《ギャング★スター》ギャング★スター2
街の荒くれ者が集うボッタクリ酒場「オトオシ」では喧嘩が絶えない。しかし、 ビール瓶が飛びう中、薄暗い店の隅で靜かに酒を飲む男が居た…
 男の名はギャング・スター。街一番の大悪黨。普段は彼も飛んできた瓶をキャッチして見知らぬ誰かに投げつけるのが常であったが、今日は違った。とある事件によって用のリボルバー拳銃が壊れてしまったのだ。
 そこへ 包帯を巻いた男が現れた。
「かの有名なギャング・スターさんでは」
 いかにも。とスターが答えると男はすぐさま隣の席に腰掛けた。
「私、ハイ・ロックと申します。」
 自分のファンには優しいスターだったが、今宵は狀況が違う。壊れた相棒を弔わなければならないのだ。スターは腰に手を當ててグラスを飲み干すと席から立ち上がった。その時、宙を舞ったビール瓶が店の照明に當たって角度が変わり、薄暗かった店の隅を明るく照らし出した。
「スターさん。もしや銃に不合があるのでは」
 スターは沈黙を保ちロックを見た。
「貴方の座り方がいつもと違うのです。そして貴方は先程、腰に手を當ててお酒を飲んだ。普段必要最低限にしか腰、つまりガンベルトのリボルバー拳銃にらない貴方がそのような行為をしたことで違和が決定的になったのですよ。」
 さらにロックは続けた。
「腕の良い修理人を知っています彼なら貴方の銃を直せるかもしれない」
 スターは椅子に座り直した。
「マスター。俺とこの男にウイスキーを。ロックで頼む。」
 包帯男ハイ・ロックの話によれば街の外れにある工房でならどんなに壊れた銃も直せるらしい。しかし、今日の仕事で得た収が一気にふっ飛んでしまう程に法外な修理代を請求されてしまうということだった。
 その話が終わったところでロックがスターに尋ねた。
「ところでスターさん。私に覚えはありませんか」
「いや、ないな」
 グラスの中の氷が溶け始めからりと鳴った。
「それは殘念です。私の方にはどうしようもない恨みがあるのですがね」
 酒場の喧騒が収まり、視線が二人の方へ集中していく。
「貴方がいつも放り投げているビール瓶。あれの行方が気になりませんか」
「いや、全く」
「あの瓶はね…」
 ロックが突然立ち上がる。カウンターから落ちたグラスの割れる音が響き渡った。
「全部、私に當たっているんだ!!」
 その聲と同時に酒場中の荒くれ者がスターを取り囲み銃を抜いた。対してスターには銃がない。しかし彼は落ち著いた足取りで店の真ん中まで歩いた。
 先走って発砲する者もいたがその弾は明後日の方向へ飛んで行った。
「ロックとか言ったか。こいつらはせいぜいお前がインタネッツで集めた三流ばかりだ」
 明後日の方向へ飛んだ弾が跳弾して店の照明を元へ戻し、スターを照らした。
「そんなのでは…」
 荒くれ者が一斉に銃を放つ。その剎那、スターの瞳がきらりと輝いた。
「俺は倒せない」
 音の後火薬の煙が充満し、スターは見えなくなった。ロックが勝利を確信し拳を固く握った時、しかし、煙の中から現れたのはスターただ一人だった。 
「な、何故だ。何故生きている」
 マスターがグラスを拭きながら言った。
「簡単なことだ。お前の刺客は自分の銃の能を把握していなかった。微妙な弾道の逸れ、発のタイミング。それを奴は全て知っていた。」
「まさか…」
「だから全ての弾丸を避けることができたんだ。」
 煙が去るとそこには荒くれ者の死で円が作られていた。
「お前も自分の道の能を理解していなかったようだな」
「バカな」
 ロックは逃げ出そうとしたが…
「上だぜ」
 はっ。と顔をあげると照明に引っ掛かり、先程の騒ぎで今まさに落ちてきたビール瓶が眼前に迫っていた。
「マスター。會計は?」
「お通し代も含めて、十四萬三千」
ギャング・スターは気絶したロックを指した。
「全部あのミイラ男につけといてくれ」
スターは闇へと消えていった。
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