この程度か?』とほざきましたね」

握っていた弓がミシミシと音を立てます。あの余裕面、絶対につぶします!

『リリカ! 落ち著いて』

くーちゃんに諭され我に返ります。ええ、私は落ち著いています。証拠にほら深呼吸もしています。

ほら、ヒッ・ヒッ・フー ヒッ・ヒッ・フー

「ふう、落ち著きました」

『それ、深呼吸じゃない!?』

「そんな細かいことを気にしていては大霊にはなれませんよ? くーちゃん」

『むむ』

あ、からかいすぎましたかね。しかし私もいいじにリラックスできました。取り出しておいた武を再び手に取ると全てを弓へオールボゥで再度、銀矢へと変えていきます。次は五つです。

『魔法いる?』

「お願いします」

私の返事を聞いたくーちゃんが頷くと全てを弓へオールボゥにて銀矢へと変貌したものにくーちゃんが風魔法を付與していきます。さーて次はかわせますかね?

「私のはとても高いんですよ?」

怒りを乗せたその言葉と共に私は銀矢をるのでした。

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