《No title》53.平和な日

朝。

目が覚めて最初に見たものは天井などではなかった。

なんだこれ?綺麗だな…。

き通るような翡翠の……

「眼!?」

驚いた俺が勢いよく起き上がるより先に、ライがアクロバティックなきでソファーから飛び降りる。

「おはようレイス!」

「あ…うん、おはよう」

相変わらずの開いた瞳孔と元気な聲。

贅沢は言わないからもうし普通に起こしてもらえなかっただろうか…。

「カイ、起きてカイ。朝だよ」

「ちょっとランさん地味に痛い…」

「じゃあ起きる?」

「えーそれは嫌だなぁ」

眼前のベッドでは、ランに顔を叩かれながら起こされるカイの姿があった。

めっちゃタシタシ叩くじゃんあの子…。

楽しそうだなおい…。

「今日は何かするの?」

ふと、ライがニビのびた髪をツインテールにしながらそう尋ねる。

ニビは諦めているようで、珍しくされるがままになっていた。

「特に無いかな…お前らが大會でるなら武の新調するのもいいし普通に街に出るのもいい。どうする?」

俺の問いかけに二人は、暫く見つめあってから首を橫に振った。

「じゃあもう一回寢ていいですかねレイスさん。俺はとても眠いです」

「いやそれもどうなんだ。起きろ」

「じゃあ遊ぼ!かくれんぼ?鬼ごっこ?何する?カイ決めていいよ!」

最初はやりたくなさそうにしていたカイだったが、ライの目の輝きに負けたらしく、ため息まじりにベッドから這い出てきた。

あの自由人をかすとは…凄いなライ…。

「じゃあ鬼ごっこやろうぜ!鬼は誰がやる?」

「そりゃあ言い出しっぺだろ。なぁニビ?」

「當然。てことでカイよろしく」

「俺がやんの!?」

「カイが鬼?じゃあ僕ら逃げるよ!行こうラン!」

「うん」

「あ…ちょ…」

二人はそのまま足早に部屋を出て行ってしまった。

朝食もとらず元気なことだ。

そして取り殘された俺たちは、カイを除いて肩を微かに震わせている。

「じゃあ…くくっ、俺らも逃げるから」

「あははっ!行こうレイス!カイはちゃんと10秒數えてこいよ!」

ニビに促され、俺たちは一足先に部屋を出た。

後ろから聞こえてきた大きなため息に、思わず口がニヤけてしまう。

今日こそは平和な一日が過ごせそうだ。

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