《怪奇探偵社》(3)
「アタシよォ〜〜!!!」
と言いながらって來たのは…………………………………
筋骨隆々な男だった。
髪や目は薄紫でし強面な顔はメイクで緩和されているようだ。
溢れるような筋はかっこいいが著そうな服に包まれ、なぜかそれも著こなしているように見える。
何故そう見えるのかはよく分からないが…
………この人に俺は運んでもらったのか。
「ご迷おかけしました。」
そう言って俺は頭を下げる。
「あらァ〜!!ちゃんとそういうこと言えて偉いわね〜!初対面のアタシに向かって、失禮な事言う輩が多いのよね〜…ほんと、やんなっちゃうわ!」
そう言いながら、こちらににっこりと笑いかける。
純粋に嬉しそうでこっちも自然と笑顔になる笑みだ。
「笑顔、似合ってるわよォ〜!そうだ、″ミック″のハンバーガーとポテト買ってきたんだけれど、食べられるかしら〜?歩いたり出來そう?」
「えっ?!″ミック″のハンバーガー?!」
「ん?もしかして食べれないとかだったかしら?アンタ、好き嫌いは良く…」
「大好きです…!!でも俺、お金とか、払えないですよ…?」
「金なんていいわよ。″ミック″代くらいはアタシが奢るわ。アンタ、若いのに苦労多い人生送ってそうだしね。バーガーが冷めないうちに皆で食べましょ?歩けるかしら?」
おんぶ抱っこでもしそうな雰囲気に、俺は慌ててベッドを降りる。
「歩け……ますね。大丈夫そうです。」
「よろけたり、ふらつくようならボクの肩摑んでぇ〜」
さっきまで無言でだらけていた彩嶺あやねが駆け寄ってくる。
「ありがとうございます。でも大丈ぶ…」
「あぁほら言わんこっちゃないわ。大人しく彩嶺に摑まりなさいよ」
が軽すぎて足が空回りし転びそうになってしまい、男に支えられてしまった。
…そういえばこの人の名前聞いてないな…
でも悪霊に取り憑かれていないとこうもが軽いのか…!
「すみません、お言葉に甘えます…」
「申し訳なさそうにしなくていいよぉ〜?こっちも仕事だしねぇ〜、普段だらけてる分、こういうとこで役に立たないとクビになっちゃうしぃ〜」
彩嶺さんの肩に手を置いて、部屋を出て階段を降りる。時々ふらつくと彩嶺さんがちゃんと支えてくれる。
階段を降りきると、段々賑やかな聲が聞こえてくる。
「そういえば、名前…俺、柏木 蓮かしわぎ れんです。」
「あぁ、アタシ名乗ってなかったわねぇ…。アタシの事、《ナイ》って呼んでくれるかしら?」
「わかりました、ナイさんですね」
そうこうしているうちに部屋の前に著いたらしい。
「じゃ、開けるわよ〜」
ナイさんがドアを開けようとしてくれる。
ードアに手をかけたその時だった。
ゾクッ…!!
全を刺すような怖気おぞけが駆け抜ける。
寒気なんてものじゃない。全から脂汗が噴き出して、ガタガタと震えが止まらず、が閉まって悲鳴すら出ない。
……いる。この扉の向こうにとんでもない悪霊バケモノが。
だんだんと息が荒く、早くなっていく。
意識を失わないのが奇跡、いや、いっそ失ってしまいたい。
空間に縛り付けられるようにがかない。
2人は俺の異変に気づいたらしく焦っているようだ。
すると、ドアの向こうで
『止やめないか。』
とし低めのの聲がした。
ドア越しなのにくぐもらず、はっきりと聞こえた。
威厳や覇気のある強い聲だ。
それが聞こえた途端、刺すようにを締め上げていた怖気が霧散した。
「…大丈夫だから、っておいで」
同じの聲。今度はしらかい聲音で、過呼吸や震えもそれですっかり収まってしまった。
「おやぁ〜?震えは収まったようだねぇ〜。」
「あらほんと?良かったわァ〜!多分アイツね。ドアの向こうにいるけど、悪い奴ではないのよ。じゃ、ドア開けるわね!」
ほっとした様子の2人。
アイツとは誰だろうか。
間違いなく悪霊の威圧だったと思うのだが……
ナイさんが勢いよくドアを開けた。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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