《No title》57.一番の聲援~ニビ目線~
太のを背に、腕を組んで仁王立ちしていたのは紛れもなくレイスだった。
観客全員分の視線やざわめきには目もくれず、その視線はまっすぐ俺を見據えている。
「お前なぁぁに勝手に諦めてんだニビこらぁぁぁ!!」
なんか俺が指さされながら怒られてる。
人を指でさすなって言ってたのどこの誰だよレイスこの野郎…。
てかめっちゃ強いのこいつ。
俺が勝てる相手じゃないの。相最悪なのこいつと。
「んなこと言ったって勝てねーもんは勝てねーんだよ!!」
「うるせぇぇぇ!!」
「はぁ!?」
突如始まった超遠距離の會話は會場を沸かせるには十分だったらしい。
盛大な笑い聲と共に拍手すら巻き起こっている。
「じゃあどうしろってんだよ!!」
「甘ったれんなぁぁ!!何回も教えたよなぁ!?ないならぁ!?」
足元のカイが右手の拳を突き上げて何か言っている。
(ないなら作れってか!?倒せないなら倒せる方法探し出せってか!?なんだ脳筋か!?これだから嫌なんだよ化組は…)
「なんか…すごい応援のされ方だね…」
「ですね。俺が一番驚いてます……でも」
レイスのおで俺の考えが変わった。
アダラにもそれが伝わったようで、警戒を含んだような苦笑を浮かべている。
相手と相悪いとか、相手が格上だとか、そんなものはひとまず置いておこう。
この試合、勝ちに行く。
立ち上がり、一度は手放した短剣を手に取る。
深呼吸して剣を構え、苦笑と共に言葉を添える。
「やっぱり凄いですわ、アイツ」
「いい仲間だね」
「そうかもしれないです。続き、お願いできますか?」
「もちろん!」
言い終えると同時、彼は鎌を振り下ろした。
俺はそれをけることなく躱し、そのまま彼の懐にり込む。
刃を押し出すが、それはアダラに當たることなく空を切った。
(さて…もっかいやってみたはいいけどどうやって勝つかなんだよなぁ…)
焦りも疲労も不思議と消えた思考の中で、次の攻撃手段を考える。
再開した試合は、今まで以上に観客からの歓聲を集めていた。
「あ」
ふと思いついた…というか思い出した攻撃手段が頭に浮かぶ。
あれならできそうだしやってみよう。
差し出された刃を正面からけ止め、吹き飛ばされたように後ろへ下がる。
すぐに迫っていた追撃を、バク転するついでに蹴り飛ばす。
反でしだけきが固まる瞬間を狙って、著地と同時に俺の方から突っ込んでいく。
再び追撃してきていたアダラのスピードも加え、俺の攻撃スピードがほんの僅か彼のそれを上回る。
いつかデイディスでレイスに仕掛けた攻撃。
力を抜いてスピードに全全霊を込めて突進した後で攻撃する、あの時失敗に終わった技。
アダラにはパワーを利用されたから、俺はスピードを利用してやった。
まさか俺の方から突っ込んでくるとは思ってなかったらしいアダラが、驚きと同時に防の姿勢を取ろうとする。
しかし、スピードでいくら彼の方が勝っているとは言え、鎌より短剣の方が機敏があるのは確か。
ほんのしだけ早く俺の刃がアダラの首を捉えた……かと思われた。
「ここまで冷や汗かいたのは久しぶりだよニビくん」
「そりゃ栄なことですね…」
ギリギリの所で躱された。
俺の中で最善の攻撃が失敗に終わり、反できが固まった所を攻撃されて再び剣が宙を舞う。
鎌は変わらず俺の首を狙ってくる。
しかし
「意外と俺は軽なんですよ?」
「……みたいだね」
死神の鎌の上でそう微笑みかけ、空から降ってきた短剣を取った。
橫から迫っていた刃が俺の首を捉えるより先に、ハイジャンプで鎌の上に立ったのだ。
躱すだけに飽き足らず、挑発までする余裕がいつの間にか生まれていた。
言葉にすらしてないものの、表を見ればその効果は一目瞭然だった。
振り払われて地面に降り、そのまま飛び上がって剣を振るう。
防されてムカついたので、ついでに足蹴りも放ってみる。
相手は自分より格上。それは紛うことなき事実だ。
けど、不思議と相手のきがほんのし予想できる時がある。
惜しい所まで剣が屆く時がある。
(なぁレイス…。なんでこんなにワクワクするんだろうな…!)
俺はどこかこの試合を楽しんでいるような気がした。
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